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第2章
22話 レモンSIDE
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そのあとも。
レモンはゲントの指示に従って攻撃を続けた。
そのたびに黒煙を上げたモンスターがその場に姿を現し、それはいつの間にかものすごい数に膨れ上がっていく。
積み重なったモンスターに目を落としながらレモンはふと思う。
(すごい、すごい・・・。あのおじさん、この数の敵がぜんぶ視えてたなんて・・・)
ようやく戦いが落ち着いたのか。
ゲントが青銅の剣を鞘に収めながら近寄ってくる。
「さすがにちょっと疲れましたね」
「・・・」
「ありがとうございます。レモンさんのおかげでなんとか片づきました」
「べつに。ウチはなにも・・・」
どこか素直になれず、レモンは顔を背けてしまう。
が、そんな反応もゲントは特に気にしていないようだ。
黒い煙を上げるモンスターの山へと歩み寄ると、片手を大きく振り払う。
ブゥゥゥン!!
すると、積み重なったモンスターの大群はその場から一気に消え去った。
「ちょっと、なにしたの!?」
「瘴気を消したんです。これを放置しておくと、モンスターがまた現れる可能性があるんで。もちろん、視えないやつの分はぜんぶ消してますから。ご安心ください」
「そ、そうじゃなくて・・・。そんなことふつうできないじゃん!? どうやったの?」
「えっと――を」
「え?」
そこでなにかに気づいたようにゲントはハッとする。
そして、すぐに笑みを浮かべると咳払いをひとつした。
「いえ、すみません。とにかく俺にはなんかできちゃうんです」
「・・・はぁ。まあもういいよ。おじさんがほかの人とは違うってことは、なんとなくわかったし」
「ありがとうございます」
「べつに褒めたわけじゃないよ」
レモンは肩にかけたライフルを下ろしながらもう一度ため息をつく。
まだいくつか疑問が残っていたからだ。
「あなたが透明なモンスターを視ることができるってのはわかった。たぶん言ったとおり、この層へ降りてくるまでの間、多くの敵を倒してきたんだよね? でもさ。それならなんでウチが魔弾で倒したモンスターだけ姿が視えるようになったんだろう?」
「それはたぶん、魔法の力を使ってるからだと思います」
「どーゆうこと?」
「魔弾には魔法の力が封じ込められてるって話でしたよね? 俺の剣にはそういうのはありませんから。だから、それに反応して姿が視えるようになったとか・・・そんなところじゃないでしょうか? たとえばリトマス試験紙みたいに。あくまで仮説ですけど」
「ふーん・・・?」
あいかわらず、ゲントは自分にしかわからない言葉を並べ立てていた。
よくわからなかったが、結局はそういうことなのだろうとレモンはいったん納得することに。
(これだけわかればもう十分だよ。バヌーだって納得するはず)
バヌーもべつにダンジョンの攻略を望んでいるわけではないということがレモンにはわかっていた。
ただ単純にゲントの実力を確認したいだけなのだ。
あとは彼の力量を自分が伝えれば、バヌーも納得するだろうとレモンは思う。
「そろそろ引き上げよっか。もう長居は無用だから」
「ですが・・・。まだ最下層のボスを倒してないです」
「いーんだよ。それにこのダンジョンの攻略難易度はAに設定されてるし。さすがのあなたもボスは簡単には倒せないはずだよ」
「そうですか?」
「おじさんには、これからいろんなことお願いすることになると思うから。こんなとこで死んでもらったら困るし」
まだどこか納得がいってない様子のゲントだったが、レモンが冷たくそう言い放つとそれ以上はなにも言ってこなかった。
「・・・わかりました。それじゃ帰りましょうか」
「うん」
そんな風に2人でフロアをあとにしようとしていると――。
ガガガガガ!! ガガガガガ!!
(っ・・・!?)
フロアの床がものすごい音を立てて揺れはじめる。
その場に立っていられないほどの大きな振動だ。
「レモンさん! 下からなにか向かって来てます。注意してください!」
「し、下から!?」
音が大きくなるにつれ、振動はさらに激しさを増していく。
やがて――。
ジャァァァァン!!
広間の床がものすごい音を立てて吹き飛ぶ。
まるでなにかが這い上がってきたかのように、そこには巨大な穴がぽっかりと空いてしまっていた。
「レモンさん! 右へ避けてくださいッ!」
ゲントがそう大声を上げるも少し遅かった。
(ぅぐっ!?)
突如としてレモンの体は宙へと浮かぶ。
まるでなにかに全身を掴まれたかのように、完全に身動きが取れなくなってしまう。
(・・・なんだよ、これ・・・!?)
とっさに手にした魔弾銃の引き金を引くも。
カスッ・・・。
(弾切れ? こんな時に・・・!)
レモンの体は視えない圧力によって徐々に押し潰されていく。
「・・・う゛ぅ゛っ・・・」
息をするのも苦しくなり、そのまま窒息寸前のところまで追いやられてしまうレモンだったが――。
「奥義其の45――〈ねじれ首刈り〉!」
ズボオオッ!!
そんな声とともに円軌道の衝撃波がレモンの真横を通り抜けていく。
==================================
[奥義名]
ねじれ首刈り
[威力/範囲]
A/全
[消費SP]
21%
[効果]
回転移動しながら連続で放ち、敵陣を掌握する渾身の撃剣。
敵全体に大ダメージを与える。
==================================
レモンにはすぐわかった。
ゲントが青銅の剣を素早く振り抜いたのだと。
これにより、空中で押し潰されていたレモンの体は自由となった。
「大丈夫ですか!」
落下したレモンはゲントに上手くキャッチされ、またも抱きかかえられる恰好となる。
「う、うん・・・」
今度は特に嫌な気分にはならなかった。
むしろ、ゲントの姿が勇ましく見えるから不思議だった。
そっとその場に優しく下ろされると、レモンは改めて礼を口にする。
「ありがと・・・。モンスターからウチを助けてくれたんでしょ?」
「はい。さっきの奥義できちんと倒せたんで安心してください」
ゲントは青銅の剣を腰の鞘に収めながら笑顔で口にする。
彼の話によれば、相手はこのダンジョンのボスだったらしい。
==================================
[モンスター名]
厄災ホエール
[危険度]
S級
[タイプ]
海獣型
[ステータス]
Lv. 78
HP 170000/170000
==================================
白鯨に八本の豪腕がついたモンスターだったらしく、そんな化け物をゲントは一撃で仕留めたようだ。
「たぶん、自分の仲間たちが一気に倒されたことで気が立って、最下層からフロアの床を突き破って飛び出してきたんだと思います」
「そんな相手に、よくその剣1本で倒せたよね」
「たまたまですよ」
そう謙遜していたが、その力が本物であることはもはや疑いようがない、とレモンは思った。
(こんな強い人・・・たぶんこの国に存在しない・・・)
そんな規格外の力を持つゲントが、これからバヌーに利用されるのだと思うと、レモンは内心複雑な心境であった。
レモンはゲントの指示に従って攻撃を続けた。
そのたびに黒煙を上げたモンスターがその場に姿を現し、それはいつの間にかものすごい数に膨れ上がっていく。
積み重なったモンスターに目を落としながらレモンはふと思う。
(すごい、すごい・・・。あのおじさん、この数の敵がぜんぶ視えてたなんて・・・)
ようやく戦いが落ち着いたのか。
ゲントが青銅の剣を鞘に収めながら近寄ってくる。
「さすがにちょっと疲れましたね」
「・・・」
「ありがとうございます。レモンさんのおかげでなんとか片づきました」
「べつに。ウチはなにも・・・」
どこか素直になれず、レモンは顔を背けてしまう。
が、そんな反応もゲントは特に気にしていないようだ。
黒い煙を上げるモンスターの山へと歩み寄ると、片手を大きく振り払う。
ブゥゥゥン!!
すると、積み重なったモンスターの大群はその場から一気に消え去った。
「ちょっと、なにしたの!?」
「瘴気を消したんです。これを放置しておくと、モンスターがまた現れる可能性があるんで。もちろん、視えないやつの分はぜんぶ消してますから。ご安心ください」
「そ、そうじゃなくて・・・。そんなことふつうできないじゃん!? どうやったの?」
「えっと――を」
「え?」
そこでなにかに気づいたようにゲントはハッとする。
そして、すぐに笑みを浮かべると咳払いをひとつした。
「いえ、すみません。とにかく俺にはなんかできちゃうんです」
「・・・はぁ。まあもういいよ。おじさんがほかの人とは違うってことは、なんとなくわかったし」
「ありがとうございます」
「べつに褒めたわけじゃないよ」
レモンは肩にかけたライフルを下ろしながらもう一度ため息をつく。
まだいくつか疑問が残っていたからだ。
「あなたが透明なモンスターを視ることができるってのはわかった。たぶん言ったとおり、この層へ降りてくるまでの間、多くの敵を倒してきたんだよね? でもさ。それならなんでウチが魔弾で倒したモンスターだけ姿が視えるようになったんだろう?」
「それはたぶん、魔法の力を使ってるからだと思います」
「どーゆうこと?」
「魔弾には魔法の力が封じ込められてるって話でしたよね? 俺の剣にはそういうのはありませんから。だから、それに反応して姿が視えるようになったとか・・・そんなところじゃないでしょうか? たとえばリトマス試験紙みたいに。あくまで仮説ですけど」
「ふーん・・・?」
あいかわらず、ゲントは自分にしかわからない言葉を並べ立てていた。
よくわからなかったが、結局はそういうことなのだろうとレモンはいったん納得することに。
(これだけわかればもう十分だよ。バヌーだって納得するはず)
バヌーもべつにダンジョンの攻略を望んでいるわけではないということがレモンにはわかっていた。
ただ単純にゲントの実力を確認したいだけなのだ。
あとは彼の力量を自分が伝えれば、バヌーも納得するだろうとレモンは思う。
「そろそろ引き上げよっか。もう長居は無用だから」
「ですが・・・。まだ最下層のボスを倒してないです」
「いーんだよ。それにこのダンジョンの攻略難易度はAに設定されてるし。さすがのあなたもボスは簡単には倒せないはずだよ」
「そうですか?」
「おじさんには、これからいろんなことお願いすることになると思うから。こんなとこで死んでもらったら困るし」
まだどこか納得がいってない様子のゲントだったが、レモンが冷たくそう言い放つとそれ以上はなにも言ってこなかった。
「・・・わかりました。それじゃ帰りましょうか」
「うん」
そんな風に2人でフロアをあとにしようとしていると――。
ガガガガガ!! ガガガガガ!!
(っ・・・!?)
フロアの床がものすごい音を立てて揺れはじめる。
その場に立っていられないほどの大きな振動だ。
「レモンさん! 下からなにか向かって来てます。注意してください!」
「し、下から!?」
音が大きくなるにつれ、振動はさらに激しさを増していく。
やがて――。
ジャァァァァン!!
広間の床がものすごい音を立てて吹き飛ぶ。
まるでなにかが這い上がってきたかのように、そこには巨大な穴がぽっかりと空いてしまっていた。
「レモンさん! 右へ避けてくださいッ!」
ゲントがそう大声を上げるも少し遅かった。
(ぅぐっ!?)
突如としてレモンの体は宙へと浮かぶ。
まるでなにかに全身を掴まれたかのように、完全に身動きが取れなくなってしまう。
(・・・なんだよ、これ・・・!?)
とっさに手にした魔弾銃の引き金を引くも。
カスッ・・・。
(弾切れ? こんな時に・・・!)
レモンの体は視えない圧力によって徐々に押し潰されていく。
「・・・う゛ぅ゛っ・・・」
息をするのも苦しくなり、そのまま窒息寸前のところまで追いやられてしまうレモンだったが――。
「奥義其の45――〈ねじれ首刈り〉!」
ズボオオッ!!
そんな声とともに円軌道の衝撃波がレモンの真横を通り抜けていく。
==================================
[奥義名]
ねじれ首刈り
[威力/範囲]
A/全
[消費SP]
21%
[効果]
回転移動しながら連続で放ち、敵陣を掌握する渾身の撃剣。
敵全体に大ダメージを与える。
==================================
レモンにはすぐわかった。
ゲントが青銅の剣を素早く振り抜いたのだと。
これにより、空中で押し潰されていたレモンの体は自由となった。
「大丈夫ですか!」
落下したレモンはゲントに上手くキャッチされ、またも抱きかかえられる恰好となる。
「う、うん・・・」
今度は特に嫌な気分にはならなかった。
むしろ、ゲントの姿が勇ましく見えるから不思議だった。
そっとその場に優しく下ろされると、レモンは改めて礼を口にする。
「ありがと・・・。モンスターからウチを助けてくれたんでしょ?」
「はい。さっきの奥義できちんと倒せたんで安心してください」
ゲントは青銅の剣を腰の鞘に収めながら笑顔で口にする。
彼の話によれば、相手はこのダンジョンのボスだったらしい。
==================================
[モンスター名]
厄災ホエール
[危険度]
S級
[タイプ]
海獣型
[ステータス]
Lv. 78
HP 170000/170000
==================================
白鯨に八本の豪腕がついたモンスターだったらしく、そんな化け物をゲントは一撃で仕留めたようだ。
「たぶん、自分の仲間たちが一気に倒されたことで気が立って、最下層からフロアの床を突き破って飛び出してきたんだと思います」
「そんな相手に、よくその剣1本で倒せたよね」
「たまたまですよ」
そう謙遜していたが、その力が本物であることはもはや疑いようがない、とレモンは思った。
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