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タケル、二度目の弟子入り?

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 「…弟子入りって、この俺にか?」


 「ああ、鍛治とのな。」


 「鍛治はわかるが、武術とは?」




 俺は直感した。


 この人は、相当にな人だ。


 「俺のを見て、「人斬り包丁」って言ったろ?」


 「ああ、アレか?

 すまない、気を悪くしたかな?」


 「いや、逆だよ!

 逆に気に入ったんだ!


 そして、分かったんだ、

 アンタは相当アブナイ人「戦闘狂」だってさ?」






 ラグル師匠はあくまで「武人」だ。

 必要なら闘うし、無駄な殺生はしない人だ。

 ただし、鬼畜な外道共には一切容赦無く切り捨てる。

 ソイツらが又他で非道な行いをさせない様に。



 でも、この人 

 クラナギさんは違う!


 闘う事が好きで、子供が親に叱られてもイタズラを辞めない様な感覚で戦場に飛び込む様な…



 ん、なら外に出て冒険者とか、ソレこそ邪神崇拝者の用心棒とかになれば…


 「すまんが、子供が生まれてからの誓いをした。

 鍛治は教えてやれるが、の技など教える訳にはいかないさ。」



 …人殺しって、言うたね?

 武術じゃなく、殺人術かよ!


 益々弟子入りしたいぞ!


 「その顔はあきらめませんって顔だな?」

 「この世界、殺すのは人だけでは無いだろ?

 オークやゴブリン、危険な魔物は沢山居るし、技や力を高める事に何か問題アルかい?」


 「…一緒にいた女の子、どっちが本命だ?」


 「本命も何も、カンナは俺の嫁だぞ?

 メイメイは妹みたいなモンだ。」


 「なら、その内分かるさ、殺してから後悔しても取り返しがつかない事もある。

 この世界では、ソレが甘い事も分かっている。


 俺のを見抜いたのは事は凄いが、あまり踏み込まないでくれるか?」



 「ならニホントウの鍛え方を教えてくれ!

 この刀は親父がカタチを似せて作ったモノで、本来のニホントウとは違う。

 アンタなら知っているんだろ?」


 「…まぁな、実家はハサミ職人だが、鍛治の修行で備前長船まで…って、わかるか?」


 「えっと、うっすらと?

 岡山県だっけ?」



 コレはオッさんの無駄知識らしい?

 


 「分かった、鍛治は教える、

 格闘術としてなら技も教えてやる。

 でも、修羅畜生に堕ちるとマズイからは教えない、ソレで良いか?」


 「ああ、ありがとう!

 奥義って、何かの流派か?」


 「俺を仕込んでくれた祖父が武術家だったんだ、表向きは。

 

 裏では非合法ながら、闇賭博のデスマッチで賞金稼ぎをしていたそうだ。」

 「ソレ、絶対この世界向きだよね、そのおじいちゃん?」



 俺は旅が終わったら弟子入りの確約をもらい一度町に戻る事にした。

 町でカンナが顔見知りに会っている、このタイミングで現れるとは、間違い無く町に監視がいるな。



 「…やっぱり、何かあるのかなぁ、この森?」




  そして、現在に戻ってアレク兄貴に詳細を話している訳だ。


 地下遺跡の機人や精霊樹のカミサマのことは内緒にして。


 メイメイの祖父さん達が、この事を知らないとは思えない、なのにアレク兄貴は知らない様だ?


 どちらかが俺たちに隠し事を、している?

 ソレがはっきりわからないと、こっちの情報も明らかにしない方が良さそうだ。


 「ソレでゴゥタム一家はどうしてる?

 他の家族は?」

 町長が怖い顔で聞いて来た?


 「しばらくはで暮らすそうだよ。

 他のご家族もあの村で生活していきたいってさ。」


 「そうか、ソレなら仕方ない…

 色々と教えて欲しかったのだが?」



 この町長も以前はあの開拓村にいた事があるらしい?

 もしかしたら、邪神信奉者のスパイかも…

 考え過ぎかな?

 とにかく内緒にすると決めた以上、これ以上は話さないぞ!

 また後で話しがしたいと言われたが、その場ははぐらかして、

 「すいません、かなり疲れたので今日はコレで休ませてください。」と言って逃げた。



 あの森の中に出入りするには、色々と大変だ。

 転移ゲートを使うにもメイメイの師匠サンが施した条件をクリアしないといけないし、メイメイのおじいちゃんが作った林道も精霊に認められないと、使えない事が分かった。


 なので、カンナが森を抜けられたのは、ガーヴィンのと言う事で押し通した。


 マーヤが森に来れた件も、あるの出会いで誤魔化す事にした。


 俺たちは魔の森の中で、とんでもないモノと遭遇した⁈


 「あ~、でっかい黒ネコさんだぁー!」


 町に戻る前に開拓村の周りを軽く探索する事にした俺とマーヤ、5分もせずに黒い大型の魔獣ケモノと遭遇したのだ⁈

 「ねぇねぇ、お兄ちゃん!

 ネコさん、でっかいネコさんだよ!

 おいでおいで!」

 木々の間から畏怖堂々と歩み寄る大型黒猫?

 「ガルルルルゥ~♪」

 喉を鳴らせて近付いてくる様子を見て、何故かが過ぎった?

 「…ヨル…か?」


 シュゥンッ!

 ソイツはまるでその場から消えた様に飛び上がるとに向かって抱き着いて来た⁈

 「グルグルルルゥ~!」

 頭を俺の顔に擦り付ける様に、正に猫が甘える様に。

 「こ、こら!お、重いぞ!
 やめ、やめてくれ!」

 「アー!マーヤもやるぅ!」


 幼女と一緒に探検ゴッコが、とんでもないモノに襲われてしまった。

 軽く甘噛みされて、すっかり気に入りられた様で、今度はマーヤの顔を舐め始めた?

 「キャっ! くすぐったいよ~!」

 「あるじ、この子、あるじの子か?」

 「ん、みたいなモ…ンだ…お前、ヒトの言葉が話せるの?」


 「こっちの世界、来たら出来た。」


 「うわー、ネコさんすご~い!」



 多分、この大きな猫サンは前世で俺が猫のヨルだろう。

 ヨルもした様だ?


 なので、

 「マーヤの事を気に入った大きな黒猫が、背負って森を抜けてくれた。」

 と、皆さんには説明したら、

 「その子マーヤはテイマーの素質が有る!」

 と冒険者ギルドのお偉いサンに豪語された?


 魔石消滅で冷静さを欠いていたはソレで納得した様だ?



 ソレから暫くは、「エルフの里」と「魔の森」を往復する羽目になった。

 今まで魔石にメイクゥンの容態も心配されて、何人かに質問攻めにあった。

 子供の頃から彼女を知っている人たちだろう。

 彼女に向けられていたのは、決して悪い感情だけでは無かった様だ。


 どうもこの「エルフの里」と言う町は色々な思惑で成り立っている便なのだろう。


 また突然店じまいをして、姿を消した商人や住人がいるそうだ。

 丁度良いからと、商業ギルドのマスターのススメで、ルーとアズが空き店舗で暫くメイメイのポーションを委託販売する事になったり、まんまる焼きの店をオープンしたりする事になった。

 カンナやメイメイが、やる気のある若い商人たちを猛特訓して、各レシピを叩き込むのだとか?

 その間に俺とエイジ、マーヤとヨルで森や遺跡の探索、次の旅の準備など忙しなく、それでいて楽しんでいた。

 森の中には未知の食材に溢れていたからだ!

 星型とか猫の顔みたいな、不思議な形の果物が沢山取れた!

 ヨルが、

 「ヒトが食べても、美味しい。 マーヤ、食べても平気。」

 「うん、ヨル ありがと!」

 良い案内役が居て、大変助かる?



 …カンナも連れて来たら、喜びそうだ。


 未開の地、宝の山だな?




 


 「そうか、夜逃げ同然に姿を消したか?」

 「剛田サンが知ってる人だったとか?」


 「エルフのの里」から突然店じまいした飲食店の件を話したら、変に納得していた。

 
 「おそらく邪神の魔石を狙っていた帝国や小国の間者スパイだと思うよ。」


 「アレかな、柳生の草みたいなことかな?」

 「時代劇、好きなのかい?」

 多分、前世で散々見ていたのかも?

 何となく、口から出てしまうのだ?

 「魔石を狙っていたのは信奉者だけでは無い様でね、僕らの事もとして利用出来ないか狙っていた様だよ?」


 「つまり魔石を狙っていた連中が撤退したって事なのかな?」


 最近、剛田サンとは気が合うのか良く晩酌に付き合っている。


 「タケル殿はいつ旅に出発出来そうだい?」


 「メイメイが向けのレシピを教え終わったらかな?」

 
 ちゃんとした材料を、キチンと分量を測って、に生成すればメイメイの万能ポーション(初級者向け)の出来上がりだ?


 商業ギルドが材料の調達から販売を管理しているので、値段の高騰は無いだろう。


 の目的はコレで果たした事になったと思う。



 ソレと…


 「よう大将、大分お活躍の様だな?」

 自由市場であの剣を買った屋台に立ち寄ったら、ニンマリした顔で話しかけられた?

 「なんだ、何が噂になっているのか?」

 「魔の森から生還した男って、噂になってるぞ?

 その黒猫を連れているからだろ?」


 「…納得したよ、確かにアレでは仕方ないな。」



 
 その背中にマーヤを乗せて、俺に同行しているヨル。  


 その様子を見て、子供たちが興味津々で寄ってくる?

 「…噛まない?」

 「ダイジョーブだよ!

 はやさしいから!」

 「…ヨル、人間は美味しくないから、食べない?

 本当は肉よりお魚が好き。」


 「うわー、しゃべったぞ!」


 森のヌシと呼ばわれていたとは思えない程、とフレンドリーだ!
 

 

 「近々、ここを立つよ。」

 「そうかい、俺もそろそろ仕入れの旅に出るんだわ。」


 「その仕入れ何だが、ちょいと相談があるんだ?」

 
 「おっ? 何だい、儲け話ならいくらでも聞くぞ?」

 「正真正銘、魔の森の開拓村で作られた金物が有るんだけど仕入れてみないか?」
 
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