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終わりましたが、忘れ物がありました。
しおりを挟むゴロゴロ~
……はぁ~~?
ゴロゴロ~
「もう、理央サンは⁈
聞いてあげますから、さっさと言いなさい。
理央サンはどうしたいの?」
「…本当にぃ~、ひまりぃ~ん?」
「さすが、恋愛勝ち組は余裕だな?」
「揶揄わないで下さい、サクさん。
一緒に住んでるんだから、サクさんが、理央サンの面倒見てくださいよ~!」
「それな、そろそろ解放してくれないか!」
某日、古書店から近い賃貸マンションの一室。
友達らに手伝ってもらいながらのお引越し。
んで、理央、何の為に来たんだよ?
部屋の隅で、ゴロゴロ~、ゴロゴロ~っと、転がっている?
埃でも取れるなら良いが、正直見苦しい。
以前、傷心な男子学生を優しく慰めちゃった理央お姉様。
その甲斐あって、立ち直った嶋は気不味くなっていた静華くんに謝罪し、改めて交際を申し込んだそうで、
「女の子に対しての気遣いが全然然出来てません‼︎
途中のステップは、ちゃんと踏んでから前に進んで下さいね!
…お互いに。」
さすが、静華くんは大人だ!
まぁ一応仲直りは出来た様で、
嶋の奴、ソレから度々理央サンに女子の気持ちを教わりがてら、恋愛相談に乗ってもらってるらしい?
「…コレで良かったのかなぁ、余計な事しちゃったかなぁっと、最近思うんだよねぇ。」
コイツらしく無い。
他の手伝いに来たつもりのお子様四人組は、
「子猫にゃ~、可愛いにゃ~!」
「ウチのキュウちゃま達はまだ、コウノトリが来ないのです。」
「子宝の湯に入れてみたら?」
「猫も温泉入るのか?」
とか、ネコ親子の側を離れないし?
このあと、嶋と静華くんも手伝いに来るらしいのだが、当てにしてない。
陽毬の後輩が、
「この箱は何処起きます?」
「冷蔵庫って、電源入れて大丈夫ですか?」
とか、テキパキやってくれてる!
終わったら、引越し祝いでタコパを、行う事になっている。
終わった頃に来るから、連絡してねってありすチャンとオオタ君に言われてる?
遊佐がクール便で明石のタコを祝いにくれた!
アキバさんはビールやジュースを差し入れてくれた。
一応、肉も焼こうかな?
彼女たちは、ソレだけじゃ足らないだろうし?
嶋の事だが、
理央サンの弟サンの事は、嶋の奴には教えていない…
そして、理央サン=Rioだって事すら気づいてない嶋。
(初体験がAV女優だなんて、羨ましがられそうだが?)
アイツにアダルトコーナーの仕事をしてもらうのは…
無理かな?
真面目だけど、馬鹿なんだよなぁ?
ソコが、可愛いとか言えなくも無く無い?
「すいませ~ん、遅くなりました~!」
「お邪魔します。
どうです、進んでますか?」
嶋と静華くんが来た…ら、
「ほ、ほら、みんな!
そんなに見てると、ニャンコが怖がって居なくなっちゃうかもよ?」
と、急に張り切りだす理央サン?
「おや、二人共、遅いじゃ無いのよ~ん、おねいさん心配したぞー!」
凹んでるところを嶋に見せたく無いのか?
コイツも色々拗らせているな、俺も人の事は言えないけど…
大体の作業は、陽毬の後輩の 活躍で終わった様だ。
さすがはプロレスラーだ、助かったよ。
よし、大きいタコ入りは君たちにあげよう!
「わ~い、たこ焼きだぁ!
ネコちゃんと食べます!」
「だ、ダメだよ!
猫はタコとかイカは上手く消化出来ないから、お腹壊して吐き出してしまうよ。
そうなったらノドにつまらせたり、脱水症状を起こして命の危険が…」
「わあーーん、ごめんなさ~い、絶対あげませんから~。」
さすがの天才妊活博士も、そのほかの事は普通に小学生並みの知識なんだな。
これからはヒロお兄ちゃんが見守ってくれたまえ!
「へぇ、この子たちが、守り神なんですか?」
静華くんが、愛おしそうに母猫の頭を撫でる。
「どうやら、前の住人が野良猫にエサをあげていたらしいんだ。
その人がいなくなっても、この場所が安全だと思って子供を産んだんじゃないかな?」
他の住人から鳴き声がすると連絡があり、調べたらベランダの室外機と壁の間にこの子たちが居たそうだ。
「ココ一階だろ、日当たりが微妙だからあまり借り手が見つからないそうで、俺なら猫込みで良いかなって、アキバさんが勧めてくれたんだよ。」
「なるほど、はやくも保養家族が出来たんですね!」
「こらこら、
ねぇ、嶋とは上手くやって行くのかい?」
「うっ!
ソレ、聞いちゃいます?
まぁ、悪い人では無いんですけどね、なんかほっとけ無いんですよ。
リクさんに似てなくも無いかなって?」
「あ~、ソレ分かるかも?」
「ひま、重い。
頭からそのお胸をどけて下さい。」
屈んで、ネコたちを見ていた俺の背後から陽毬が抱きついてきた。
「コラ!
自分の彼女に重いとは!
そっか、コレがDVの始まりだね!」
「なんでそうなる?」
「フフ、相変わらずですね。」
「ほれ見なさい、笑われてしまったぞ?
大人気ない、あとイイ匂いがする。」
「エッチ!」✖️2
宴は終わり、お子様組は後輩方が送ってくれるそうで、皆帰っていった…
コイツを残して?
「サクさん、忘れモノだよ?」
「…ねぇ、私もココに住んじゃダメ?
サク、恋人出来たかも?」
「…お前、そろそろ本気で恋人作れ、
今までいないのが不思議なくらいなのに、恋愛を避けてるだろ?」
「ちょっと、リク!」
「…だって、私が本当に好きだったのはアイツだけなんだもん、お前は、もう気づいてたんだろ!」
多分、酔ってる、
陽毬は涙目だ、親友のこんな姿をこんな日に見るなんて思ってもいない訳で。
「…寝てるぞ、この酔っ払い?」
「寝かしとこ、サクさんには泊めるって連絡しておくから。」
引越し初日から散々だよ?
「…強がってるのかな、理央ちゃん?
普段、私の恋愛相談とか乗ってくれてるのに…
まさか、嶋くんに本気なのかな?」
「…違うとは思うけど、弟サンと重ねているとは思う。
アイツ、知らないところで女泣かせだな?」
「ネコさん、留年しましょう!」
「何だ、突然?」
バイトに行くと、しおりチャンがとてつもない事を言い出した!
「私、決めました!
皆さんと同じ大学に行きます!」
「別に行けばいいだろ?
その頃には俺はいないけど…って、まさか?」
「ハイ!
ネコさんがいないと、大学生活の楽しさが半減しそうなので、私たちの為に院生か留年して下さい!」
「いや、俺、卒業後はココの社員だから。
無理無理。」
「アレ、そうなんですか?」
「アレ、そうなんですよ?
奥さんに聞きてない?」
バイト帰りに近くの森林公園に寄る。
「ボチ、いるか~?」
ココには、何処からか流れてきた野生のタヌキが棲みついてる。
本当はいけないのだけど、ドッグフードとかあげたりしてる。
もっとも、近付いても2、3メートル辺りで止まって俺が居なくなるまで食べないけど?
「なんか、楽しすぎてお前に化かされてるみたいだよ?」
今でも信じられないくらい楽しい毎日だ。
バイトから社員になった事で、収入と責任が増えた。
陽毬と流される様に同棲を始めたが、近いウチに入籍するだろう?
何しろ、人気者の婚約者なので、タイミングが難しい?
贅沢な悩みだ。
陽毬のオヤジさんが陽毬の女子プロ団体の写真集を出す事になったそうで話題になっている。
古賀サンに息子さんが産まれた。
ソレと…
「アレ、ネコっちじゃん?
何してんの?」
「理央さんか、ソッチこと?」
「わたし?
私はデートだよ、コレからね!」
やれやれ、そうなのだ。
ソレは本当に偶然で、
朝、遅刻しそうで食パンを咥えて走ったら、曲がりカドでぶつかってしまった男子と恋に落ちたくらいの偶然の出会いが有ったらしい?
「こんな時間からか?
こんな場所で?
や、野外プレイかっ⁈」
「ち、ちがわい!
彼、今日は残業でコレから帰ってくるの!
ココを横切ると駅まで早く付くから…って、アレタヌキ?」
「夜の公園なんて、女一人じゃ危ないだろ?
駅まで送るぞ?」
「そう?
じゃあ、頼むよ。」
相手は普通のサラリーマンらしい。
案外、そんなモンなのかもな?
理央サンを駅まで送り、再び公園に戻り、タヌキが食べ残したドッグフードを片付けようと…
「アレ、北代くん?」
「あ、小森先輩、今晩わ?
何でココに?」
彼もどうやらタヌキ目当てらしい。
「そうだ、買いましたよ。
先輩の写真集、大作ですね。」
「そうかな、なんせ人任せなんで、よくわからないんだ。」
彼とは近々、自転車旅行に行く事になっている。
楽しいだ、一応北の方とだけ決めている。
もう少し、タヌキを見ていると言う彼と別れて、家路を急ぐ。
「ただま、理央に有ったぞ。」
「だよね、だって少し前までココに居たモン。
彼を迎えに行くって、ラブラブたね?」
「…ソレは良いとして、何でリングコス着てるんだ?」
「新作なの!
どう、そそる?」
「リング衣装を見て、欲情したらマズいだろ?
早く着替えてよ、お腹空いたから。」
「…あ、そうだ!
あ、アナタ、お風呂にする?
ソレともご飯にする、
ソレとも、わ・た・し?」
「…お腹空いてちゃ、チカラ出ないんですけど?」
「ハイ、すぐにご飯にしますね!」
やれやれ、浮かれてるな?
その晩は、何やら豪華の様な、何か見覚えが有る様なメニューだった?
「牡蠣フライにレバカツに、鰻かな?」
「へへへー、ゆなチャン監修です!」
その晩、陽毬サンの期待に応える事にして、久しぶりにたくさんした。
応援ありがとうございます!
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