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その二十五 サービスでぃ!
しおりを挟む『今日はポイント二倍DAY!』
一応、ウチのお店にもポイントカードなんてモノがある。
以前は手作りカードにハンコを押していただけのチマチマしたモノだったそうで、現在はカード裏のバーコードを読み込んで、その日の売り上げと合わせてパソコン上でデータ管理出来るハイテクなんだと、店長が自慢していた。
実際、このサービスDAYは普段より売り上げは良い、なので出来るだけ商品を店頭に出す。
ほかにも目玉商品を用意する。
『中古ゲーム機10%引き!』
『CD、DVD、ゲームソフト、まとめて5本以上の購入で5%引き!
10本だと10%引き!』
「…っと、これならかなりの本数が捌けるかと?」
「う~ん、大丈夫かな?」
サービスDAY限定のお買い得サービスをアキバさんが提案してみるも、店長が迷っている。
ひとまずゲーム機本体10%引きと5本以上で5%引きは実行となった。
(古本屋なのに、本以外で勝負してないか?)
お陰で店は大賑わい!
バイトは全員出勤だ、お陰で今日初めて会ったバイトメンバーがいた。
「ネコくんは初めて会うのかな?
「サナダさん」、アキバくんと同じぐらいの古株だからね。」
「やぁ、君がネコくんか、僕はサナダって呼ばれてる。
シフトが被らないからアレだけど、ウワサは聞いてるよ!
主にコミック担当だ、よろしくな!」
「よろしくお願いします。」
昭和の戦隊レッドみたいな人だ、アキバさんとは別の意味でグイグイくるな?
「それと一階担当の…」
「斉藤 栄子です、本名よ。
よろしく。」
店長からの紹介を押し除けて、二十代後半な女性が顔を出す。
「はい、よろしくお願いします。」
店長の付けたニックネームは言わせないつもりらしい?
「彼女は小説好きでね、でもラノベは読まないみたいだけど。」
「そんな偏った事は有りません!
ただ現実味が無い世界は想像し難いだけで、否定している訳では無くて…。」
皆さん、そこそこの癖モノの様だ。
俺が言うのも何だけどね?
兎に角、日頃あまり売れない実用書や絵本等も売れたりしている?
「昨日、店長が赤札を貼りまくっていたわ。
視覚効果って、怖いわね?」
若干呆れてる様な斉藤さん?
一階の品物でココまで売れるのは珍しい?
「ま、まさか閉店セールですか?」
「縁起でも無いこと言わないでよ!」
人集りや行列が有ると、つい行ってしまうのが日本人の習性か、普段より店頭に人が集まっていると、それだけで集客に繋がる様だ?
お買い得品と書いて、店頭に品物を並べたワゴンには、品物を手に取り選んでいる人で、
「この店は繁盛している」様に見える。
確かに目に見える情報は強い、ちょっと覗いてみようかなって、思わせてしまうのだから。
新規にポイントカードを作られるお客様もいて、二階のコミックコーナーでシオタさんが延々とカード申し込みの受付をしていた。
当然の如く、あの常連さんが漫画本を買い漁っ…、
売り上げに貢献されていた。
「ネコさん、そのおデコどうしたんですか⁇」
マリさんが俺の額を見て心配してくれた。
あの時、本が当たった所が思いのほか、まだ青痣が残っているので、大きな絆創膏を貼って隠している。
「ソレしおりんに聞いたお、名誉の負傷だよな!
二階級特進モンだ!」
理央さん、ソレだと俺、死んだことになってますけど?
「ご心配なく、まだちょっと痕が残ってるだけで、痛みとかは無いんです。」
大まかな事情を聞いて、
「何ですか、ソレ⁈
許せないです、そのオンナ!」
マリさんの瞳に闘魂が宿った?
「ドゥドゥ、まる子や。
プロのレスラーが素人に手ぇだしたらアカンよ。」
宥めてる理央さんも、微妙に煽ってる気がするけど?
「こいつがまる子の言ってたカッコイイ店員さん?
そうでも無く無いか?」
もう黙ってられないと茶髪でマリさんより大柄なお姉さんが口を出す?
「あ、キョンちゃん!
そんな事、無いよ!
ネコさんは私の恩人なんだから!」
誰かな?
気付けば、二人だけでなく、どうやら友達を誘って来た様で…
「あ、私はひまりの同期で「ヘルオーガ魔鬼」ね。
気軽にマキちゃんって呼んでな!」
アレ、でもマリさんは「キョンちゃん」って?
「理央の同中で、針貝です。
今日は無理矢理連れてこられたのよ。
あ、あのコレと同じ子猫の写真集ってどこ?」
あ、ソレ俺の作った…
もうトラブルの予感しかねえ。
(そして、当然ですがポイントカードを作られる新の二人?)
本当はこの時、店内で陰から大活躍の人がいたんだ。
店長のもう一人のお嬢さんでしおりちゃんのお姉さん。
おウチのお手伝いとして、バイト店員じゃなく「万引きGメン」として店内パトロールしていてくれたらしい?
後で聞いたら、一人怪しいのがいたらしく、マークしてサナダさんに教えて、「声かけ」したもらったそうだ。
「捕まえる」んじゃなくて、「させない」様にする。
確かに逆恨みされたりしても困るしな?
「えっ⁇
お姉ちゃんの事、気になりますか?
私に似て、美人デスよ!」
逆だろ、しおりん?
あえて言わないけど。
応援ありがとうございます!
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