ある古書店販売員の日常。

その一 バイトに誘われた。

　「なぁバイト、クビになったって本当か？」

　「いや、クビじゃないって！
　バイト先の居酒屋が火事で全焼しちまって、店が無くなったんだ！」

　木造築四十年の居酒屋、親戚が経営者で、叔母が働けるウチは続けていくと言っていた貴重な#職場__収入源。
　__#暫くは大丈夫と思っていたが、閉店後に隣りの24時間営業のカラオケ屋が漏電により火事！

　貰い火で全焼してしまった。

　幸い、死傷者は居なかったけど、気落ちした叔母がそのまま息子さんと同居が決まり、居酒屋再開なんて話しは無く、俺のバイト探しが始まった矢先の事。

　大学の掲示板を眺めている時だった。

　よく同じ講義で顔を合わせて、親しくなった奴から誘われた。

　とにかく新しいバイトを探さないと、生活がヤバい！

　
　「あのさ、俺がバイトしている古本屋でバイトの欠員が出てさー、店長が求人出してんのよ。
　今なら即採用だぜ！」


　友達とは有り難いモノだ！

　即アボを取り、その日のウチに即面接、即採用！

翌日、つまり今日からバイト開始！

　しかも、特別に今日の分の給金は帰りに貰える事になった！


　なんでも、今日は「戦争」なんだそうだ！


　「今日は新作成人向けPCゲームエロゲの発売日でね、本当助かったよ！」


　ん？どういう事ですか？


　何で古本屋が新作パソコンゲームソフトの発売日で忙しくなるの？



　俺はまだ知らなかった、発売日に同じゲームソフトを複数買う人が居る事を。

　そして、買ったゲームソフトをその日のウチに売ってしまう人達が大勢いる事、そしてソレを買い取る複数の専門店がある事を。



　
　コレはバイトから正社員になり、色々こじらせはじめた男の体験談だ。

　
　決してエロ体験の暴露話では無い。