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番外編① アーリンの残念なチート物語 学園入学?
第36話 王都の拠点へ
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「昨日はずいぶんと好き勝手してくれたわね?」
「あら、何の事かしら?」
私が昨日の事を不満そうに尋ねると、シャル王女は笑顔で答えた。
今日は珍しく全員が徒歩で出かけている。
テンマ先生や大叔母様がいるはずの拠点に行くのだけど、シャル王女の馬車で移動するのは目立ちすぎるので、徒歩で移動しているのだ。
「わかっているでしょ! あんな風に目立ってしまって、陛下まで……あれでは学園で友達などできないじゃない!」
「まあ! アーリンさんは普通にお友達ができると思っていたのかしら。その方が驚きですわ!」
シャル王女の答えに私はジト目で返したけど、ドナとダニだけでなく護衛のソフィアさん達も苦笑していた。
「ふ~ん、シャルがそのつもりなら、テンマ先生にあなたには気を付けるように言おうかしら?」
シャル王女は驚いた顔で私を見つめてきた。悪魔王姿のテンマ先生しか見たことがないので焦っているみたい。
「じょ、冗談でもそんなことを言わないでくれません! お友達なら私がいるのだからいいじゃないの!」
「うふふふ、どういようかなぁ~」
シャル王女とはもう身分とか関係なく、すでに友達として普通に会話するようになった。
でも目立ちすぎるのよねぇ~。
テンマ先生の拠点に行くから、服装や装備も全員が地味にするようにしたはずなのに……。
シャル王女達や護衛もいつもよりは目立たない姿にはなっているけど、それでもシャル王女の存在は目立っている気がする。
もう気にしても仕方ないと諦めて、みんなとおしゃべりしながら歩いているけど、それも視線を浴びる原因になっているみたいだ。
女子だけの楽しい会話していると、いつの間にか目的地まで到着した。
そこは予想以上に広い敷地、というか幾つかの区画丸ごと壁に囲まれた場所であった。入口には門番もいる。
私は戸惑いながら、門番の人に声をかける。
「あのぉ、テンマ先生に会いにきたのですけど、どうすればよろしいのかしら?」
「テンマ先生……、あなた達はどのようなご関係で?」
門番の人は驚いた表情で尋ねてきた。私はそんなことを聞かれるとは思っていなかったので、なんと説明しようかと迷う。
「あっ、アーリンお姉ちゃん!」
えっ、誰? もしかしてピピちゃん?
少し離れた所から声を掛けてきたのは、仮面とマントを付けたウサギ獣人の少女であった。後ろには同じように仮面とマントを付けた、モフモフのシルちゃんらしいウルフ系魔物がいた。
「ぐへぇ!」
その少女は驚くようなスピードで抱きついてきたのだけど、あまりの衝撃で乙女らしからぬ声が漏れてしまった。
「会いたかったのぉ~」
う、嬉しいけど……また強くなっているじゃない!
腹部の痛みを堪えながら、懐かしいウサ耳を撫でながら答える。
「ピピちゃんよね? 私も会いたかったけど、その仮面は何なの?」
「あっ、これはテンマお兄ちゃん作ってもらったの。ちょっと待ってね」
ピピちゃんはそう答えると私から離れ、シルちゃんと並んで変な踊りのようなことをしてから詠唱のようなものを唱える。
「『トラジション』」
するとピピちゃんとシルちゃんから光に溢れ、光が収まると私のよく知る姿になった。
テンマ先生は何を作っているのかしら……。
相変わらずテンマ先生のやることは理解できない。
それはともかく懐かしいピピちゃん達の姿に嬉しくなり、今度はシルちゃんも一緒に抱き合いながら久しぶりの再会を楽しむ。
「そちらはピピ様お知り合いでしょうか?」
ピピ様?
門番の人は十歳の少女であるピピちゃんに気を遣うような感じで尋ねた。
よく見るとシャル王女達は驚いた表情で固まっていて、護衛は剣に手を添えてシルちゃんに警戒している。
あっ、シルちゃんを見て驚いてるのね!
「うん、アーリンお姉ちゃんはテンマお兄ちゃんの生徒なの。ピピと一緒に訓練していたの!」
「これは失礼しました! 他のかたもテンマ様のお知合いですか?」
門番は驚いたように答え、ピピちゃんにシャル王女達のことを尋ねた。
「んっ、知らない」
ピピちゃんはシャル王女達を見て首を傾げて答えた。私は慌てて話す。
「こちらは私の友達です! テンマ先生かドロテア大叔母様にお会いできるかしら?」
「ドロテア……大叔母様! わ、わかりました。すぐに連絡をします!」
門番の人は焦ったように何か指示して使いを走らせた。たぶん私が大叔母様の縁者と気付いたのだろう。
「お兄ちゃんは忙しいみたいだから、ドロテア様の所にピピが案内してあげる!」
ピピちゃんがそう話すと、門番は慌てたように何か魔道具のようなものを持ってきて、中に入るための手続きをしてくれたのだった。
敷地内に入るにはあの魔道具で登録しないと入れないみたいだ。
テンマ先生のいつもの魔道具ね。
ロンダでもテンマ先生の作った建物や研修施設は、同じような魔道具で登録しないと入れない。
王都でもテンマ先生は同じようなことをしているみたいねぇ。
ともかく私達は無事に敷地内に入ることができ、ピピちゃんの案内で大叔母様の所へ向かうことになった。
敷地内には見覚えのあるような建物が立っていた。
全部テンマ先生が作ったみたいねぇ。
ロンダでテンマ先生が作った建物にどことなく似ている。
シャル王女達は初めて見る雰囲気の建物に驚きながらも、私が歩きながらモフっているシルちゃんを見て目を輝かせている。
でも護衛の二人はまだシルちゃんのことを警戒しているみたいであった。
「あら、何の事かしら?」
私が昨日の事を不満そうに尋ねると、シャル王女は笑顔で答えた。
今日は珍しく全員が徒歩で出かけている。
テンマ先生や大叔母様がいるはずの拠点に行くのだけど、シャル王女の馬車で移動するのは目立ちすぎるので、徒歩で移動しているのだ。
「わかっているでしょ! あんな風に目立ってしまって、陛下まで……あれでは学園で友達などできないじゃない!」
「まあ! アーリンさんは普通にお友達ができると思っていたのかしら。その方が驚きですわ!」
シャル王女の答えに私はジト目で返したけど、ドナとダニだけでなく護衛のソフィアさん達も苦笑していた。
「ふ~ん、シャルがそのつもりなら、テンマ先生にあなたには気を付けるように言おうかしら?」
シャル王女は驚いた顔で私を見つめてきた。悪魔王姿のテンマ先生しか見たことがないので焦っているみたい。
「じょ、冗談でもそんなことを言わないでくれません! お友達なら私がいるのだからいいじゃないの!」
「うふふふ、どういようかなぁ~」
シャル王女とはもう身分とか関係なく、すでに友達として普通に会話するようになった。
でも目立ちすぎるのよねぇ~。
テンマ先生の拠点に行くから、服装や装備も全員が地味にするようにしたはずなのに……。
シャル王女達や護衛もいつもよりは目立たない姿にはなっているけど、それでもシャル王女の存在は目立っている気がする。
もう気にしても仕方ないと諦めて、みんなとおしゃべりしながら歩いているけど、それも視線を浴びる原因になっているみたいだ。
女子だけの楽しい会話していると、いつの間にか目的地まで到着した。
そこは予想以上に広い敷地、というか幾つかの区画丸ごと壁に囲まれた場所であった。入口には門番もいる。
私は戸惑いながら、門番の人に声をかける。
「あのぉ、テンマ先生に会いにきたのですけど、どうすればよろしいのかしら?」
「テンマ先生……、あなた達はどのようなご関係で?」
門番の人は驚いた表情で尋ねてきた。私はそんなことを聞かれるとは思っていなかったので、なんと説明しようかと迷う。
「あっ、アーリンお姉ちゃん!」
えっ、誰? もしかしてピピちゃん?
少し離れた所から声を掛けてきたのは、仮面とマントを付けたウサギ獣人の少女であった。後ろには同じように仮面とマントを付けた、モフモフのシルちゃんらしいウルフ系魔物がいた。
「ぐへぇ!」
その少女は驚くようなスピードで抱きついてきたのだけど、あまりの衝撃で乙女らしからぬ声が漏れてしまった。
「会いたかったのぉ~」
う、嬉しいけど……また強くなっているじゃない!
腹部の痛みを堪えながら、懐かしいウサ耳を撫でながら答える。
「ピピちゃんよね? 私も会いたかったけど、その仮面は何なの?」
「あっ、これはテンマお兄ちゃん作ってもらったの。ちょっと待ってね」
ピピちゃんはそう答えると私から離れ、シルちゃんと並んで変な踊りのようなことをしてから詠唱のようなものを唱える。
「『トラジション』」
するとピピちゃんとシルちゃんから光に溢れ、光が収まると私のよく知る姿になった。
テンマ先生は何を作っているのかしら……。
相変わらずテンマ先生のやることは理解できない。
それはともかく懐かしいピピちゃん達の姿に嬉しくなり、今度はシルちゃんも一緒に抱き合いながら久しぶりの再会を楽しむ。
「そちらはピピ様お知り合いでしょうか?」
ピピ様?
門番の人は十歳の少女であるピピちゃんに気を遣うような感じで尋ねた。
よく見るとシャル王女達は驚いた表情で固まっていて、護衛は剣に手を添えてシルちゃんに警戒している。
あっ、シルちゃんを見て驚いてるのね!
「うん、アーリンお姉ちゃんはテンマお兄ちゃんの生徒なの。ピピと一緒に訓練していたの!」
「これは失礼しました! 他のかたもテンマ様のお知合いですか?」
門番は驚いたように答え、ピピちゃんにシャル王女達のことを尋ねた。
「んっ、知らない」
ピピちゃんはシャル王女達を見て首を傾げて答えた。私は慌てて話す。
「こちらは私の友達です! テンマ先生かドロテア大叔母様にお会いできるかしら?」
「ドロテア……大叔母様! わ、わかりました。すぐに連絡をします!」
門番の人は焦ったように何か指示して使いを走らせた。たぶん私が大叔母様の縁者と気付いたのだろう。
「お兄ちゃんは忙しいみたいだから、ドロテア様の所にピピが案内してあげる!」
ピピちゃんがそう話すと、門番は慌てたように何か魔道具のようなものを持ってきて、中に入るための手続きをしてくれたのだった。
敷地内に入るにはあの魔道具で登録しないと入れないみたいだ。
テンマ先生のいつもの魔道具ね。
ロンダでもテンマ先生の作った建物や研修施設は、同じような魔道具で登録しないと入れない。
王都でもテンマ先生は同じようなことをしているみたいねぇ。
ともかく私達は無事に敷地内に入ることができ、ピピちゃんの案内で大叔母様の所へ向かうことになった。
敷地内には見覚えのあるような建物が立っていた。
全部テンマ先生が作ったみたいねぇ。
ロンダでテンマ先生が作った建物にどことなく似ている。
シャル王女達は初めて見る雰囲気の建物に驚きながらも、私が歩きながらモフっているシルちゃんを見て目を輝かせている。
でも護衛の二人はまだシルちゃんのことを警戒しているみたいであった。
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