転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟

文字の大きさ
176 / 296
第11章 エクス自治連合

第4話 嵐の来訪

しおりを挟む
今日も昼ご飯を食べて、ジジ膝枕をしてもらいながらシルモフを堪能する。

エアル「テンミャァ~、私も一緒に寝るのじゃ~」
エリス「お母さま、私も一緒に寝ます」
エリカ「私もです!」

頼むから俺の至福の時間を邪魔しないでくれぇ~!

俺は薄目を開けてエアル3姉妹を見るが無視することにした。ジジが3人に注意しているのを寝たふりをしながら聞いていると、急に背中に悪寒が走った。

今すぐこの場から、いや、この地から逃げ出すべきだと変な強迫観念に襲われた。

慌てて起き上がると、ピョン吉もキョロキョロと不安そうに周りを見回していた。

『メーデー! メーデー! メーデー! ヴィンチザード王国より、恐れていたものが襲来! 私も脱出を……』

あっ、念話が途切れた……。

ま、まさか、魔道具ごとムーチョさんが……!?

「ジジ、凶悪な嵐が襲来した至急逃亡の準備を!」

俺は焦ってジジの肩を掴んで言った。そこに風呂から出てきたピピが走り寄ってきた。

ピピ「あっ、お兄ちゃ~ん、今日もくんれんしよう!」
リディア「俺も参加するぞ!」
ハル「私はそんな面倒なことしないわよ!」

ピピはドラゴン姉妹と風呂に入っていたようで、リディアとハル衛門も一緒だ。

エアル「逃亡とはどういうことじゃ?」
エリス「昔の女!?」
エリカ「う、嘘!?」
ジジ「テンマ様? 凶悪な嵐とは何ですか?」
アンナ「ついに来てしまいましたか……」

「そうだ! 来てしまった。ムーチョさんはすでに……」

「ム、ムーチョさんが!」

ジジが両手で口を押え驚いていた。

メーデーは確か救助要請だったような……。

アンナ「救助に向かいますか? 逃亡しますか?」

ムーチョさんは自分の身を挺して危険を知らせてくれた……。

しかし……、状況がほとんど分からない。

こういう時はムーチョさんに調査を頼むのだが、彼はすでに……。

「まずは状況の確認が必要だ。ハル衛門!」

「いやぁ~よ! そんな面倒臭いことぉ~」

「プリン10個!」

「やるわ! 何をすればいいの!?」

仕方ないので姿の隠せるハル衛門を投入することにした。


   ◇   ◇   ◇   ◇


ムーチョは冷や汗を流しながら念話でテンマに連絡を入れる。しかし、途中で念話の手応えに違和感を覚えた。

「使者様、困ります! あちらでお待ちくださいと言ったではありませんか?」

使用人の男が執務室に勝手に入ってきた女性に注意した。

「気にしなくても大丈夫じゃ。そこのバルドーとは昔からの知り合いじゃ!」

「バルドー? ここにはバルドーという人物はいません。使者殿、私はエクス自治連合の執政官であるレイモンドと言います。お話は会議室でしますので、そちらでお待ちください!」

レイモンドがそう答えると、女性は必死に何かを思い出すように考え込む。そして、思い出したのか顔を上げて話した。

「そうじゃ、ここではムーチョと名乗っておったのじゃ! そうじゃなムーチョ?」

女性の話を聞き、レイモンドとレーラは振り返ってムーチョを見つめる。ムーチョは諦めたのか、笑顔で話しかける。

「ドロテア様、お久しぶりでございます。マリアさん、扉の影に隠れているつもりかしれませんが、胸がはみ出していますよ?」

レイモンドが慌てて扉の方を見ると、扉から大きなものがはみ出していた。そしてはみ出したものがプルン揺れたと思うと、女性が姿を現した。レイモンドははみ出したものが女性の胸だとわかり、あまりの大きさに目を見開いて驚いていた。

「バルドー様、いえ、ここではムーチョ様とお呼びしたほうがよろしいかしら? お久しぶりですわねぇ」

「ここではムーチョでお願いします」

「そんなことはどうでも良いのじゃ。早くテンマに合わせるのじゃ!」

ドロテアは2人のやり取りしている間も、キョロキョロとテンマを探すように部屋の中を見ていた。部屋の中にいないことが分かると焦ったようにムーチョに言った。

ムーチョは大きく息を吐きだすと、ドロテアに話しかける。

「ドロテア様、ここはヴィンチザード王国ではございません。そしてこの部屋はエクス自治連合の代表でである執政官殿の執務室です。好き勝手なことはお止めください」

ムーチョは優しく諭すように話した。

「そんなのは関係ないのじゃ! 私は早くテンマに会いたいのじゃ!」

「そうですか……、テンマ様がこの地でされたことを、ドロテア様が全てぶち壊しにしたとなると、テンマ様に嫌われるでしょうなぁ」

ムーチョが首を傾げて意味ありげにそう話すと、ドロテアは露骨に動揺した。そしてマリアのほうに助けを求めるように振り返ったが、マリアは首を左右に振って話した。

「あまり強引な事をするとテンマさんに嫌われると、私は言いましたわ!」

マリアは突き放すようにドロテアに言った。

「しょんなぁ……」

ドロテアが落ち込んでいるのを見て、ムーチョはここがチャンスと考えて提案する。

「そこまで焦らなくてもテンマ様は逃げませんよ。ここはエクス自治連合です。本来のお仕事をしてからのほうがよろしいのではありませんか?」

「でもさっきは逃げようとした……」

ドロテアはジト目でムーチョを睨みながら文句を言う。

「それは誤解です。ドロテア様が来られたなら、テンマ様に報告するのは当然の事です。たぶんテンマ様がその知らせを受ければ、歓迎会でも開いてくれるのではと、私は思ったのですがねぇ」

「ほ、本当か!?」

「わかりませんなぁ。テンマ様の事はテンマ様しか分かりません。ですが、こんな迷惑を掛けたドロテア様では難しいでしょうねぇ」

ドロテアは泣きそうな顔になる。

「な、無かったことにするのじゃ……。頼むのじゃぁ~、早く会いたかっただけなのじゃぁ~」

結局泣き出してムーチョにドロテアは縋りついた。しかし、鼻水まで垂れして泣くドロテアをムーチョは押しとどめて話した。

「レイモンド殿、レーラ様、何もなかった。これからヴィンチザード王国の使者に普通にお会いになる。それでよろしいですね?」

2人は状況が全く理解できないが、ムーチョの真剣な表情に圧倒されて頷いた。

「それでは使用人と一緒に会議室にお戻りください」

ドロテアは安心したのかすでに泣き止んで部屋を出ていこうとした。ムーチョはそれを見て大きく息を吐いた。

「テンマ、どこ?」

ムーチョは突然真横から声を掛けられ、危うく攻撃しそうになる。驚きを隠して横を見ると、ミーシャが居ることに気が付く。ムーチョはまるで気配も感じず、ミーシャがいつ部屋に入ってきたのかも気付かなかった。

ミーシャの成長に驚きながらも、何とか驚きを隠して答える。

「あとで案内します。先にお仕事をして下さい」

「んっ、わかった」

ミーシャはそう答えると、ドロテア達の後を追ってトコトコ歩いて部屋を出ていくのであった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


ミーシャが出ていくと、レイモンドはムーチョに詰め寄って尋ねる。

「どういうことですか? バルドーと呼ばれていましたね。テンマとは誰の事ですか? ヴィンチザード王国の使者を知っているのですか? ドロテア様とはヴィンチザード王国のあのドロテア様の事ですか?」

レイモンドは矢継ぎ早に尋ねた。ムーチョは落ち着いた表情で答える。

「前にも話しましたが、私達はただの旅人です。トラブルに巻き込まれて、目立ちたくないのでテンマ様はマッスルと名乗り、私はバルドーですがムーチョと名乗ったのです。ここには旅の途中で立ち寄っただけです」

レイモンドは驚いて混乱する。ホレック公国は実質的にはマッスルに叩きのめされたと言って間違いではない。その相手がたまたまエクス群島に立ち寄った事実を知り、信じられなかったのである。

「バルドーという名前は聞いたことがあるわ……。ヴィンチザード王国の要注意人物だと話しているのを聞いたことが……」

レーラが必死に思い出そうとしながら呟いた。レイモンドもそれを聞いて思い出していた。

「私は前の仕事を辞めて、テン、マッスル様の執事をしています」

笑顔で答えるムーチョを2人は口を開いて見つめることしかできなかった。
しおりを挟む
感想 441

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい

夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。 彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。 そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。 しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。