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最終話 6

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「綸ちゃん…」

 疲れ切った様子の駿が、さらに眉を下げ顔を歪めると控えめに私を呼んだ。

「駿、おかえりなさい」

 努めて明るく言うが彼は力なく項垂れ……

「ごめん…俺が……前に居たのに…本当に申し訳ない…俺が…」

 ああ…彼らの世界をまた垣間見る瞬間だ。手を拭いて彼の元へ行き

「私がいいよ、大丈夫だよって言っても駿には響かないかもしれないね…でも私は駿が正宗のこと大事で大切に思っている事を知っているし、理解しているつもり。だから責めないよ………誰も。昨日聞いた時から一度もそんな事思っていない。ただ正宗が帰って来るのを待っているだけだよ……」
「綸ちゃん…」
「うん?駿の方がぼろぼろじゃない?何も食べてない?寝てないよね?」
「…綸ちゃん…まだ目が覚めないんだ…もう覚めるだろうって医者に言われてたけど…まだ…」
「………そっか…正宗が帰って来たら、寝すぎて心配したぞって…俺が寝てないのに一人で寝てるなって……怒っていいよ、駿」

 思わず、私よりずいぶん高くにある駿の頭を撫でた時、駿のポケットから電子音が響く。潤だ…すぐに駿が応える……

「潤、どうした?…うん、綸ちゃんなら目の前にいるよ………」

 駿がスマホを手にしたまま座り込み、どっと組員が集まった中

「目…覚めた…って……」
「「「「「「うぉーおぉー」」」」」」

 うーとも、わーとも区別出来ない声で食堂が揺れる。

 知らぬ間に流れた涙が駿に落ちたようで、彼は顔を上げ

「綸ちゃん…良かったっ」

 声を絞り出し唇を震わせ……私は膝をつき……駿と抱き合うと二人で静かに涙を流した………

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