さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

まぁ

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第十四話 9

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 まだ動かない……何も言わない彼に…そっと

「…リッキー?」

 小さく声を掛けると

「うん…うん……」

 彼はふたつ声に出して首を縦に振った後、くるっと体ごとこちらを向き、そっと遠慮がちに両腕で私を包みこんだ。

 そして頭の後ろから囁き声がする。

「ちょっとだけ…」

 私は体をカウンターの正面に向けたまま、首元に回る彼の腕を擦り

「着けてくれるかな…?」
「もちろん…嬉しくて言葉が出なくて自分でびっくりした……」

 彼はそう言い、ゆっくりと腕を放して箱の中のブレスレットを指に掛ける。

「見て、田嶋さん。俺に似合うやつだ」
「力哉にはゴールドだよな」
「私もそう思って選んだの。ここ‘R’入ってるよ」

 カーブチェーンの間の球を指差すと、リッキーは顔をくしゃっと崩し

「ありがとう、綸ちゃん。大切にする」

 気に入ってもらえて良かった。そう思いつつ、すぐに二度目の溢れる海鮮にモグモグモグ……頬を膨らませ目を細めていると田嶋さんが

「綸ちゃん、前も綺麗だったけど表情がいろいろ出るようになって、更に綺麗になったね」

 とそこへ、ドンドン…暖簾が内側に掛かった表の引き戸が、遠慮なく叩かれた。

「迷惑な奴だな」

 笑いながら田嶋さんが、カチャカチャっと解錠すると同時に表から引き戸が開かれた。

 頬いっぱいにご飯を頬張ったまま振り返ると

「綸」

 モグモグして返事が出来ないがいいか…さすがに無礼な行動よね、準備中となっているのに表から来て、田嶋さんに挨拶もしないで…あっ…いまの貝、美味しい。

 正宗はリッキーと反対側の隣に座り、私の膨れた頬を人差し指の背で撫でる。

「おいっ、お前デートの邪魔しに来るなよっ」
「あっ、リッキーそれ俺たちとお揃いか?」

 リッキーの叫びに負けない駿の大きな声がして堪らず

「少し静かにして欲しい。いま美味しいもの堪能中なの」

 くくっ……と笑った田嶋さんが

「お前らは昼、食ったのか?」
「はい、正宗はここでと言ったけど、あまりに誕生日のリッキーに悪いと思って済ませて来ました」

 潤が答えると、リッキーがいたずらっ子のような顔で言う。

「正宗、さっき田嶋さんが綸ちゃんを口説いてた」
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