彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

荒獅子と黒椿 3

「大西、どこだ？確認」
「ん」

悠仁が自分の電話の途中で私に言うので大西さんに電話する。

‘はい、玖未さんは若と上ですね？’
「うん。大西さんは？」
‘下の応援でいいか、若に了承を得たい’
「ん、待ってね。悠仁…」
「ん？」
「下の応援でいいかって、若の了承をって言ってる」
「それでいい」
「大西さん、下でいいって。お願いします」
‘はい。もう前に居ますが…玖未さん、大丈夫ですよ。派手に突っ込んで壊れてますけど、人は動いてます。きっと重傷者はいない’
「うん…お願いします」

松下さんが今勤務していたかどうかは分からない。里くんだって勤務していたかどうかは分からない。でも大西さんも野沢さんも落ち着いてやるべきことをやっているんだ。お姉さんや息子の心配をしながらも…

私も出来ることをしなくっちゃ。私が外へ出るのは良くない。だから…

私は片付けがあと少し残ったキッチンで、ご飯を炊く準備をした。みんな、おにぎり食べられるくらいの怪我で済んでてよ…

早炊きスイッチを押したまま固まる。頭でいろいろ考えながら動けるはずなのに動けない。

車の事故の時には外で起こっていることが見えた。例え、ヤクザ以上にヤクザな刑事さんが発砲しようが、状況が見えている方が落ち着けるのだと初めて知った。