105 / 284
現実と事実と真実と 5
しおりを挟む
「玖未ちゃん、大丈夫?緊張してる?」
「大丈夫」
「いいねぇ」
右京のいいねぇ、が分からなくてポシェットポーチを肩に掛けながら首を傾げた。
「ヤクザの本拠地に踏み込むのに大丈夫なんだな」
ああ、そういうことか…
「未知過ぎて…どんなところかもわからないし…どう緊張すればいいのかわからない。でも悠仁が私を連れて行くって言うなら大丈夫でしょ?」
チュッ…ペシャリ…チュッ…
悠仁が私の唇ギリギリにキスをして、右京、野沢さんの前だからやめてとペシャリと彼の胸を叩くとその手を掴んだ悠仁が手にキスをする。
「玖未さん、若がリラックスされている数少ないシチュエーションですから、私たちを気にせずいつでも甘くお過ごしください。外出先でも、すぐに組員でバリアが出来ますので部外者に公開は致しませんから遠慮なく、どうぞ」
野沢さんの説明は…それはそれで恥ずかしいんだけど、悠仁は普通に上着に腕を通して、右京は玄関へ向かいながら‘若と玖未ちゃん、降ります’と駐車場の組員さんへ連絡している。
普通過ぎて、恥ずかしがるのが恥ずかしいのかと錯覚しそうだ。
マンションから見えているのは一部だと聞いていた通り
「…旅館?」
門をくぐると同時に呟く。ただ門の雰囲気からしても閉鎖的な旅館という感じだ。
「旅館じゃねぇ。俺の家だ。玖未の部屋もあるだろ?」
先に車から降りた悠仁が私に手を差し出したのでその手を取る…のだが…無傷の左手を出せばいいものを固定が小さくなったからだろう…自然に右手を出してしまった。
この1ヶ月ですごく左手を鍛えられたと思ったけれどイマイチだったと実感する。
悠仁は躊躇うことなく私の右手をそっと引き
「ケガ直後は出せなかった手だ。よく回復したってことだ」
私の感じたことを読み取り耳元で言う。
「思うほど左手を鍛えられなかった」
「右脳を鍛える意識が足りなかったんだろ」
「そんなの…もっと早く言ってよ」
「「「「「お疲れさまっす」」」」」
車の隣でこそこそ話をしてから彼と一歩踏み出すと聞こえた声に足が止まる。
「チッ…いつもこんな出迎えはいらねぇと言ってあるのに張り切りやがったな」
多分、玄関に続く方向へ片側10人くらいかな…計20人ちょっとの人が整列している。
知ってる顔も知らない顔もあるんだけれど…私の腰を歩きづらいほどぎゅっと引き寄せた悠仁に連れられ、とりあえずペコリ…ペコリと前進した。
「大丈夫」
「いいねぇ」
右京のいいねぇ、が分からなくてポシェットポーチを肩に掛けながら首を傾げた。
「ヤクザの本拠地に踏み込むのに大丈夫なんだな」
ああ、そういうことか…
「未知過ぎて…どんなところかもわからないし…どう緊張すればいいのかわからない。でも悠仁が私を連れて行くって言うなら大丈夫でしょ?」
チュッ…ペシャリ…チュッ…
悠仁が私の唇ギリギリにキスをして、右京、野沢さんの前だからやめてとペシャリと彼の胸を叩くとその手を掴んだ悠仁が手にキスをする。
「玖未さん、若がリラックスされている数少ないシチュエーションですから、私たちを気にせずいつでも甘くお過ごしください。外出先でも、すぐに組員でバリアが出来ますので部外者に公開は致しませんから遠慮なく、どうぞ」
野沢さんの説明は…それはそれで恥ずかしいんだけど、悠仁は普通に上着に腕を通して、右京は玄関へ向かいながら‘若と玖未ちゃん、降ります’と駐車場の組員さんへ連絡している。
普通過ぎて、恥ずかしがるのが恥ずかしいのかと錯覚しそうだ。
マンションから見えているのは一部だと聞いていた通り
「…旅館?」
門をくぐると同時に呟く。ただ門の雰囲気からしても閉鎖的な旅館という感じだ。
「旅館じゃねぇ。俺の家だ。玖未の部屋もあるだろ?」
先に車から降りた悠仁が私に手を差し出したのでその手を取る…のだが…無傷の左手を出せばいいものを固定が小さくなったからだろう…自然に右手を出してしまった。
この1ヶ月ですごく左手を鍛えられたと思ったけれどイマイチだったと実感する。
悠仁は躊躇うことなく私の右手をそっと引き
「ケガ直後は出せなかった手だ。よく回復したってことだ」
私の感じたことを読み取り耳元で言う。
「思うほど左手を鍛えられなかった」
「右脳を鍛える意識が足りなかったんだろ」
「そんなの…もっと早く言ってよ」
「「「「「お疲れさまっす」」」」」
車の隣でこそこそ話をしてから彼と一歩踏み出すと聞こえた声に足が止まる。
「チッ…いつもこんな出迎えはいらねぇと言ってあるのに張り切りやがったな」
多分、玄関に続く方向へ片側10人くらいかな…計20人ちょっとの人が整列している。
知ってる顔も知らない顔もあるんだけれど…私の腰を歩きづらいほどぎゅっと引き寄せた悠仁に連れられ、とりあえずペコリ…ペコリと前進した。
81
あなたにおすすめの小説
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
思い出のチョコレートエッグ
ライヒェル
恋愛
失恋傷心旅行に出た花音は、思い出の地、オランダでの出会いをきっかけに、ワーキングホリデー制度を利用し、ドイツの首都、ベルリンに1年限定で住むことを決意する。
慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。
秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。
主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。
* ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。
* 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。
* 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。
虚弱なヤクザの駆け込み寺
菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。
「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」
「脅してる場合ですか?」
ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。
※なろう、カクヨムでも投稿
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
甘い束縛
はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
※小説家なろうサイト様にも載せています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる