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現実と事実と真実と 4
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「眠りながら聞けよ?」
彼女の苦手な時間だが、俺が愛と温もりと声とで玖未を包んでやる。
「こうして玖未を生涯離さないが…俺たちが特殊な目を向けられることがあるということは先に伝えておく」
「…ん」
ちゃんと聞いているな。
「その結果、近づいてくる奴と離れていく奴とに二分される」
「ぅん…」
「一般人は離れていって普通だ…近づいてくる奴は裏に何かあるんじゃないかと徹底的に調べる」
コクン…
「だから…もしかすると玖未の友達も…中山だったか?離れていくかもしれない。一般的な家庭ではそう言うだろうからな。まだわからないが、そういう可能性があるということと、万が一そうなっても俺は玖未を離さない。離せない。友達一人分以上のものを与え続けると誓うから…そこは友達より俺を選べよ?」
中山から離れるか、俺たちが切るか、相手の出方次第だがおそらく離れることにはなるだろう。玖未が唯一の友達に悪く言われた、裏切られた、といった気持ちを味わうことのないように対応して、中山のことを悪くも言わず、最後は組のせいにしておくのが無難だろう。その時のために軽く予防線を張っておく。全て玖未のためだ。
「ゆぅ…じん…」
「ん?」
「だいじょ…ぶ…私…私もね…」
眠そうな玖未の声が途切れたのではなく震えた。
抱きしめる腕の片方で玖未の頭をしっかりと抱き、もう片方は腰に回すと足も巻き付ける。
「…私も…幸せに…なりたいなぁ…って…最近思う…悠仁がいてくれたら…って…」
「いる」
「悠仁と…離れて…舞花と何ヵ月に一度会う…のは…っ…夜が怖…ぃからヤダ…」
他人から見れば、俺を選ぶのではない子どものような選択に聞こえるかもしれない。しかし玖未の根底にある不安を吐露出来る相手が俺ならば、玖未自身が俺を選んだのだと俺は自信を持って言う。
「今、怖いか?」
「…怖くない」
「俺の玖未だからな。このまま寝るぞ」
玖未が須藤組に出入りを始めるのだから、さっさとあの女を切れば楽なんだ。
例えば、右京が背中を見せないまま数回抱いてからポイッとするのが一番手っ取り早いし、右京だってそう思っているだろう。だが、右京がそうやって女を傷つけたとなるのも玖未の心にダメージが残る。
だから俺たちは1ヶ月、そして次の1ヶ月の策を立てて‘自然に’‘道徳的に’‘仕方なく’友達には離れてもらう。離れてもらうだけで排除はしない。
玖未に感じている優越感と正反対の劣等感は抱えてもらうことになるかもな。
彼女の苦手な時間だが、俺が愛と温もりと声とで玖未を包んでやる。
「こうして玖未を生涯離さないが…俺たちが特殊な目を向けられることがあるということは先に伝えておく」
「…ん」
ちゃんと聞いているな。
「その結果、近づいてくる奴と離れていく奴とに二分される」
「ぅん…」
「一般人は離れていって普通だ…近づいてくる奴は裏に何かあるんじゃないかと徹底的に調べる」
コクン…
「だから…もしかすると玖未の友達も…中山だったか?離れていくかもしれない。一般的な家庭ではそう言うだろうからな。まだわからないが、そういう可能性があるということと、万が一そうなっても俺は玖未を離さない。離せない。友達一人分以上のものを与え続けると誓うから…そこは友達より俺を選べよ?」
中山から離れるか、俺たちが切るか、相手の出方次第だがおそらく離れることにはなるだろう。玖未が唯一の友達に悪く言われた、裏切られた、といった気持ちを味わうことのないように対応して、中山のことを悪くも言わず、最後は組のせいにしておくのが無難だろう。その時のために軽く予防線を張っておく。全て玖未のためだ。
「ゆぅ…じん…」
「ん?」
「だいじょ…ぶ…私…私もね…」
眠そうな玖未の声が途切れたのではなく震えた。
抱きしめる腕の片方で玖未の頭をしっかりと抱き、もう片方は腰に回すと足も巻き付ける。
「…私も…幸せに…なりたいなぁ…って…最近思う…悠仁がいてくれたら…って…」
「いる」
「悠仁と…離れて…舞花と何ヵ月に一度会う…のは…っ…夜が怖…ぃからヤダ…」
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「今、怖いか?」
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「俺の玖未だからな。このまま寝るぞ」
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だから俺たちは1ヶ月、そして次の1ヶ月の策を立てて‘自然に’‘道徳的に’‘仕方なく’友達には離れてもらう。離れてもらうだけで排除はしない。
玖未に感じている優越感と正反対の劣等感は抱えてもらうことになるかもな。
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