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第8話 熱情
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「……アーヴィンさん……」
「キャシー……キャシー……!」
アーヴィンが欲をキャロライナにぶつける。
キャロライナの蜜壺をまさぐり、そのぬめりを己自身に擦り付け、キャロライナの中にねじ込んだ。
キャロライナは初めての痛みに、涙を流しながら、ずっと渇望していたものが満たされていくのを感じた。
キャロライナの中でアーヴィンの昂ぶりはより一層熱を持つ。その熱にキャロライナも浮かされた。
手探りで行われるそれはとても優しくて、キャロライナはすべてをアーヴィンに任せられた。
キャロライナにももうわからなかった。
自分は誰だろう。アーヴィンが抱いている自分はキャロライナなのだろうか、キャシーなのだろうか。
「……愛しています」
ただ小さくそう呟いた。そうすることしかできぬまま、キャロライナはすべてをアーヴィンに捧げた。
翌朝、キャロライナはアーヴィンの腕の中で目覚めた。
その気配でアーヴィンも目覚める。
「あっ、ああっ!」
アーヴィンは狼狽すると、ベッドの上で不格好ながら土下座をした。
「す、すまない。キャシーさん……看護師という逆らいづらい立場のあなたに……!」
「どうぞ、顔をお上げになって」
キャロライナはそうアーヴィンに声をかけると、唇を奪った。
自分は気にしていない。表情が見えない彼にそう伝えたかった。
「……姫様?」
いつかと同じ感触に、アーヴィンは確信したようにつぶやいた。
「あっ……」
キャロライナは口をふさいだ。しかしもう遅かった。
「……キャロライナ姫様なのですか……? キャシーが? キャロライナ姫? 本当に?」
もはやごまかしきれなかった。
「……は、はい」
「……お、俺はなんということを」
アーヴィンは震えていた。
一国の姫君に欲望をぶつけたのだ。
それはもう大罪に近い。
「いかなる処分でもお受けします。これまで俺を支えてくれたキャシーへの狼藉。姫様への狼藉。どちらもどうか裁いてください」
「わかりました」
キャロライナはアーヴィンに見えていないとしりながらうなずいた。
「……裁きを言い渡します。騎士アーヴィン。あなたは……体を治すことに専念なさい。そして……そして……わ、私と契ってください。一夜限りではなく……永久に共に」
「そ、それは……」
「兄に根回しをしてもらいます。護国の英雄なら目が見えないくらい問題はありません。しかるべき貴族の家に養子として入ってもらいます。そして正式に私の夫になるのです。……私があなたに言い渡せる裁きはそれだけです。それが不服なら、兄にでも父にでも裁きを求めてください」
「……わかりました。その裁き、謹んでお受けします」
アーヴィンは頭を下げた。
それからさらに一年が経った。
キャロライナは東部にある王領の飛び地を、夫と統治することを条件に分け与えられた。
その夫アーヴィンは少しずつ、ぼんやりと影が見えるようになってきた目で、その土地を眺めていた。
「いやあ、まさかキャシーさんがお姫様だったなんて……」
マーサがしみじみとつぶやく。
王宮の侍女に混じって彼女もキャロライナとアーヴィンについてきていた。
「……お幸せですか?」
「はい」
キャロライナは穏やかに微笑むと、愛しい夫の元に駆けていった。
◇◇◇
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「キャシー……キャシー……!」
アーヴィンが欲をキャロライナにぶつける。
キャロライナの蜜壺をまさぐり、そのぬめりを己自身に擦り付け、キャロライナの中にねじ込んだ。
キャロライナは初めての痛みに、涙を流しながら、ずっと渇望していたものが満たされていくのを感じた。
キャロライナの中でアーヴィンの昂ぶりはより一層熱を持つ。その熱にキャロライナも浮かされた。
手探りで行われるそれはとても優しくて、キャロライナはすべてをアーヴィンに任せられた。
キャロライナにももうわからなかった。
自分は誰だろう。アーヴィンが抱いている自分はキャロライナなのだろうか、キャシーなのだろうか。
「……愛しています」
ただ小さくそう呟いた。そうすることしかできぬまま、キャロライナはすべてをアーヴィンに捧げた。
翌朝、キャロライナはアーヴィンの腕の中で目覚めた。
その気配でアーヴィンも目覚める。
「あっ、ああっ!」
アーヴィンは狼狽すると、ベッドの上で不格好ながら土下座をした。
「す、すまない。キャシーさん……看護師という逆らいづらい立場のあなたに……!」
「どうぞ、顔をお上げになって」
キャロライナはそうアーヴィンに声をかけると、唇を奪った。
自分は気にしていない。表情が見えない彼にそう伝えたかった。
「……姫様?」
いつかと同じ感触に、アーヴィンは確信したようにつぶやいた。
「あっ……」
キャロライナは口をふさいだ。しかしもう遅かった。
「……キャロライナ姫様なのですか……? キャシーが? キャロライナ姫? 本当に?」
もはやごまかしきれなかった。
「……は、はい」
「……お、俺はなんということを」
アーヴィンは震えていた。
一国の姫君に欲望をぶつけたのだ。
それはもう大罪に近い。
「いかなる処分でもお受けします。これまで俺を支えてくれたキャシーへの狼藉。姫様への狼藉。どちらもどうか裁いてください」
「わかりました」
キャロライナはアーヴィンに見えていないとしりながらうなずいた。
「……裁きを言い渡します。騎士アーヴィン。あなたは……体を治すことに専念なさい。そして……そして……わ、私と契ってください。一夜限りではなく……永久に共に」
「そ、それは……」
「兄に根回しをしてもらいます。護国の英雄なら目が見えないくらい問題はありません。しかるべき貴族の家に養子として入ってもらいます。そして正式に私の夫になるのです。……私があなたに言い渡せる裁きはそれだけです。それが不服なら、兄にでも父にでも裁きを求めてください」
「……わかりました。その裁き、謹んでお受けします」
アーヴィンは頭を下げた。
それからさらに一年が経った。
キャロライナは東部にある王領の飛び地を、夫と統治することを条件に分け与えられた。
その夫アーヴィンは少しずつ、ぼんやりと影が見えるようになってきた目で、その土地を眺めていた。
「いやあ、まさかキャシーさんがお姫様だったなんて……」
マーサがしみじみとつぶやく。
王宮の侍女に混じって彼女もキャロライナとアーヴィンについてきていた。
「……お幸せですか?」
「はい」
キャロライナは穏やかに微笑むと、愛しい夫の元に駆けていった。
◇◇◇
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