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公爵令嬢は婚約パーティーをしたい
しおりを挟むもう休暇も後半、婚約パーティーは早い方がいいだろうと早速招待状を送り両家で協力し準備を進めた。
ノーフォード家の者の殆どがかなり卓越した魔法の使い手なので準備に手間はかからないだろうと、短い準備期間ではあるが休暇の最終日に婚約パーティーを行うことにしたが、その読み通り完璧に準備が整った状態で当日を迎えることができた。
「セシールちゃん、とても綺麗よ」
クロヴィスの瞳に合わせた金色で煌びやかな生地でシンプルなドレスは彼女の白い肌に馴染むようで上品さもあり、綺麗な真っ直ぐな髪をサイドに寄せて、ノーフォードの家紋のついた小ぶりの金のアクセサリーとダイヤで統一されており金のイヤリングには紺色の綺麗な宝石が入っていた。
「ありがとう…お母様なんだか不思議ね…。」
婚約の報告と許し貰いに登城した際の国王と王妃はとても悲しげであったが、セシールを我が子のように想うその心のまま、幸せを願ってくれた。
この婚約パーティーでは、テオドールへ二人が忠誠の儀を行うことも組み込まれていた為、両陛下の出席も決まっている。
「セシール…おめでとうとても美しいわ。」
「王妃様、この度は御足労頂きありがとう御座います。」
「崩してて良いわ、ディアーナおめでとう。」
「ありがとう、娘の幸せを応援してくれてとても感謝しているの…リリアンヌ様ありがとうそれとごめ…
「謝らないで。此方こそセシールには辛い思いをさせたというのに。」
「王妃様、私の殿下と過ごした日々は充分に幸せでした。とても感謝しています。せっかく沢山の事を教えて頂いたのにこの様な結果になってしまって申し訳ありません。」
「あなたも、謝らないで。これもテオドールが選んだことよ。陛下も貴女の幸せを喜んでいるわ。」
「ありがとうございます…っ」
「こら、泣かないの。せっかく美しいのに、崩れてしまうわよ。」
「ふふっ、セシールちゃんは幸せ者ねぇ」
「失礼します。そろそろ、広間へ…」
リアムがセシールを呼びに来て、彼女を見るとグッっと涙を堪えるようにして言う。
「お嬢様さま…っお綺麗です。」
「もう、一生の別れのようね。ずっとこの先も一緒にいるというのに。」
三人で笑って会場へと足を進めた。
ーーー
会場である広間の入り口の前まで行くとクロヴィスが珍しく正装をして、エスコートの為に先に待っていた。
「…!セシール、今日は一段と美しいよ。」
「クロ…ありがとう。貴方もとても素敵だわ…」
頬を染めてクロヴィスをチラリと見たセシールの姿に胸を撃ち抜かれた様に硬直した彼を見て、セシールは不思議そうな顔で覗き込んだ。
クロヴィスのタキシードは濃厚をメインに金の装飾を施されており、耳飾りや指輪にはセシールの瞳の色を表すアメジストが飾られていた。
「クロ、セシール…。おめでとう。」
「テオ、」
「テオ…ありがとう。」
テオドールが優しく微笑みながら二人に祝福の言葉を述べる、その表情はまだ、セシールを愛おしく思う切ないものであったが、確かに穏やかに二人の幸せを心から祝ってくれていると伝わった。
「美しいよ、セシール。」
「ありがとう…」
「今日の忠誠の儀ではヘマをしないように頑張るよ、」
セシールとクロヴィスに気を遣わせないように、冗談を言って笑ったテオドールに、二人は感謝して、皆に祝われながら等々入場の時を迎えることとなった。
先に入場した両陛下に続き、テオドールは本人の希望により同伴者を連れずに入場し、両陛下の隣の自分の席に座った。
次に、ギリギリで間に合ったマケールとディアーナが入場してから、エドウィンとブリアナが入場した。
名を呼ばれ、二人は沢山の祝福の声の中入場した。
「よかったわ、祝福されているのね….」
「ああ。俺も安心したよ。」
まずは両陛下、殿下への挨拶をし、両家へ礼をした。
壇上へ上がったクロヴィスとセシール、
「本日は急な招待にも関わらず、皆様にお越し頂きとても光栄に思います。本日は私、クロヴィス・ラウル・ランスロットとセシール・グレース・ノーフォード公爵令嬢の婚約のご報告と、もう一つ大切な儀の為にこの会を開かせて頂きました。どうかごゆるりとお過ごし下さい。」
パチパチーー
「この度は、お集まり頂きありがとうございます。本日行う事においては、両家、両陛下の承認の元の決定事項となります。どうかご理解頂ければ幸いです。せっかくのパーティーですのでどうか楽しんでお過ごし下さいませ。」
二人の挨拶がおわり、次々入れ替わりで主役への挨拶に来てくれるので忙しくしていると、
リシュにエスコートされたマチルダが彼の瞳色から彼女の紅へと変わる夕焼けの様な美しいドレスで、二人に祝福を述べた。
「セシール、クロ、本当におめでとう…。」
テオドールとの事も知っている以上、静かにセシールを抱きしめて心からのお祝いの言葉を述べた。
「貴方はきっと幸せになるわ。殿下もきっと幸せになる。」
まじないのように、セシールに言い聞かせるようにそういうとクロヴィスに向き直って笑った。
「心配はしてないわ。幸せになってね。」
「ああ、ありがとう。お前も幸せそうで良かったよ。」
「やあ、クロ!本日はおめでとう。後になるけど僕達の婚約パーティーにも勿論出席してくれるよね?」
「ちょっと、貴方ほんっとうに…!」
マチルダがリシュを睨むとクロヴィスとセシールは笑った。
マチルダがテオドールをチラリと見ると、
こっちを見て片手を挙げて微笑んだ。
みんなでアイコンタクトをして、少しだけ笑った。
「全員でパーティーに出れるなんて、久々ね。リアム達も出られたらもっと楽しいのだけど。」
マチルダが微笑んで言うと、リシュが少しだけ不安げに
「君の皆には僕も入っているのかな?」
と言うので、セシールとマチルダは顔を見合わせてクスクス笑って、「「勿論よね」」と声を揃えた。
やっと挨拶が終わったのか、テオドールが降りてきて
「あれ?クロ、私を差し置いて皆と楽しそうにして妬けるよ。」
と、クロヴィスの肩に手を置き後ろから声をかけるので、
彼の冗談にまた、皆で笑った。
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