公爵令嬢は破棄したい!

abang

文字の大きさ
53 / 75

公爵令嬢と幼馴染

しおりを挟む

エイダとエイミーは久々にセシールの外出の支度を手伝えてはりきっていた。



「こんなに張り切らなくてもいいのよ….?」


「いいえ!お嬢様の久々の外出のお手伝いですもの!」

「張り切って用意します!」

二人はとても真剣にクローゼットへ入っていき、手際よく着せていった。

「お嬢様の髪色に似合う、ノーフォードの濃紺のドレスに致しました。相手が女性、マチルダ様と言う事でいつもより、少し大胆でも大丈夫だと判断し、こちらを…」


「お嬢様、今日は髪は下ろされましょう!片側に寄せて…」


いつも首元の詰まったドレスが多いセシールは珍しく、鎖骨の見える、下品じゃ無い程度に胸元の開いたドレスであった。

スレンダーなデザインに太ももまでスリットが入っており、艶のある濃紺に袖はなく、小さなダイヤが散りばめられた白の肘までの手袋をして、艶のある濃紺の、ダイヤを散りばめたパンプスを履いて、アクセサリーはダイヤで統一されていた。

「お嬢様、ショールを。」

シースルーの濃紺のショールを肩にかけ、エイダとエイミーを連れてマチルダの所へ行く前に少し早めに街でなにか珍しい手土産を探そうと、街へ行った。




ーーー

少し空きができたので、気分転換に歩こうとクロヴィスが街に出ると、ノーフォード家の馬車を見つけ、どこに居てもすぐに見つけてしまう、彼の最愛の女性が馬車を降りるのが見えた。


「セシール、」

「あら、クロ!ご機嫌よう、!貴方にも早く会いに行かないとと思っていたのよ。エラサではありがとう。」



微笑んだ彼女はいつもの、清楚な格好より少しだけ大胆なドレスを着ていて、ノーフォードの濃紺は彼女の白い肌を際立たせていた。

スレンダーでシンプルなドレスは引き締まった彼女の腰を強調させ、覗く白い太ももはひどく何かを駆り立てるものだ、



「いや…問題はない。お前が片付けたよ、全部。」


「まだ時間があるの、少しお茶でも?」



「ああ、喜んで。」



セシールに街の皆の視線が集まっているような気がしたし、その白い肌を細い腰を、人の目に晒しておくにはもったいなく感じた、何よりクロヴィスがそれは嫌だったのだ。



クロヴィスは自分の着ている上着をセシールの肩にかけてやると、セシールの手を取り腰に手を添えて、たった今セシール達が入ろうとしていた店へエスコートした。



「あら、クロヴィスありがとう。」


「あまり薄着だと身体を冷やすぞ。」


エイダとエイミーは顔を見合わせ、頬を染め声に出さずにクロヴィスの小さな嫉妬と紳士的な対処にこっそり盛り上がっていた。


((キャ~なんてお可愛らしいお二人なの!!))


ランスロットの紋章が入った黒地に金の装飾が施されているジャケットはセシールのドレスとも良く合い、店に入ると目を丸くした店主が、急いで案内したのは高位貴族のカップルがよく使う、隣同士に座り、窓からは街が見える高級品のソファと煌びやかな装飾の個室であった。


クロヴィスとセシールは驚いたが、

子供の頃から隣に座ることなどよくある事だったので、まぁ別にいいかとお互いに顔を見合わせて苦笑して、少し間を空けて席についたのだった。

「ほんとうに、困ってしまうわね、」クスクス

久々に近くに感じるセシールの体温に耳を少し赤くして、頷くクロヴィスに、不思議そうな顔をするセシールを見てクロヴィスは部屋を変えなかった事を後悔した。

ジャケットと元々控えめに開いているせいもあり、胸元は目立たないものの、ちょうどクロヴィス側から彼女の白い太ももが少しだけ見える。


(こいつは危機感がないのか、俺が意識されていないのか…)

「ねぇ貴方覚えている?わたくしと貴方って凄く幼い頃は婚約者のつもりだったようよ。」クスクス


クロヴィスは少しだけ寂しそうに笑って、

「ああ覚えているよ、ずっとお前が俺の妻になるんだと思っていたよ。そして子供だったけどきっと本当の愛だった」


セシールは目を丸くして、頬を染めた。


「そ、そうだったのね、わたくしもきっと貴方に本当に恋していたと思うわ、覚えてはいないのだけど、」


今度はクロヴィスが目を丸くして、思わず、衝動的にセシールを抱きしめてしまった。

急なクロヴィスの行動に驚きフォークを落としたセシールはチラリと床をみたが、首元にかかるクロヴィスの息がくすぐったくて身を捩った。

「くすぐったいわ、クロったら具合でも悪いの??」


「いや、お前の美しさにやられたみたいだ。離してやれそうにない。」


セシールは内心ドキリとした。


「…っ、からかわないで下さる?」


「急にすまない。ただ抑えられなくて、今言うべきではないと思ったんだが……今も変わってない。ずっとセシールだけを愛してる。」


真っ赤になって慌ててクロヴィスの胸を押したセシールに、眉尻を下げて両手を降参するように軽く挙げた。

「これ以上は、何もしない。俺にとってはテオも大切な人だから。ただ、知って欲しかったんだ昔も今も、これからもずっとセシールだけを愛してるし、何があっても俺だけはお前の味方だと。」

マチルダもそうだが…と戯けてはいるが、切なげな顔で言うクロヴィスにセシールは幼いクロヴィスが彼女が婚約の為に王宮に行く日に、セシールを見送る時、セシールの手を離した時の切ない、苦しそうな顔を思い出した。




「クロ…思い出したの。貴方昔も同じ顔でわたくしを見送ったわ。私幼くて、きっと今も愛をきちんと分かっていないままだけれどっ、貴方の手を離す時に泣いたのねわたくし貴方を失ってしまうと思って、」




クロヴィスはそっとセシールの頭を撫でて、切なさを秘めたその金色の瞳で慈しむように、言った。



「昔の話だよ、セシールはゆっくり前に進めばいい。さっきも言ったが、俺はどんな形であれずっとセシールの味方だから…」



「お前の幸せを、俺の全てをかけて応援する。」


セシールの胸はいっぱいだった。

クロヴィスの見返りを求めない優しさは、彼女の全てを受け止めるその広さは、ドロドロに甘やかしてくれるところも、ぜんぶ昔から当たり前にあったものだが、本当はとっくに失っていてもおかしくなかったのだと思った。

「時間まで、お茶だけは俺としてくれる?」



申し訳無さそうにセシールと距離を取って言ったクロに、




「ええ、貴方が良ければ…」



と、温かいけど落ち着かない心で返事をしたセシールだった。

(こういう時はきちんと返事をするのかしら?求められた訳でもないのに図々しいのかな、…マチルダ助けて、わたくしどうすればいいの…。)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

完結 殿下、婚姻前から愛人ですか? 

ヴァンドール
恋愛
婚姻前から愛人のいる王子に嫁げと王命が降る、執務は全て私達皆んなに押し付け、王子は今日も愛人と観劇ですか? どうぞお好きに。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない

ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。 公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。 旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。 そんな私は旦那様に感謝しています。 無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。 そんな二人の日常を書いてみました。 お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m 無事完結しました!

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」 「……あぁ、君がアグリア、か」 「それで……、離縁はいつになさいます?」  領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。  両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。  帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。  形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。 ★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます! ※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。

処理中です...