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二章 学園生活
尋問
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胃薬を貰い、久々のルカリオンが淹れてくれるハーブティに人心地つく。
喫茶店からセインに瞬間移動の魔法で学園内に送ってもらい、二葉ちゃんはラローシュとセインとお茶会をするのだと笑って去っていった。
その時に二葉ちゃんは『ルカリオン様の赤いマーク、アレって嫉妬か怒りマークだと思う』と言っていて、ルカリオンが二葉ちゃんに対して思っている感情のマークだったようだ。
部屋に戻ってくると、ルカリオンに薬とお茶を飲んだら説明するように言われている。
これは、ラローシュ達にも言われていて、二人で話し合えという事らしい。
「最近、まともに食べていなかったのでしょう」
「……食欲、あんまりなくて」
「まったく、あなたという人は。薬の前に何か食べて下さい」
ルカリオンは自分の部屋から小さな鍋を持ってくる。
中にはリゾットのような物が入っていた。
ルカリオンは穀物系はそんなに好きな方じゃないのに、作ってあったという事は……俺のために用意していたのだろうか? チラッと目でルカリオンを見れば、目をそらして頬を赤くする。
「この頃、胃の上に手を置いたり、具合を悪そうにしてましたからね。気付かないでいる方が、難しいんですよ」
「ありがとう」
「いいえ、わたしも早めに声を掛けて、無理にでも食べさせるべきでした」
スープ皿にリゾットもどきをよそってくれて、ルカリオンは陶器で出来た白いスプーンで掬って口元まで持っていき、ふぅと息で冷ます。
あーんと、口を開けるとゆっくり尻尾が揺れて、鳥のヒナに餌をやるように給餌してくれる。
ミルクと穀物の優しい味に、胃の中も温かくなっていく。
「さて、薬も飲んだことですし、説明してくれますよね? 彼女は何者です?」
ソファでルカリオンの膝の上に座らされて、尋問が始まってしまった。
何者ですと聞きながら「ん?」と、早く言えと促すように顎を指で下から上に撫であげられる。
ぞわっと背筋がむず痒い。
「えっと……説明が大変なんだけど、姉、です」
「坊ちゃんの上にお姉さんは居ませんよね? それに彼女の方が年下でしょう? 入学させるのに色々書類を改ざんしたようですが」
書類の改ざんまで知っているとは……うちの従者は、どこまで知っているのやらだ。
実際、死んだ時期が違うからか、二葉ちゃんは一つ下になる。
「だから、説明が難しいって言ってる。俺がフェルミナ・ドロッセルとして生まれる前の、血の繋がった一つ上の姉で、二葉っていうんだよ」
半信半疑という感じなのか、ルカリオンはじっと俺の顔を見てくる。
でも、それ以外に説明のしようがない。
「なら、名前は?」
「え、だから、二葉だって……」
「あなたの、前の名前ですよ」
「三香。字の読み方が『ミカ』って読めるから、二葉ちゃんはミカって呼んでいるけど」
「ミヨシですか」
コクコクと頷いて、やはりイントネーションが難しいのか、ヨシの部分が短く呼ばれてしまいミュシという風に聞こえてしまう。
ルカリオンに生前の名前を呼ばれるのは、気恥ずかしいところもある。
「どこの国で、何をして生きていたのですか」
「尋問みたい……」
「好きな人の事は全部知りたい、そう思いませんか?」
思いませんかと言われても、俺の過去なんて大した事は無いし、今を生きているから意味が無いとも思うんだけど、ルカリオンは全部知りたい系なのか。
「日本って国で、この世界だと珍しい黒髪に黒目が多くて、細かい作業をするのが好きな人種……かな? 俺は学生で、二葉ちゃんも学生だったよ。今みたいに薬品を扱った勉強をしてた」
「ニホンで学生だったのですね。恋人は、いましたか?」
「う……っ、言い辛い事を……、二十年。年齢イコール恋人いない歴……いや、俺の場合、享年イコール恋人いない歴かな?」
どうせモテなかったですよ。
憐れんだ目で見ないで欲しいのだけどね?
ルカリオンが頬を撫でて、髪に唇を落としてくる。
「あなたは一度亡くなった、のですよね」
「ああ、そっち。うん、まぁなんというか、二葉ちゃんのドジで死んじゃったかな? あ、別に恨んでいないし、こうして仲も良いだろ?」
憐れむような目は、死を悼んでの目だったみたいだ。こうして生まれ変わっているから、気にしないで欲しい。
二葉ちゃんに関しても、恨んでいないから、怒らないで欲しいところだ。
「最後に、どうして、わたしを捨てたのですか?」
「……二葉ちゃんの方が、ルカリオンには似合うから……俺じゃ、ルカリオンにいつか捨てられる……」
ヒロインと悪役なら、ヒロインの方がいいに決まっている。
ましてや、令嬢ではなく令息。非生産的な恋愛でしかないのに、何一つ二葉ちゃんに勝ち目なんてない。
「わたしが、あなたを捨てる? どこをどう考えたら、そんなバカげた発想に辿り着くんですか」
「だって……」
シュンと項垂れると、頭をポンポン『バカな子』というように叩かれた。
痛くはないけど、地味に傷つくので止めて欲しい。
俺の下唇を指であげて、食むように口付ける。
「わたしを好きだと言った口で、捨てるなどと言うのですか?」
「それは……んぐっ」
また唇を唇で塞がれて、言葉を紡ぐために開いてもキスを繰り返される。
濡れた唇が熱を持つ、息が上がって思考も蕩けてしまいそうだ。
「大事な事は一つだけでしょう。わたしはあなたが好きで、あなたも、そうでしょう?」
良いのだろうか? ヒロインでも無い悪役の俺が、攻略対象のルカリオンを奪ってしまっても。
二葉ちゃんは……あー、うん、なんだか分かってくれそうな気がする。
「ルカリオン、好き」
「ええ、知っています。でも、これからは、ちゃんと口に出して下さいね」
優しく口付けられて、孤児院に行った時から我慢していた色んな思いが涙になって溢れていく。
ルカリオンに涙を拭かれて、余計に泣いてしまう俺は、意外に涙脆いのかもしれない。
喫茶店からセインに瞬間移動の魔法で学園内に送ってもらい、二葉ちゃんはラローシュとセインとお茶会をするのだと笑って去っていった。
その時に二葉ちゃんは『ルカリオン様の赤いマーク、アレって嫉妬か怒りマークだと思う』と言っていて、ルカリオンが二葉ちゃんに対して思っている感情のマークだったようだ。
部屋に戻ってくると、ルカリオンに薬とお茶を飲んだら説明するように言われている。
これは、ラローシュ達にも言われていて、二人で話し合えという事らしい。
「最近、まともに食べていなかったのでしょう」
「……食欲、あんまりなくて」
「まったく、あなたという人は。薬の前に何か食べて下さい」
ルカリオンは自分の部屋から小さな鍋を持ってくる。
中にはリゾットのような物が入っていた。
ルカリオンは穀物系はそんなに好きな方じゃないのに、作ってあったという事は……俺のために用意していたのだろうか? チラッと目でルカリオンを見れば、目をそらして頬を赤くする。
「この頃、胃の上に手を置いたり、具合を悪そうにしてましたからね。気付かないでいる方が、難しいんですよ」
「ありがとう」
「いいえ、わたしも早めに声を掛けて、無理にでも食べさせるべきでした」
スープ皿にリゾットもどきをよそってくれて、ルカリオンは陶器で出来た白いスプーンで掬って口元まで持っていき、ふぅと息で冷ます。
あーんと、口を開けるとゆっくり尻尾が揺れて、鳥のヒナに餌をやるように給餌してくれる。
ミルクと穀物の優しい味に、胃の中も温かくなっていく。
「さて、薬も飲んだことですし、説明してくれますよね? 彼女は何者です?」
ソファでルカリオンの膝の上に座らされて、尋問が始まってしまった。
何者ですと聞きながら「ん?」と、早く言えと促すように顎を指で下から上に撫であげられる。
ぞわっと背筋がむず痒い。
「えっと……説明が大変なんだけど、姉、です」
「坊ちゃんの上にお姉さんは居ませんよね? それに彼女の方が年下でしょう? 入学させるのに色々書類を改ざんしたようですが」
書類の改ざんまで知っているとは……うちの従者は、どこまで知っているのやらだ。
実際、死んだ時期が違うからか、二葉ちゃんは一つ下になる。
「だから、説明が難しいって言ってる。俺がフェルミナ・ドロッセルとして生まれる前の、血の繋がった一つ上の姉で、二葉っていうんだよ」
半信半疑という感じなのか、ルカリオンはじっと俺の顔を見てくる。
でも、それ以外に説明のしようがない。
「なら、名前は?」
「え、だから、二葉だって……」
「あなたの、前の名前ですよ」
「三香。字の読み方が『ミカ』って読めるから、二葉ちゃんはミカって呼んでいるけど」
「ミヨシですか」
コクコクと頷いて、やはりイントネーションが難しいのか、ヨシの部分が短く呼ばれてしまいミュシという風に聞こえてしまう。
ルカリオンに生前の名前を呼ばれるのは、気恥ずかしいところもある。
「どこの国で、何をして生きていたのですか」
「尋問みたい……」
「好きな人の事は全部知りたい、そう思いませんか?」
思いませんかと言われても、俺の過去なんて大した事は無いし、今を生きているから意味が無いとも思うんだけど、ルカリオンは全部知りたい系なのか。
「日本って国で、この世界だと珍しい黒髪に黒目が多くて、細かい作業をするのが好きな人種……かな? 俺は学生で、二葉ちゃんも学生だったよ。今みたいに薬品を扱った勉強をしてた」
「ニホンで学生だったのですね。恋人は、いましたか?」
「う……っ、言い辛い事を……、二十年。年齢イコール恋人いない歴……いや、俺の場合、享年イコール恋人いない歴かな?」
どうせモテなかったですよ。
憐れんだ目で見ないで欲しいのだけどね?
ルカリオンが頬を撫でて、髪に唇を落としてくる。
「あなたは一度亡くなった、のですよね」
「ああ、そっち。うん、まぁなんというか、二葉ちゃんのドジで死んじゃったかな? あ、別に恨んでいないし、こうして仲も良いだろ?」
憐れむような目は、死を悼んでの目だったみたいだ。こうして生まれ変わっているから、気にしないで欲しい。
二葉ちゃんに関しても、恨んでいないから、怒らないで欲しいところだ。
「最後に、どうして、わたしを捨てたのですか?」
「……二葉ちゃんの方が、ルカリオンには似合うから……俺じゃ、ルカリオンにいつか捨てられる……」
ヒロインと悪役なら、ヒロインの方がいいに決まっている。
ましてや、令嬢ではなく令息。非生産的な恋愛でしかないのに、何一つ二葉ちゃんに勝ち目なんてない。
「わたしが、あなたを捨てる? どこをどう考えたら、そんなバカげた発想に辿り着くんですか」
「だって……」
シュンと項垂れると、頭をポンポン『バカな子』というように叩かれた。
痛くはないけど、地味に傷つくので止めて欲しい。
俺の下唇を指であげて、食むように口付ける。
「わたしを好きだと言った口で、捨てるなどと言うのですか?」
「それは……んぐっ」
また唇を唇で塞がれて、言葉を紡ぐために開いてもキスを繰り返される。
濡れた唇が熱を持つ、息が上がって思考も蕩けてしまいそうだ。
「大事な事は一つだけでしょう。わたしはあなたが好きで、あなたも、そうでしょう?」
良いのだろうか? ヒロインでも無い悪役の俺が、攻略対象のルカリオンを奪ってしまっても。
二葉ちゃんは……あー、うん、なんだか分かってくれそうな気がする。
「ルカリオン、好き」
「ええ、知っています。でも、これからは、ちゃんと口に出して下さいね」
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