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従者Side ④
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俺に覆い被さる欲情した王子の顔を見て本気なんだと気付かされる…
嘘だろ…嘘だろ嘘だろぉぉお!
アーサー王子と俺は小さな頃からの付き合いだ。
俺にとっては弟のような存在で…
いやまず何で俺が孕ませられる側なんだ!?
だけど俺が王子を孕ませるなんて事したら…周りに消されてしまいそう…
というか…もうこの状況から一旦抜け出したい…。もう疲れた…。
この場面から先に進まない事には何も始まらないのでリセットされないようにするには…答えは一つか…。
はぁ…言いたくないなぁ……
リセット疲れした俺はそう思い、王子が求めている言葉を嫌々ながら口にする。
「王子との子を…産みます…」
「本当か!その言葉…嘘ではないな?」
「あ……はい…」
やっと場面が先に進み始めたので俺は王子に従うふりをしてコクコクと頷く。
すると王子は俺の服を捲り上げ下腹部にそっと手を当てる。
「アレン…もう一度誓ってくれ…。私の子を産むと…」
「えぇぇぇ……。はぁ……分かりました…。アーサー王子との子を俺は産みます」
「私もアレンに…私の子を産んでもらいたい」
何故か王子も俺に向かってそんな言葉を呟くと…王子は満面の笑みを浮かべる。
「よし…。契約完了だな…」
「はっ?」
王子がそう言うと俺の下っ腹に当てられた右手が神々しく光だした同時に何やら温かくなり始め…チリッと痛みが走る。
「っつ…。お、王子…何を…」
光が落ち着いた自分の下腹部を見ると…何やら可愛らしい紋様が刻まれていて…
「うわっ!!何ですかこれ!」
「何って…アレンの体を身籠れるようにしたのだが…」
「はぁぁぁあ!?」
王子の言葉にキッと睨みつけると、王子はあからさまに落ち込んだ表情を見せる。
「あの誓いは…嘘だったのか?お前は私に嘘をついたのか?」
「あ…う……いやぁ…そのぉ…」
潤んだ瞳を見せられると【リセット】という言葉がよぎる…。
「まさか…こんなすぐに魔術による契約されるとは思ってなくて…」
「そうか。驚かせてしまったな…。それはすまなかった。だがな、この魔術には言葉による互いの同意が必死なんだ。アレンが決心してくれた時に契約を結ばないと…後で断られ逃げられるかもしれないしな…」
ニッコリと微笑むその顔は『絶対に逃がさない』と宣言されているようで俺は恐怖で震える。
下腹部に刻まれた紋様を見て…俺は本当に王子の子供を孕まされるのかと思うと怖くなった…
一度…【リセット】させてもらおう…。
うまくいけば魔術の契約をされる前まで巻き戻せるかもしれない…
「王子…。やっぱり俺…無理です…」
「まだそんな事を言うのか?」
「はい…。だって俺は…王子の事を好きじゃない…」
王子が一番絶望しそうな言葉を選びそう言った瞬間、王子の顔は絶望の色に染まる…。
その顔を見て、俺も思わず言いすぎたと罪悪感と後悔が渦巻くが…
「私の心をどんなに傷つけても…アレンの事は諦めきれないからな…」
「え……」
初めてアーサー王子から向けられた冷たい表情に俺は生唾を飲み込む…。
そして…
【リセット】
女性の声が聞こえていつものように場面は巻き戻される…。
しかし……とても残念なことに巻き戻された場面は契約が結ばれた後だった…。
「マジかよ……」
「どうしたアレン? あぁ…紋様が気になるのか?思ったよりも可愛らしくて……とてもアレンに似合っているよ」
そう言って王子は俺の下腹部に刻まれた紋様を優しく撫でる。
そこを撫でられた瞬間、ゾクゾクゾクゾクッと背中に甘い刺激が走り思わず体をしならせてしまう。
「ひぁっっ! お、王子! そこ触らないで下さい!」
「……すまない。でも、なんだか気持ち良さそうだったぞ?」
「気持ち良くなんてないです! 絶対! だから触っちゃダメですからね!」
なんだかまた触りたそうに手をモジモジさせるアーサー王子を俺は必死に止める。
あんな背中を突き抜けるような刺激を何度も与えられたら頭がおかしくなりそうだ…
「まぁ……焦らなくても、これからじっくりアレンに触られるのだから今日のところはやめておこう」
「はは……」
王子は本当に俺の事を孕ませるつもりなんだな…
王子の本気を目の当たりにした俺はこれからどうすればいいのか色々と考えを巡らせてみるが解決策を考え出す事はできなかった…。
嘘だろ…嘘だろ嘘だろぉぉお!
アーサー王子と俺は小さな頃からの付き合いだ。
俺にとっては弟のような存在で…
いやまず何で俺が孕ませられる側なんだ!?
だけど俺が王子を孕ませるなんて事したら…周りに消されてしまいそう…
というか…もうこの状況から一旦抜け出したい…。もう疲れた…。
この場面から先に進まない事には何も始まらないのでリセットされないようにするには…答えは一つか…。
はぁ…言いたくないなぁ……
リセット疲れした俺はそう思い、王子が求めている言葉を嫌々ながら口にする。
「王子との子を…産みます…」
「本当か!その言葉…嘘ではないな?」
「あ……はい…」
やっと場面が先に進み始めたので俺は王子に従うふりをしてコクコクと頷く。
すると王子は俺の服を捲り上げ下腹部にそっと手を当てる。
「アレン…もう一度誓ってくれ…。私の子を産むと…」
「えぇぇぇ……。はぁ……分かりました…。アーサー王子との子を俺は産みます」
「私もアレンに…私の子を産んでもらいたい」
何故か王子も俺に向かってそんな言葉を呟くと…王子は満面の笑みを浮かべる。
「よし…。契約完了だな…」
「はっ?」
王子がそう言うと俺の下っ腹に当てられた右手が神々しく光だした同時に何やら温かくなり始め…チリッと痛みが走る。
「っつ…。お、王子…何を…」
光が落ち着いた自分の下腹部を見ると…何やら可愛らしい紋様が刻まれていて…
「うわっ!!何ですかこれ!」
「何って…アレンの体を身籠れるようにしたのだが…」
「はぁぁぁあ!?」
王子の言葉にキッと睨みつけると、王子はあからさまに落ち込んだ表情を見せる。
「あの誓いは…嘘だったのか?お前は私に嘘をついたのか?」
「あ…う……いやぁ…そのぉ…」
潤んだ瞳を見せられると【リセット】という言葉がよぎる…。
「まさか…こんなすぐに魔術による契約されるとは思ってなくて…」
「そうか。驚かせてしまったな…。それはすまなかった。だがな、この魔術には言葉による互いの同意が必死なんだ。アレンが決心してくれた時に契約を結ばないと…後で断られ逃げられるかもしれないしな…」
ニッコリと微笑むその顔は『絶対に逃がさない』と宣言されているようで俺は恐怖で震える。
下腹部に刻まれた紋様を見て…俺は本当に王子の子供を孕まされるのかと思うと怖くなった…
一度…【リセット】させてもらおう…。
うまくいけば魔術の契約をされる前まで巻き戻せるかもしれない…
「王子…。やっぱり俺…無理です…」
「まだそんな事を言うのか?」
「はい…。だって俺は…王子の事を好きじゃない…」
王子が一番絶望しそうな言葉を選びそう言った瞬間、王子の顔は絶望の色に染まる…。
その顔を見て、俺も思わず言いすぎたと罪悪感と後悔が渦巻くが…
「私の心をどんなに傷つけても…アレンの事は諦めきれないからな…」
「え……」
初めてアーサー王子から向けられた冷たい表情に俺は生唾を飲み込む…。
そして…
【リセット】
女性の声が聞こえていつものように場面は巻き戻される…。
しかし……とても残念なことに巻き戻された場面は契約が結ばれた後だった…。
「マジかよ……」
「どうしたアレン? あぁ…紋様が気になるのか?思ったよりも可愛らしくて……とてもアレンに似合っているよ」
そう言って王子は俺の下腹部に刻まれた紋様を優しく撫でる。
そこを撫でられた瞬間、ゾクゾクゾクゾクッと背中に甘い刺激が走り思わず体をしならせてしまう。
「ひぁっっ! お、王子! そこ触らないで下さい!」
「……すまない。でも、なんだか気持ち良さそうだったぞ?」
「気持ち良くなんてないです! 絶対! だから触っちゃダメですからね!」
なんだかまた触りたそうに手をモジモジさせるアーサー王子を俺は必死に止める。
あんな背中を突き抜けるような刺激を何度も与えられたら頭がおかしくなりそうだ…
「まぁ……焦らなくても、これからじっくりアレンに触られるのだから今日のところはやめておこう」
「はは……」
王子は本当に俺の事を孕ませるつもりなんだな…
王子の本気を目の当たりにした俺はこれからどうすればいいのか色々と考えを巡らせてみるが解決策を考え出す事はできなかった…。
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