7 / 78
第一章 崩れ去る日常
第七話 迫りくる影
しおりを挟む
(……これは……夢……!?)
気が付いた時、自分が一体どこにいるか分からなかった。確か友人宅からの帰り道の途中で突然何者かに羽交い締めにされ、人気のない公園へ無理矢理連れて来られた。彼等は静藍に殴る蹴るといった暴虐の限りを尽くした。彼が道に倒れた後、何かの羽音が聞こえてきて、彼等はそれに恐れをなし、一目散に逃げ出した。
その後だった。
足音が近付いてきたと思った途端、静藍は突然目隠しをされた。
(誰だ……!?)
視覚を封じられている。
自分の傍に近付いたと思ったら耳元で男の声が響いてきた。腰の奥から響いてくるような低い声だ。心地良く何故かもっと聞いていたくなる誘惑をはらむ、不思議な声だった。
「漸く見付けたぞ」
「……誰ですか?」
声の主は意外そうな反応をしたようだ。だが、低い体温の手が自分の髪にゆっくりと触れてくる仕草をしてきた為、静藍は身体をぴくりと震わせた。さらりとした肌だが、ひんやりと、冷たい。
「我が名はまだ名乗るまい。焦らずともその内自ずと分かる。選ばれし者よ。我が眷属となり、共にゆこう。さすれば我等は最強になれる。共に“屍者の王”となろうぞ」
突然非現実的なことを言われて静藍は混乱する。
「あなたが何を言ってるのか僕には全く理解出来ません。嫌です!」
「お前には生まれつき能力がある。気付いておらぬであろう? その瞳の中に紅玉の輝きを内包しているのを見た。このまま放置だなんてさせぬ。お前の本当の力、私が目覚めさせ、引き出してみせようぞ」
自分の顎を捉えた手のあまりの冷たさに、背中にぞくりと悪寒が走った。歯と唇を舐める静かな音が聞こえ、唇に男の息がかかる。蜂蜜のような甘さを持ちつつも、その奥にまるで血の臭いのように不気味な香りも混じっている、不思議な匂いがした。
「僕に一体何をするつもりですか? 離して下さい!!」
静藍は身を捩るが、いつの間にか身体全体を地面に押さえつけられていて思う通りに動くことが出来ない。冷や汗が背中を伝い、シャツをじっとりと湿らせる。
「やめろぉ!! 嫌だぁああっっ!!」
どんなに藻掻いても痛めつけられた身体は言うことを聞かない。舐めつけるような吐息と共に耳元で何かの呪文が聞こえて来る。
静藍のシャツが乱暴に引き裂かれ、雪のように白い上半身が剥き出しとなった。先程暴行を受けた赤黒い跡があちこち花開いている。誰かが首に手をそっと這わせているかのように、脇腹から喉元にかけての皮膚がぞわぞわとした。
誰も踏み込んだことのないその無垢な首元に尖っている何かが突き刺さり、皮膚を貫いて静藍の体内に侵入してきた。ひんやりとしているがどこか生暖かい唇の感触と舌の濡れた感触が同時に喉元に触れて来る。ライオンに襲われたインパラの気持ちはこんな感じなのだろうか。
「うわぁあああああああっっ!!!!」
激痛が身体を一気に貫いた。静藍がどんなに藻掻いても頭を押さえつけられていて逃げることが出来ない。あまりの痛さに目元から涙が溢れてくる。
「あああああああああっっ!!!!」
首元に突き立てられたものからゆっくりと何かが体内に入って来るような違和感を覚えた。
目隠しが剥ぎ取られ、やっと視野が自由になったと思ったら、目の前に深く濃い群青色の瞳があった。矢車菊が花咲くような輝きを見た途端、静藍はその瞳に釘付けとなり、そのまま動けなくなる。彼の青から紫、赤紫と輝く瞳の奥底から一筋の閃光が迸り、一瞬目の色全てが一気にピジョンブラッドに染まった。身体全体に男の声が響き渡ってくる。脳に直接語り掛けてきているようだ。
――お前にかけた我が術はそう簡単には解けぬ。お前の中に“種”を植え込んだからな。“種”が発動し、無事覚醒すればお前はめでたく我等の仲間“吸血鬼”となれる。但し、まだ完全ではない。人間の血を吸えば完全に吸血鬼となれる。強靭な力を持てるようになる。もう虐められず惨めな思いもせずに済むようになる。しかし、二度と人間には戻れぬ。お前はまだ人間だから普段の生活に影響はすぐには出ないであろう――
――猶予を与えてやる。十七歳の誕生日を迎えるその日までに人間として生きるか吸血鬼として生きるかを決断せよ。どちらかを選択せねばお前の命はないぞ。死にたくなければ自ら人を吸血し、吸血鬼化を完了せよ。唯一“芍薬姫の血”なるものを摂取すれば術は解け人間に戻ることが出来る。だが早々見つかる筈があるまい。諦めて我等の仲間になった方が賢明だ――
何かによって細胞が一個ずつ塗り替えられてゆく。
何千何百ものアリが骨髄に食らいつき這い上がってくる感触がする。
身体が燃えるように熱い。
心臓を高鳴らせながら瞼を閉じた。
痛みが自然に抗い難い快感へと変化する。
次に訪れる恍惚の瞬間が来ないか待ち侘びていた。
やがて音も色も全て消え去っていった。
※ ※ ※
「……!!」
静藍はふと目が覚め、がばっと身体を起こした。部室のソファの上で横になっていたようだ。傍に茉莉がいた。息が荒い静藍を心配そうに見つめている。彼は無意識に左の首筋に手をあてた。あの、薔薇のような不思議な形の痣がある部分だ。何故か熱を帯びており、鈍痛を感じる。
「……どうしたの? 嫌な夢でも見ていたの?」
ふと視線を落とすと、自分の身体の上に紺色のカーディガンがかけてあった。彼女のだろうか。静藍は表情を和らげ、茉莉にカーディガンを返した。
「……何でもないです。門宮さん。昔の夢を思い出した。ただ、それだけです」
「そう。ならいいけど。うなされていたから、よほど悪い夢だったのね」
「今何時ですか?」
茉莉は壁に掛けてある時計をちらりと見やる。
「もうじき四時になるわ。大丈夫よ。もう少ししたら部員のみんなが来るわ。それとも今日は部活休む? 神宮寺君今朝からあまり顔色良くなさそうだし」
今日は三時半で授業が終わる日だった。現在部活動は五時までなら許可されている。曜日によって終了時間が異なる為、確保しようと思えば活動時間を確保出来る日もある。しかし文化部は部によるが、運動部であれば平日は朝練しかまともに機能していない状態だ。新聞部は記事にするネタをまとめたり、下書きの校正をしたり、ちょっとしたことや話し合いなら出来る為、少しの時間でも放課後に部室に集まって活動をしている。
授業が終わって部室に寄ったがいいが、襲ってきた疲労感に負けて室内に置いてあった深緑色のソファに横になってしまった静藍だった。後から部室に来た茉莉はソファで眠っている彼を見付けた。彼女は毛布代わりのものがないか探したが見つからず、咄嗟に羽織っていたカーディガンを上に掛けておいたのだ。
(僕は二十分位寝ていたのか……)
「少し休んだから大丈夫ですよ。どうもありがとうございます。いつも面倒ばかりかけてすみません」
静藍は茉莉に花がほころぶような笑顔を見せた。
窓の外では野球部の部員達が片付けや掃除でもしているのだろうか。ものを引きずったりと物音が響いている。
月が変われば全ての部活動は通常の活動に戻って良いと許可がおりた。来月からどう活動を進めていくか、今日はその話し合いをする予定だ。
(一体何故こんな夢を? 今まで全く見なかったのに。何かが起こる予兆なのだろうか?)
静藍は一人首を傾げた。
気が付いた時、自分が一体どこにいるか分からなかった。確か友人宅からの帰り道の途中で突然何者かに羽交い締めにされ、人気のない公園へ無理矢理連れて来られた。彼等は静藍に殴る蹴るといった暴虐の限りを尽くした。彼が道に倒れた後、何かの羽音が聞こえてきて、彼等はそれに恐れをなし、一目散に逃げ出した。
その後だった。
足音が近付いてきたと思った途端、静藍は突然目隠しをされた。
(誰だ……!?)
視覚を封じられている。
自分の傍に近付いたと思ったら耳元で男の声が響いてきた。腰の奥から響いてくるような低い声だ。心地良く何故かもっと聞いていたくなる誘惑をはらむ、不思議な声だった。
「漸く見付けたぞ」
「……誰ですか?」
声の主は意外そうな反応をしたようだ。だが、低い体温の手が自分の髪にゆっくりと触れてくる仕草をしてきた為、静藍は身体をぴくりと震わせた。さらりとした肌だが、ひんやりと、冷たい。
「我が名はまだ名乗るまい。焦らずともその内自ずと分かる。選ばれし者よ。我が眷属となり、共にゆこう。さすれば我等は最強になれる。共に“屍者の王”となろうぞ」
突然非現実的なことを言われて静藍は混乱する。
「あなたが何を言ってるのか僕には全く理解出来ません。嫌です!」
「お前には生まれつき能力がある。気付いておらぬであろう? その瞳の中に紅玉の輝きを内包しているのを見た。このまま放置だなんてさせぬ。お前の本当の力、私が目覚めさせ、引き出してみせようぞ」
自分の顎を捉えた手のあまりの冷たさに、背中にぞくりと悪寒が走った。歯と唇を舐める静かな音が聞こえ、唇に男の息がかかる。蜂蜜のような甘さを持ちつつも、その奥にまるで血の臭いのように不気味な香りも混じっている、不思議な匂いがした。
「僕に一体何をするつもりですか? 離して下さい!!」
静藍は身を捩るが、いつの間にか身体全体を地面に押さえつけられていて思う通りに動くことが出来ない。冷や汗が背中を伝い、シャツをじっとりと湿らせる。
「やめろぉ!! 嫌だぁああっっ!!」
どんなに藻掻いても痛めつけられた身体は言うことを聞かない。舐めつけるような吐息と共に耳元で何かの呪文が聞こえて来る。
静藍のシャツが乱暴に引き裂かれ、雪のように白い上半身が剥き出しとなった。先程暴行を受けた赤黒い跡があちこち花開いている。誰かが首に手をそっと這わせているかのように、脇腹から喉元にかけての皮膚がぞわぞわとした。
誰も踏み込んだことのないその無垢な首元に尖っている何かが突き刺さり、皮膚を貫いて静藍の体内に侵入してきた。ひんやりとしているがどこか生暖かい唇の感触と舌の濡れた感触が同時に喉元に触れて来る。ライオンに襲われたインパラの気持ちはこんな感じなのだろうか。
「うわぁあああああああっっ!!!!」
激痛が身体を一気に貫いた。静藍がどんなに藻掻いても頭を押さえつけられていて逃げることが出来ない。あまりの痛さに目元から涙が溢れてくる。
「あああああああああっっ!!!!」
首元に突き立てられたものからゆっくりと何かが体内に入って来るような違和感を覚えた。
目隠しが剥ぎ取られ、やっと視野が自由になったと思ったら、目の前に深く濃い群青色の瞳があった。矢車菊が花咲くような輝きを見た途端、静藍はその瞳に釘付けとなり、そのまま動けなくなる。彼の青から紫、赤紫と輝く瞳の奥底から一筋の閃光が迸り、一瞬目の色全てが一気にピジョンブラッドに染まった。身体全体に男の声が響き渡ってくる。脳に直接語り掛けてきているようだ。
――お前にかけた我が術はそう簡単には解けぬ。お前の中に“種”を植え込んだからな。“種”が発動し、無事覚醒すればお前はめでたく我等の仲間“吸血鬼”となれる。但し、まだ完全ではない。人間の血を吸えば完全に吸血鬼となれる。強靭な力を持てるようになる。もう虐められず惨めな思いもせずに済むようになる。しかし、二度と人間には戻れぬ。お前はまだ人間だから普段の生活に影響はすぐには出ないであろう――
――猶予を与えてやる。十七歳の誕生日を迎えるその日までに人間として生きるか吸血鬼として生きるかを決断せよ。どちらかを選択せねばお前の命はないぞ。死にたくなければ自ら人を吸血し、吸血鬼化を完了せよ。唯一“芍薬姫の血”なるものを摂取すれば術は解け人間に戻ることが出来る。だが早々見つかる筈があるまい。諦めて我等の仲間になった方が賢明だ――
何かによって細胞が一個ずつ塗り替えられてゆく。
何千何百ものアリが骨髄に食らいつき這い上がってくる感触がする。
身体が燃えるように熱い。
心臓を高鳴らせながら瞼を閉じた。
痛みが自然に抗い難い快感へと変化する。
次に訪れる恍惚の瞬間が来ないか待ち侘びていた。
やがて音も色も全て消え去っていった。
※ ※ ※
「……!!」
静藍はふと目が覚め、がばっと身体を起こした。部室のソファの上で横になっていたようだ。傍に茉莉がいた。息が荒い静藍を心配そうに見つめている。彼は無意識に左の首筋に手をあてた。あの、薔薇のような不思議な形の痣がある部分だ。何故か熱を帯びており、鈍痛を感じる。
「……どうしたの? 嫌な夢でも見ていたの?」
ふと視線を落とすと、自分の身体の上に紺色のカーディガンがかけてあった。彼女のだろうか。静藍は表情を和らげ、茉莉にカーディガンを返した。
「……何でもないです。門宮さん。昔の夢を思い出した。ただ、それだけです」
「そう。ならいいけど。うなされていたから、よほど悪い夢だったのね」
「今何時ですか?」
茉莉は壁に掛けてある時計をちらりと見やる。
「もうじき四時になるわ。大丈夫よ。もう少ししたら部員のみんなが来るわ。それとも今日は部活休む? 神宮寺君今朝からあまり顔色良くなさそうだし」
今日は三時半で授業が終わる日だった。現在部活動は五時までなら許可されている。曜日によって終了時間が異なる為、確保しようと思えば活動時間を確保出来る日もある。しかし文化部は部によるが、運動部であれば平日は朝練しかまともに機能していない状態だ。新聞部は記事にするネタをまとめたり、下書きの校正をしたり、ちょっとしたことや話し合いなら出来る為、少しの時間でも放課後に部室に集まって活動をしている。
授業が終わって部室に寄ったがいいが、襲ってきた疲労感に負けて室内に置いてあった深緑色のソファに横になってしまった静藍だった。後から部室に来た茉莉はソファで眠っている彼を見付けた。彼女は毛布代わりのものがないか探したが見つからず、咄嗟に羽織っていたカーディガンを上に掛けておいたのだ。
(僕は二十分位寝ていたのか……)
「少し休んだから大丈夫ですよ。どうもありがとうございます。いつも面倒ばかりかけてすみません」
静藍は茉莉に花がほころぶような笑顔を見せた。
窓の外では野球部の部員達が片付けや掃除でもしているのだろうか。ものを引きずったりと物音が響いている。
月が変われば全ての部活動は通常の活動に戻って良いと許可がおりた。来月からどう活動を進めていくか、今日はその話し合いをする予定だ。
(一体何故こんな夢を? 今まで全く見なかったのに。何かが起こる予兆なのだろうか?)
静藍は一人首を傾げた。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活
シン
ファンタジー
世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。
大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。
GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。
ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。
そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。
探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。
そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。
たまに有り得ない方向に話が飛びます。
一話短めです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる