お久しぶりです、元旦那様

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庭師 ローレン

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おや、お久しぶりですね、元旦那様。

こんなところで何を?

ああ、あの穴!やっぱり貴方があんな大きな穴を開けていたのですね。びっくりしましたよ。昔から教育係の目を盗んで姿を眩ましていたのはあの穴から外に出ていたからなのですね。

貴方が出て行かれてから、すぐにあの穴は埋められまして、今は花壇の一部になっています。やっぱり伯爵家の庭に中と外を行き来できる場所があるのは防犯上危ないですからね。ほら、あの、前当主様の愛人が何人か、あの通路を使って、伯爵家に勝手に出入りして盗みを働いたことがありましたでしょう?

知らないのですか?確か三人目か四人目の愛人様に教えたとかで、護衛が対処しましたから事なきを得ましたが、当時は大変な騒ぎになりました。まあ、正直大した被害額にはならなかったんですよ。犯人に見る目がなかったものですから。イミテーションの宝石を中心に奪おうとしてましてね。本物の高級な宝石は地味だから、気がつかなかったそうです。

愛人は二人とも、平民でしたからね。

詳しくは知らないのですよ。ただ罪を償った、としか。死にはしないでしょうけど、死んだ方がマシだとは思ったかも知れないですね。鞭打ちとかでしたかね、盗みと侵入は。当たり前ですが、受けたことがないので、よくは知らないんですよ。

それはそうと、元旦那様。こんなところにいて大丈夫なのでしょうか?今元旦那様はある意味有名人ですよ。まさか元貴族の貴方様が、指名手配されるほどの大罪を犯せる方だなんて、思っても見ませんでした。

というのも、所詮小悪党の旦那様では、大したことはできない、と勝手に思い込んでいましてね。ほら、盗品を間違って高い金で購入したり、何も知らない内に利用されてしまうみたいなことしかできない、と勝手に思ってまして。

いえいえ、馬鹿にしてなど、そんなことは。

何の話でした?ああ、そうです、そうです。旦那様がされた罪の話でしたね。本当にご存知ないんですか?

今や市井で知らない人間などいませんよ。確か七番目でしたか、元愛人のライラ様。

彼の方、どうやら何らかの事件に巻き込まれたようで、いつでしたか遺体で発見されたんですよ。確かその遺体が亡くなる前に貴方様との密会の目撃証言がございましてね。それで貴方の行方を探されているのですよ。

二週間前から会っていない?確かにそのぐらいになりますかね。私は新聞で見たきりですが、どうやら遺体は酷いものだったようですよ。

元々敵の多い性格をされていたようですし、恨まれていたみたいで、刃物で滅多刺しされていた、と。

それで、最近貴族籍を剥奪された貴方様が逆恨みをされたのではないか、と思われているみたいですね。

最初、貴方様を見た時は変装しているのかと思ったのですが、本当に随分と落ちぶれましたね。

匿うことはあり得ませんが、見つからずにお帰りできるといいですね。

奥様ですか?一介の庭師に伝わることはそう多くはありませんよ。穴は既に塞がっていますので、どちらから入ったかは知りませんが、ちゃんと門から帰ってくださいね。今のままでは門番が可哀想ですので。
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