獣人の子育ては経験がありません

三国華子

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第二章

42 ガイン一家の掟

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(サミアン……クリスに内緒でここに来たのね……)
 お部屋に居ると、お母様達の邪魔になってしまうから、僕はレパーダとお話しに来た。でもレパーダには何でもお見通しだから、僕が内緒で来たのもバレちゃった。

「おかあたまは、ノインのおてわでいとがちいんでちゅ……でもタミアンは、おにいたまだから一人でへいきでちゅ」

(無理しなくてもいいのよ?寂しかったらそう言えば、クリスとガインは分かってくれるわ、あなたのこと大好きですもの……)

「タミアンがおかあたまを取ったらノインが泣いちゃいまちゅ……泣いてもタミアンは、まだ小たいからノインを抱っこできまてん」

(ふふっ、そうね……ならここでお昼寝でもしていくといいわ)

「ありがとうごぢゃいまちゅレパーダたん」
 僕はレパーダに寄り掛かってお昼寝した。不思議とお母様に抱っこされてる時と同じ匂いがして、嬉しい気持ちになった……




「ガイン!!サミアンが居ない!シンのところに行ってないって!!」

このところサミアンはずっと寂しそうにしていた。分かっていたのに手の掛かるノインを優先させてしまって、サミアンに辛い思いをさせてしまったようだ。
サミアンは、いい子だ。いい子過ぎるくらいに……
きっと「寂しい」と口に出せなかったのだろう……

ノインを乳母に預けて二人で探しに行こうと思ったその時、頭の中でレパーダの声がした。
(サミアンはここよ……)
レパーダの傍は安心する……
サミアンは、やっぱり母の温もりを求めているのだろう……


「ガイン……相談があるんだ……」
「探しに行かんのか?」
「大丈夫。サミアンはレパーダの所だ。……それより俺達家族の今後についてだよ」

ガインは黙って頷いた。



(サミアン、起きて。お迎えが来たようだわ)
「ふにゃ!」
目を開くとお父様とお母様がいた。二人で来ちゃったら、ノインが泣いちゃうのに!

「サミアン、もう涼しくなって来たからお部屋に戻ろう」

 そう言ってお母様が、優しく微笑んだ。僕黙って出て来ちゃったのに怒ってないのかな? お父様も優しいお顔してる……

「おとうたま、おかあたまごめんなたい……ノインが泣いちゃいまちゅ」

「サミアンだって泣いちゃうだろ?」
「ないてまてん! レパーダたんとおはなちちてただけでちゅ!」
「うん……」

「ノインは? 泣いてまてんか?」
「泣いているだろうなぁ」

お父様はさらっとそういって僕を抱き上げた。どうして二人で来ちゃったの?

「ふふっ、俺とガインはノインのことも大好きだけど、ちょっとだけサミアンの方が大好きみたいなんだ……」

「えぇぇぇ! それぢゃノインがかわいとうでちゅ!!」

「そうだね…… でも、足りない分は、サミアンがノインを愛してくれるだろ? 三人分合わせたら、きっとノインの方が幸せだよ」

 お父様とお母様は、僕のこと『一番大好き』ってお顔で、にっこり笑った。

「タミアンもノインだいちゅきでちゅ」
「うん、じゃあお部屋に戻ってノインを抱っこしてあげてくれる?」

「いいんでちゅか?だっこちても?」

「勿論だ、あいつは俺に似て頑丈だからな……もうすっかり首も据わっている」

(よかったわねサミアン……)
「レパーダたん、ありがとう! タミアンは、かえりまちゅ! ノインのおてわでいとがちいので!」

(ふふっ、がんばってお兄様!)



「サミアンは、いつからレパーダと話が出来る様になったんだ?」
「テレチュティオの卵をひろったあとでちゅ。タミアンはテレチュティオのおとうたんだから、レパーダたんは、おくたんでちゅ!」

「………そうか」

つっこむ所はたくさんあるけど、俺とガインはスルーして部屋に向かった。
(子供のドリームは壊しちゃいけないよな!)

でも、サミアンはたぶんオメガだ……狼族でドラゴンの声が聞こえる者は初めてだから確証は無いけど、ルーシアの神子は全てオメガだった。
こんなに可愛くては、将来が心配だ。
(グランドルのようなハーレムキングもいるしな……)


部屋に着くと、乳母に抱かれたノインが、産まれた時よりだいぶ力強くなった声で「キューキュー」泣いていた。
俺が抱いてみるが、少し落ち着いたものの泣き止む程ではない。
そして、足元ではサミアンが目をキラキラさせて見上げている……
「泣いてるけど、抱いてみる?」
「はい!」

「キュー、キュー」

サミアンを座らせその腕に抱かせると、ずっとグズっていたノインが、大人しくなった。
「キュ」
「ノインは、いい子でちゅねー」
「キュッ」

可愛いサミアンが、可愛いノインを抱っこしてるー!!
初抱っこ! 尊い!
なんでこの世界にカメラないんだよ!!

「おい、完全に泣き止んだぞ」
「ほんとだ、不思議ー」

「キュッ、キュッ」

あれ? ノインのちっちゃい尻尾が、プルプル揺れてる!
もしかして、サミアンに抱っこして欲しくてずっとグズってたのかな……?

覗き込んでいると、ノインは一生懸命といった感じで、薄く目を開いた。

「ふぁぁぁ!タミアンとおとろいでしゅ!」
「うん、ガインとサミアンとお揃いのライトブルーだね」
「キュ」

「あっ!ノイン、いたいでちゅ!カプカプちたらだめでちゅ!」

―――甘咬み……ガインが俺に、よくやるやつだ……

サミアン……ノインもメロメロに?


サミアンを迎えに行く前、俺とガインは少しだけサミアンの方を優先させようと話し合った。
だって本当の両親も優しいお兄ちゃんも居るノインの方が恵まれているから……
だけど、心配は要らなかったみたい。
ノインの「一番大好き」はサミアンだったのだから……
ノインは、昼間サミアンにたくさん構って貰う様になると、離れている夜もグッスリ眠る様にになった。

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