追放された呪咀士は同じ境遇の仲間を集めて成り上がります〜追放仲間にデバフをかけたらなぜか最強になりました〜

三乃

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6話 操作

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「魔力操作が苦手?」
「……はい」

 どうしてこんな大惨事になったのかエマを問い詰めたらやっと縮こまりながらも白状した。
 魔力操作が苦手っていっても……普通こうはならないでしょ!?

 初級炎魔法で周囲を火の海にしたかと思ったら、今度は初級水魔法で火の海ごと津波で流し込んだ。
 おかげで、エマの魔法を使った所はまるで災害でも起きたかのように更地に変わり果てていた。

「ううう……し、仕方ないでしょ! どうしても魔力を込めすぎちゃうの!! 細かいコントロールなんて難しくて出来ないのよ!!!!」
「込めすぎって……、逆にあれだけの魔力を消費して疲れてないの?」

 魔法使いは体内にある『魔力』というエネルギーを変換して魔法を放つ。
 この『魔力』はほとんどの人に備わっていて、様々な魔法や技術に使用されている。

 ちなみに職業ジョブが『呪詛師』の僕は魔力をほとんどもっていないから魔法を使うことが出来ないけどね。
 その代わり、『呪力』という魔力とは似て非なる力を使って『呪い』を発動している。

「それが、アタシの体内魔力って並の魔法使いの五十倍以上あるらしいの。だから、魔力切れになることがないのよ」

 ご、五十倍!?
 それが本当なら凄すぎる。

 それに、それだけの魔力があれば、あれほどの魔法を連続で発動しても、こうして普通にしていられるのも納得できる。

「うう、どうせアンタも呆れてるでしょ? 魔力をろくにコントロール出来ない魔法使いなんて役立たずだもんね!」
「いや、そんな事は思っていないよ」

 そりゃあ、あれだけの大規模魔法を見て驚きはしたけどね。
 でも、少なくともさっきの戦闘はエマのおかげで勝てたんだ。

 感謝こそすれ、役立たずだなんて思うはずがない。
 ……まあ、やり過ぎだったとはちょっと思うけど。

「嘘をつかなくていいわよ!! 昔いた魔法学園も、最初は『学園創立以来の天才が入学してきた!』ってチヤホヤしてたのに、アタシが魔力のコントロールできないって分かると一年で退学させられるし……」

 魔法学園……『成人の儀』の時に職業ジョブが『魔法使い』って告げられた人が行く学園だったはず。
 確か、三年間は魔法の基礎や知識を学ぶはずだけど、まさかエマがそこを一年で実質追放クビになってただなんて……。

「仕方ないから冒険者を目指しても、今まで所属したパーティーは全部『君はまるで歩く災害だ。一緒に戦うなんて不可能だよ』って言ってアタシを追放するし!」

 この口ぶりだと、エマがパーティーを追放されたのって一回ですまなかったのかな。

「ちなみに、何回くらい追放されたの?」
「五回よ!! 悪い!?」

 ご、五回!?
 あんなに辛い思いを五回もしてるだなんて……想像するだけで心がえぐれていく。

 僕はたった一度の追放を言い渡されただけで全身の血の気が引いて目眩めまいや冷や汗が止まらなかったのを、まるで昨日の事のように思い出す。

 それにしても『歩く災害』か……それに関しては言い得て妙だなぁと思う。
 エマの魔法の威力は地形をいとも容易く変えてしまうほどだ。

 冒険者の戦闘は連携が命だけど、エマの魔法では連携をとることはほぼ不可能に近い。


「どいつもこいつも、最初は優しくしてくれたのに、アタシが魔法を使うたびにドン引きしだすのよ!!」

 多分、今までエマが組んだパーティーはエマの魔法使いとしての実力を欲していた訳じゃなくて、きっとエマの顔やスタイルが目当てだったんじゃないかと思う。


 普通、一度でも追放された冒険者は次のパーティーを見つけるのすらままならない。
 だけど、エマはこれまで五回もパーティーに勧誘されている。

 エマは黙っていれば間違いなく美少女だ。
 それで、出会い目的の男性冒険者はエマと仲良くなりたいから、追放された過去なんて考えずにエマをパーティーに入れてたんじゃないかな。

 そして、結果的にエマの破壊的な魔法を目の当たりにして、命の危険を感じエマを追放する……そんなループがこれまで続いていたんじゃないかと予想する。

「ぐすっ……ぐすっ……、ア、アタシはただ、魔法使いとしてみんなの役に立ちたいだけなのに……。どうせアンタもアタシの事、追放クビにする気なんでしょ!? アタシはもう、誰ともパーティーを組めないのよ……」

 ついにエマが涙ぐみながら落ち込む。
 確かにエマの魔法の威力や規模は連携には向いていない。

 僕とパーティーを解散したとして、この先また新しいパーティーを組むのは難しいかもしれない。

 だせどエマは一つ大きな勘違いをしている。

「大丈夫だよ。僕は君を追放なんてしないから」

 この先パーティーメンバーから見捨てられることがあったとしても、僕からパーティーメンバーを見捨てるなんて事は絶対にしない。
 それだけは断言できる。

 これは『紅蓮の不死鳥』を追放された時に決めた、たったひとつの矜持だ。

「う、嘘よ!?」
「本当だよ。それに僕も一人じゃ戦えないポンコツだから、この先もエマさんの力を貸してくれると嬉しいな」

「なっ……えっと……うん。……ありがと」

 エマは戸惑いながらもお礼を僕に言ってくる。
 やっとエマと本当の仲間になれた気がするよ。

「……『エマ』でいいから」
「えっ? どういう事?」
「だからっ! アタシの呼び方! 仲間なんだから『エマ』でいいわよ」

 これまで呼び方は『さん』付けさせてたのに、呼び捨ての許可までもらった。
 これは、多少は心を開いて貰ったってことでいいのかな?

「ふふっ。なら改めてよろしくね、エマ!」
「な、なに笑ってんのよ!」
「いや、だって、素直になったエマがおかしいんだもん」
「っ……! うるさいわよ、ノロワ!!」

 ……あっ、そういえばエマとパーティーを組んでから初めて僕の名前を呼んでもらった気がする!
 うわっ、こんな事がすごく嬉しい。


「それじゃあそろそろ帰りましょうか」
「あっ、ちょっと待ってもらっていい?」

 エマの言う通り、薬草収集は終わったしこれ以上ここにいる理由はない。
 エマは帰宅の準備を始めようとするけど、僕はそれを静止する。

「まだ何かあるの?」
「エマに頼みたい事あるんだけど、いいかな?」
「何? アタシに出来ることならなんでもするわよ!」

 本当にエマの態度が軟化したと思う。
 なんでもするなんて、出発した時のエマからは想像もつかないセリフだ。

 うんうん、分かるよ。
 仲間から頼られるのって嬉しいよね!

 僕は心の中で大きく頷く。

「それじゃあ試したいことがあるから……ちょっと脱いでもらっていい?」
「……は?」

 エマの目からハイライトが無くなる。
 ……うん、我ながら完全に言葉を間違えた気がする。

 エマにちゃんと説明をしようとすると、その前にエマは体を震わせながら僕に近づいてくる。

「……へ」
「へ?」
「変態!!!!」

「ぶべらっ!!??」

『バチンッ!!』と頬を叩かれた音が森中に広がる。
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