12 / 88
、
しおりを挟む
「ただいま、我が家~~」
「二人で同じ家に帰るって不思議な感じだよな。結婚するって感じ」
「本当だね、家事もこれから頑張らなきゃ!」
「そんなに気負わなくていいよ、お互い楽にやっていこう」
とても優しい笑顔で私の顔を覗き込み、全女子の好きな頭ポンを隆ちゃんはしてくれた。心臓がバクンと破裂しそう、死ぬほどキュンとした。
買ってきた食材を冷蔵庫にしまいながら、乾麺など冷蔵庫に入れない物はキッチンの棚に仕舞う。
空っぽで何もなかった冷蔵庫も一気に生活感溢れる冷蔵庫になった。
「疲れたね~、一休みしよっか。買ってきた飲み物出すけど隆ちゃんはコーヒーでいい?」
「俺がやるから美桜は座ってな」
はいこっち、と後ろから肩を優しくとり私をソファーに座らせると隆ちゃんはキッチンに戻りコーヒーと私の好きなミルクティーを淹れてくれた。
(なんて出来た旦那様なんだ……リアルにもこんな男子がいたなんて……)
何でもかんでもやってくれる優しい男なんて二次元でしか見た事ない。いや、二次元だからこそスパダリが存在する訳で、でも二次元だからこそポンコツな彼氏とかもちょっと可愛いし、つまり二次元はイケメンだからなんでもオーケーな訳で、リアル三次元人間の隆ちゃんがなんだか神に見えてきて手を合わせて拝んでおいた。
「美桜、何やってんの?」
「ふぇ!? な、なんでもないよっ」
氷の入った冷えたミルクティーを受け取りコクンと一口飲む。疲れた身体には甘いものと言うけど本当にそうだと思う。甘いミルクティーがいつもの倍美味しく感じる。隣に座ってアイスコーヒーを飲む隆ちゃんの横顔をジッと見つめる。スッと筋が通った高い鼻に、何処か涼しげな切長の目、長い睫毛には爪楊枝が何本も乗りそうだ。隆ちゃんの綺麗で触ると柔らかい黒髪も私は好きだ。ゴクンと飲むたび上下に動く喉仏も、男らしくてつい見てしまう。グラスから離れた唇はコーヒーを飲んだ後だからか艶めいていて、この唇ほど柔らかくて気持ちいと思ったものに出会ったことがない。というよりも、キスだってほぼした事ないに等しい訳で、比較的するような経験はない。
(キスしたいって言ったら変態だと思われるかな……いや、こんな事思っちゃうんだもん多分私変態だよね。TL漫画の読みすぎかも)
「何ジッと見つめてんの?」
隆ちゃんの低くて心地よい声が耳に響き、ゾクリと背中に波が走る。驚きの声よりも先に顔が赤く染まっていくのが自分でも分かるくらい顔が熱い。
「な、何でもないよっ! そうだ! ローテーブルみたいなの欲しいね。やっぱりソファーでくつろぎながら飲み物置く場所が欲しくない?」
「確かにそうだよな、じゃあ今度買いに行こう」
上手く話を逸らせて良かった。自分がオタクとは初めてのデートの時に伝えたが多分隆ちゃんはあまり分かっていないと思う。
――私が生粋の漫画、小説オタクという事を。
「二人で同じ家に帰るって不思議な感じだよな。結婚するって感じ」
「本当だね、家事もこれから頑張らなきゃ!」
「そんなに気負わなくていいよ、お互い楽にやっていこう」
とても優しい笑顔で私の顔を覗き込み、全女子の好きな頭ポンを隆ちゃんはしてくれた。心臓がバクンと破裂しそう、死ぬほどキュンとした。
買ってきた食材を冷蔵庫にしまいながら、乾麺など冷蔵庫に入れない物はキッチンの棚に仕舞う。
空っぽで何もなかった冷蔵庫も一気に生活感溢れる冷蔵庫になった。
「疲れたね~、一休みしよっか。買ってきた飲み物出すけど隆ちゃんはコーヒーでいい?」
「俺がやるから美桜は座ってな」
はいこっち、と後ろから肩を優しくとり私をソファーに座らせると隆ちゃんはキッチンに戻りコーヒーと私の好きなミルクティーを淹れてくれた。
(なんて出来た旦那様なんだ……リアルにもこんな男子がいたなんて……)
何でもかんでもやってくれる優しい男なんて二次元でしか見た事ない。いや、二次元だからこそスパダリが存在する訳で、でも二次元だからこそポンコツな彼氏とかもちょっと可愛いし、つまり二次元はイケメンだからなんでもオーケーな訳で、リアル三次元人間の隆ちゃんがなんだか神に見えてきて手を合わせて拝んでおいた。
「美桜、何やってんの?」
「ふぇ!? な、なんでもないよっ」
氷の入った冷えたミルクティーを受け取りコクンと一口飲む。疲れた身体には甘いものと言うけど本当にそうだと思う。甘いミルクティーがいつもの倍美味しく感じる。隣に座ってアイスコーヒーを飲む隆ちゃんの横顔をジッと見つめる。スッと筋が通った高い鼻に、何処か涼しげな切長の目、長い睫毛には爪楊枝が何本も乗りそうだ。隆ちゃんの綺麗で触ると柔らかい黒髪も私は好きだ。ゴクンと飲むたび上下に動く喉仏も、男らしくてつい見てしまう。グラスから離れた唇はコーヒーを飲んだ後だからか艶めいていて、この唇ほど柔らかくて気持ちいと思ったものに出会ったことがない。というよりも、キスだってほぼした事ないに等しい訳で、比較的するような経験はない。
(キスしたいって言ったら変態だと思われるかな……いや、こんな事思っちゃうんだもん多分私変態だよね。TL漫画の読みすぎかも)
「何ジッと見つめてんの?」
隆ちゃんの低くて心地よい声が耳に響き、ゾクリと背中に波が走る。驚きの声よりも先に顔が赤く染まっていくのが自分でも分かるくらい顔が熱い。
「な、何でもないよっ! そうだ! ローテーブルみたいなの欲しいね。やっぱりソファーでくつろぎながら飲み物置く場所が欲しくない?」
「確かにそうだよな、じゃあ今度買いに行こう」
上手く話を逸らせて良かった。自分がオタクとは初めてのデートの時に伝えたが多分隆ちゃんはあまり分かっていないと思う。
――私が生粋の漫画、小説オタクという事を。
12
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる