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第67話 〜白菜の使い道〜

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 俺は鍋の材料になりそうな食材を探すため冷蔵庫を開ける。うん、鶏肉も豚肉もある、って事は白菜の大量消費と言えばコレかな?

 「おかん、チーズある?」

 「あ~とろけるやつしか無い」

 まぁ無いよりマシや。我が家ではとろけるチーズ(パラッとしとる方)を開封したら日保ちせんので冷凍庫に保管する。あとはバジルと塩コショウとコンソメがあれば十分やな。
 ‎肉は豚を採用、白菜をめくって鍋の高さに合わせて切ってから外側から一枚ずつ並べ、一周したら今度は豚肉を一枚ずつ白菜に貼り付ける。それをひたすら繰り返して中央は葉先の部分を詰めて隙間を埋める。
 ‎塩コショウ、コンソメ、少な目の水を入れて火にかける。理想はカマンベールチーズやってんけどとろけるチーズで代用、具材に火が通ったらとろけるチーズとバジルをまぶして溶けたら完成。簡単やし白菜の大量消費には打って付けやな、シメは何にしたろ?

 「シメは何にすんの?」

 「ん~ご飯かパスタか……水足せば塩ラーメンも悪ないな」

 「昼パスタやったから却下、ご飯はお膳のんがあるけど足らんと思う」
 ‎
 ‎ほな塩ラーメンが一番手っ取り早そうや、ただコダマが余計な事してへん事を祈るのみやな。

 「取り敢えず食べよか、お腹空いたわ」

 せやな。俺らは指定席に着いて早速鍋を頂こうとすると……。

 「てっぺ!てっぺ!」

 と長窓をバンバンと叩きやがる剛さんデブ、何で今このタイミングで来るかなぁ?俺はおかんの顔を見て一応お伺いを立ててみると構へんよと頷いとるが、この感じやと多分あの人絡みやと思うで。
 ‎まぁ外で騒がれても煩いだけやからしゃあなしで窓を開けてやると、走り疲れたんか家に上がる元気も無く窓サッシの上に座りおった。そこ居られると窓閉められへん、晩秋の夜はもう寒いねん。

 「取り敢えず寒いから中入れ」

 おかんはグラスに水を入れて差し出してやっとる。お邪魔します、剛さんは靴を脱いで家に入ってきてまずはグラスを受け取り水を一気飲みする。

 「はぁ~っ、ごちそうさまです。せやてっぺ!取り敢えず一緒に『かわい食堂』来てくれ!」

 剛さんは事情説明も無く俺を外に引っ張り出そうとする。俺飯食いたいねん、このクソ寒いのに外に出たないねんと拒否の意思表示として剛さんの腕を振りほどく。

 「嫌です、飯くらい食わしてください」

 「それ以前に説明無しとは無礼ではないのか?年齢を笠に従わせようとするのは人権侵害も甚だしいぞ」

 コダマは剛さんの顔すら見ず鍋を突っついとる。お前食うんはええけど分け前は残しといてくれよ。
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