上 下
53 / 131

第51話 〜度重なる再会?〜

しおりを挟む
 ちょこっとだけ打ち解けて二人で弁当を食うとったところに、一人のご老人男性がコンビニの袋を下げてふらりと公園に入ってきた。ご老人男性こと高木たかぎ先生は既に七十歳を超えており、元々は小学校教諭で兄の恩師でもある。奥様はかなり前に亡くなられてお子様も自立なさってるので、定年退職を機にお一人で町境の山奥で材木工房を営んでいらっしゃる。

 「よぉ徹平君、元気しとるか?」

 「お陰様で。先日はありがとうございました」

 高木先生は夏のクソ暑い中、わざわざ父の十三回忌法要にも足を運んでくださった。父方の親戚は遠方なので三回忌までがやっとやいう感じやったのに、赤の他人である先生は家の法要の度仏前に手を合わせてくださる。ちなみに母方は……言葉は悪いが全滅しとる、つまりおかん本人と俺だけやねん。

 「おっちゃん高木#浩__ひろし__)言いますんや。お名前教えてくれるか?」

 さすがは元小学校教諭、当時から優しくて児童に人気があっただけに子供の心に寄り添うんが上手い。ゆうと君も先生に良い印象を持ったみたいやな。

 「かねこゆうとっていいます」

 「良かったからおっちゃんも仲間に入れてくれると嬉しいなぁ」

 先生の言葉にゆうと君はええよと頷いて隣に座るよう勧めてる。ホンマ人懐こい子やな……昨今の世知辛さを思えばそないほいほい受け入れよったらとんでもない目に遭うでなんて考えも出てくるけど、こういうんがまだ残っとるんはこの町かてそう捨てたもんやないなとも思う。俺は『ガーベラ』のオーナーシェフが瑠偉氏に言うとった言葉を思い出しとった、確かに人がええ町やなとは俺も思うもん。
 ‎高木先生も交えた中、話題はゆうと君のお母さんの話になった。彼が言うには一昨年お父さんが亡くなり、今はお母さんがお父さんの分まで殆ど休み無く働いてると言った。今日はすぐ近所のお弁当屋さんで働いてて、その日だけはここでこうして仕事が終わるんを待ってる。と話してくれた。

 「ふだんはちゃんとようちえんにおるよ、それにうちみちわたったところやからすぐちかくやねんで」

 「ほなお母ちゃんお迎えするんにここで遊んどるんか、優しい子やな」

 先生はゆうと君の頭を撫でた。それから和やかな雰囲気で昼飯を食うてるところに長袖Tシャツに細身のデニムパンツ、上にパーカーを羽織ってる小柄な女性が慌てた様子で公園に入ってきた……えぇっ!?
しおりを挟む

処理中です...