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内省編
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翌日、波那は朝からケーキを作っており、昨夜帰省してきた長兄一徹と共にキッチンに立っている。女性三人は仲良く買い物に出掛けており、早苗は普段通りパートの仕事で家を空けていた。
「しゅう兄はそろそろ着くはずだから出るよ、りょう兄の方がどうなるか分かんないから遅くなると思う」
四兄時生は車の鍵とケータイを持って出掛ける支度を整えている。
「昨日から台風の影響で足止めされてる、って言ってたもんね。無事飛んでくれると良いんだけど」
「うん。じゃ、行ってくるよ」
行ってらっしゃい。二人は時生を見送ってから作業を再開すると、一徹が、聞いたよ。と話を切り出してきた。
「ちいさんから。お前も聞いてんだろ?けいとの事」
「うん。全然気付かなかったから聞いた時はびっくりした」
波那は作業の手を止めて兄を見る。
「俺子供の頃から女性にときめいた事無いんだよ。元々ストレートだったのが何きっかけでそうなったんだ?」
不思議そうに訊ねる一徹に、波那は畠中との出会いから駅の火災があった日までの出来事を話した。
「じゃあその人と?」
波那は小さく首を振る。
「その方何だか掴みどころが無くて、一緒に居るとかえって不安になっちゃうからお付き合いには至らなかったんだ。それから少しして総ちゃんの後輩の方と昨日まで……」
「そうか。総一郎と言えば、確か波那にプロポーズしてたよな?」
「どうしてその事知ってるの!?」
「ときが幼稚園年長組の時だよ、男の子同士は結婚出来ないんだよね?って。未だに波那の扱いがあの時と同じだ、ってぼやいてたよ」
「とき兄ちゃん時々冗談めかした事言うんだから……」
波那は少し照れ臭くなって一徹から視線を逸らし、兄はそんな末弟の姿ににやっと笑う。
「仮に告られたらどうする?ときの冗談甘く見ない方が良いぞ」
「総ちゃんが?そんな事しないって」
彼は理性のある人だから。波那はそう信じていたが、もしもそんな事があったら?と考えていると何だか変な気分になってきて一瞬手順を忘れてしまう。それでも作業そのものは順調に進み、夕方には全ての行程が完成した。
「まさか見送ってくださる方がいらっしゃるなんて思ってもなかったです」
実家に戻る事を決めた千郷の見送りとして中林、毛利、津田が高速バスターミナルに姿を見せており、嬉しそうに三人を見る。
「昨夜聞いてびっくりしたよ、取り敢えずこの二人には報せたんだけど」
昨夜バーで千郷と会った毛利は、畠中との破局と翌日の帰省を聞いていたのだった。
「ありがとうございます、ところで波那さんは?」
「波那ちゃん?誰か連絡した?」
毛利は変な気を利かせて敢えて伝えていなかったのだが、もしやと思って中林と津田を見る。
「昨日別れた」
「えっ?そっちも?昨日ってそういう日?」
驚いた表情を見せている毛利に中林は、知るか。とそっぽを向く。
「今日はお母さんの誕生日だからな、誘ったところで来ないよ」
津田は首を横に振って思い当たる理由を話した。
「……会いたかったな、波那さんに」
「何言ってんだ!?恋人寝取った相手だぞ」
中林は昨日の今日の事なのでまだ怒りが残っており、少し表情が険しくなる。
「そうなんですけど、初めて会った様な気がしなくてどうしても嫌いになれないんです」
千郷はケータイを取り出して家族写真を見せる。彼を含めた男性三人の中で、年を重ねた波那の様な男性を指して、母です。と説明した。
「波那さんが声を掛けてくれた時に母の温かさを思い出して、休学して実家に戻る考えが頭に浮かんだんです。星哉君にはずっとあの方が棲み付いていた様ですから」
千郷はさばさばとした口調で話し、暗さは微塵も無い。
「……お前案外強いな」
中林は感心した様に小柄な男の子を見下ろしていると、彼が乗る高速バスが到着する。
「元気になったら戻ってきます」
「うん、その時はまた店においでね」
はい。千郷は毛利を見て頷いた。
「ゆっくり休めば良いよ、人生せかせか生きるほど短くないから」
津田は年上らしく優しい言葉を掛ける。
「はい、ありがとうございます」
「気が向いたら連絡くれ、戻るつもりなら誰かと繋がっといた方が良いだろ」
中林はメッセージカードくらいの大きさの封書を手渡した。
「うん、必ず連絡する」
千郷は宝物にでも触れるかの様に大切に取り扱い、嬉しそうな表情を見せた。そして三人に手を振ってバスに乗り込み、間もなく発車して彼を故郷へ運んで行った。
早苗の帰宅に合わせて小泉家では母の誕生日パーティーを開いており、九人仲良く食卓を囲んでいる。
「昨日から足止めされるとさすがに疲れるよ」
仕事より疲れた。結局丸一日現地の空港にいた遼は、疲労を見せつつも一徹の料理を美味しそうに食べている。
「天災はどうしようもないよ。無事間に合って良かったじゃない」
隣に居る波那が兄をなだめる。
「そうだよ、無理して飛ばして墜落するよか良いじゃん、命拾いしたとでも思えば」
「縁起でもない事言うなよな……」
遼は向かいに座っている愁を嫌そうな顔で見る。この二人一卵性双生児の割に似ておらず、性格もそりが合う方ではなかった。他のきょうだいから見ても、愁と遼よりも麗未と波那の方がそれらしく映っていた。
「今日くらい喧嘩しないでよぉ」
次姉里佳子が実の双子を牽制する。
「しないよ、こんな日に」
愁は食事の手を止めずに返事し、遼は一つため息を吐くも特に何物言い返さず食事を再開する。
幸い喧嘩には発展せず、ある程度食事を平らげたのを見た麗未は嬉しそうに弟を見た。
「ケーキ食べよう♪今年は波那が作ったんだよ」
うん。波那は頷いて冷蔵庫に向かう。
「本当?お母さん早く食べたいなぁ」
早苗は息子のケーキと聞いて嬉しそうな表情を見せる。学生時代にはよく作っていたのだが、社会人になりたての頃にしょっちゅう倒れたり発作を起こしたりしていた時期があり、千景の提案で近所にオープンした知り合いの洋菓子店でケーキを買う様になったのだった。
「久し振りだからあまり期待しないでね」
波那は少し緊張した面持ちでケーキを切り分ける。九人居るので小さめの物を二つ作っており、一つ目は綺麗に無くなって二つ目が半分残るように切り分けた。
「うわっ、美味しそう♪」
甘いものに目が無い里佳子は嬉しそうにケーキを覗き込んでいるけど早苗の顔もほころび、切り分けられたケーキは真っ先に母の前々に置いた。千景が並べるのを手伝ってくれたので残りのケーキを冷蔵庫にしまう。
「いただきます」
早苗は早速ケーキを口の中に入れた。美味しい……。その表情は嬉しそうで、きょうだいたちもケーキを食べ始めるも母ほどの反応は無い。波那もそれを口に入れるとお世辞にも美味とは言えず、彼らの反応の理由が分かって慌てて立ち上がった。
「お母さん、こんなの食べちゃダメだよ」
波那はそれを回収しようとする。
「どうして?お母さんこれが食べたいの、お願いだから棄てないで」
だって……。彼はきょうだいたちも母と同じ様に食べてくれるのが申し訳無くなってくる。
「みんな美味しくないでしょ?」
「何言ってんだ?棄てるほど不味くないぞ」
遼の言葉に呼応するかのように時生は既に完食していた。波那は棄てようとした自身のケーキを流し台で食べているうちに涙が溢れてくる。
「波那、座って食べな」
ここは第一子らしく千景が声を掛ける。
「……ごめんなさい」
何に対して謝って入るのか分かっていなかったのだが、折角の母の誕生日に泣き顔を見せたくなくてなかなか座ろうとしない。そこで更に注意しようとした娘をたしなめた早苗が息子の居る流し台にやって来て、本当に美味しいよ。と肩を抱いて慰める。
「嘘はダメだよ、お母さん……」
美味しくないケーキを母に食べさせてしまった事が申し訳亡くて更に涙をこぼす。
「嘘じゃないわ、本当に美味しくなかったら誰も手を付けないわよ」
その言葉を受けるかのように時生がやって来て、波那が食べ残しているケーキを持って行ってしまう。
「食わないなら貰うぞ」
「卑しいなぁ、もう」
里佳子は弟の行動に呆れており、一徹も肩をすくめている。
「何も取り上げなくて良いじゃないか、冷蔵庫にまだ残ってるだろ?」
「その分は波那が食えば良いだろ」
時生は気にする事なくその分もあっさり平らげてしまい、千景はただただ苦笑いするしかなかった様だ。
「ったく、あんたって子は……」
長姉の言葉に早苗は笑い出し、波那もつられて笑ってもしまう。
「来年はもっと美味しいの作るから……」
波那は涙でぐちゃぐちゃになった顔も見せるのが恥ずかしくて母に隠れて涙を拭う。息子のささやかな約束に早苗は優しく頭を撫でる。
「私はあなたたちが元気でいてくれたらそれで良いの」
早苗の誕生日も過ぎて皆それぞれの生活に戻っており、何も無い、穏やかな時間を過ごしていた。恋人が居なくなるとこんなに静かになるんだな……。このところ波那は職場で親しくしている人たち以外との交流はほとんど無くなっていた。
一時期よく会っていた毛利ともメールのやり取りのみになっていて、津田は見掛ける事はあっても挨拶を交わす程度になっている。中林とは当然連絡を取っていなかったのだが、連絡先は残したままにしている。畠中に至ってはその日のうちに連絡先を削除し、完全拒絶の意思表示として着信拒否設定をする念の入れ様だった。
「しゅう兄はそろそろ着くはずだから出るよ、りょう兄の方がどうなるか分かんないから遅くなると思う」
四兄時生は車の鍵とケータイを持って出掛ける支度を整えている。
「昨日から台風の影響で足止めされてる、って言ってたもんね。無事飛んでくれると良いんだけど」
「うん。じゃ、行ってくるよ」
行ってらっしゃい。二人は時生を見送ってから作業を再開すると、一徹が、聞いたよ。と話を切り出してきた。
「ちいさんから。お前も聞いてんだろ?けいとの事」
「うん。全然気付かなかったから聞いた時はびっくりした」
波那は作業の手を止めて兄を見る。
「俺子供の頃から女性にときめいた事無いんだよ。元々ストレートだったのが何きっかけでそうなったんだ?」
不思議そうに訊ねる一徹に、波那は畠中との出会いから駅の火災があった日までの出来事を話した。
「じゃあその人と?」
波那は小さく首を振る。
「その方何だか掴みどころが無くて、一緒に居るとかえって不安になっちゃうからお付き合いには至らなかったんだ。それから少しして総ちゃんの後輩の方と昨日まで……」
「そうか。総一郎と言えば、確か波那にプロポーズしてたよな?」
「どうしてその事知ってるの!?」
「ときが幼稚園年長組の時だよ、男の子同士は結婚出来ないんだよね?って。未だに波那の扱いがあの時と同じだ、ってぼやいてたよ」
「とき兄ちゃん時々冗談めかした事言うんだから……」
波那は少し照れ臭くなって一徹から視線を逸らし、兄はそんな末弟の姿ににやっと笑う。
「仮に告られたらどうする?ときの冗談甘く見ない方が良いぞ」
「総ちゃんが?そんな事しないって」
彼は理性のある人だから。波那はそう信じていたが、もしもそんな事があったら?と考えていると何だか変な気分になってきて一瞬手順を忘れてしまう。それでも作業そのものは順調に進み、夕方には全ての行程が完成した。
「まさか見送ってくださる方がいらっしゃるなんて思ってもなかったです」
実家に戻る事を決めた千郷の見送りとして中林、毛利、津田が高速バスターミナルに姿を見せており、嬉しそうに三人を見る。
「昨夜聞いてびっくりしたよ、取り敢えずこの二人には報せたんだけど」
昨夜バーで千郷と会った毛利は、畠中との破局と翌日の帰省を聞いていたのだった。
「ありがとうございます、ところで波那さんは?」
「波那ちゃん?誰か連絡した?」
毛利は変な気を利かせて敢えて伝えていなかったのだが、もしやと思って中林と津田を見る。
「昨日別れた」
「えっ?そっちも?昨日ってそういう日?」
驚いた表情を見せている毛利に中林は、知るか。とそっぽを向く。
「今日はお母さんの誕生日だからな、誘ったところで来ないよ」
津田は首を横に振って思い当たる理由を話した。
「……会いたかったな、波那さんに」
「何言ってんだ!?恋人寝取った相手だぞ」
中林は昨日の今日の事なのでまだ怒りが残っており、少し表情が険しくなる。
「そうなんですけど、初めて会った様な気がしなくてどうしても嫌いになれないんです」
千郷はケータイを取り出して家族写真を見せる。彼を含めた男性三人の中で、年を重ねた波那の様な男性を指して、母です。と説明した。
「波那さんが声を掛けてくれた時に母の温かさを思い出して、休学して実家に戻る考えが頭に浮かんだんです。星哉君にはずっとあの方が棲み付いていた様ですから」
千郷はさばさばとした口調で話し、暗さは微塵も無い。
「……お前案外強いな」
中林は感心した様に小柄な男の子を見下ろしていると、彼が乗る高速バスが到着する。
「元気になったら戻ってきます」
「うん、その時はまた店においでね」
はい。千郷は毛利を見て頷いた。
「ゆっくり休めば良いよ、人生せかせか生きるほど短くないから」
津田は年上らしく優しい言葉を掛ける。
「はい、ありがとうございます」
「気が向いたら連絡くれ、戻るつもりなら誰かと繋がっといた方が良いだろ」
中林はメッセージカードくらいの大きさの封書を手渡した。
「うん、必ず連絡する」
千郷は宝物にでも触れるかの様に大切に取り扱い、嬉しそうな表情を見せた。そして三人に手を振ってバスに乗り込み、間もなく発車して彼を故郷へ運んで行った。
早苗の帰宅に合わせて小泉家では母の誕生日パーティーを開いており、九人仲良く食卓を囲んでいる。
「昨日から足止めされるとさすがに疲れるよ」
仕事より疲れた。結局丸一日現地の空港にいた遼は、疲労を見せつつも一徹の料理を美味しそうに食べている。
「天災はどうしようもないよ。無事間に合って良かったじゃない」
隣に居る波那が兄をなだめる。
「そうだよ、無理して飛ばして墜落するよか良いじゃん、命拾いしたとでも思えば」
「縁起でもない事言うなよな……」
遼は向かいに座っている愁を嫌そうな顔で見る。この二人一卵性双生児の割に似ておらず、性格もそりが合う方ではなかった。他のきょうだいから見ても、愁と遼よりも麗未と波那の方がそれらしく映っていた。
「今日くらい喧嘩しないでよぉ」
次姉里佳子が実の双子を牽制する。
「しないよ、こんな日に」
愁は食事の手を止めずに返事し、遼は一つため息を吐くも特に何物言い返さず食事を再開する。
幸い喧嘩には発展せず、ある程度食事を平らげたのを見た麗未は嬉しそうに弟を見た。
「ケーキ食べよう♪今年は波那が作ったんだよ」
うん。波那は頷いて冷蔵庫に向かう。
「本当?お母さん早く食べたいなぁ」
早苗は息子のケーキと聞いて嬉しそうな表情を見せる。学生時代にはよく作っていたのだが、社会人になりたての頃にしょっちゅう倒れたり発作を起こしたりしていた時期があり、千景の提案で近所にオープンした知り合いの洋菓子店でケーキを買う様になったのだった。
「久し振りだからあまり期待しないでね」
波那は少し緊張した面持ちでケーキを切り分ける。九人居るので小さめの物を二つ作っており、一つ目は綺麗に無くなって二つ目が半分残るように切り分けた。
「うわっ、美味しそう♪」
甘いものに目が無い里佳子は嬉しそうにケーキを覗き込んでいるけど早苗の顔もほころび、切り分けられたケーキは真っ先に母の前々に置いた。千景が並べるのを手伝ってくれたので残りのケーキを冷蔵庫にしまう。
「いただきます」
早苗は早速ケーキを口の中に入れた。美味しい……。その表情は嬉しそうで、きょうだいたちもケーキを食べ始めるも母ほどの反応は無い。波那もそれを口に入れるとお世辞にも美味とは言えず、彼らの反応の理由が分かって慌てて立ち上がった。
「お母さん、こんなの食べちゃダメだよ」
波那はそれを回収しようとする。
「どうして?お母さんこれが食べたいの、お願いだから棄てないで」
だって……。彼はきょうだいたちも母と同じ様に食べてくれるのが申し訳無くなってくる。
「みんな美味しくないでしょ?」
「何言ってんだ?棄てるほど不味くないぞ」
遼の言葉に呼応するかのように時生は既に完食していた。波那は棄てようとした自身のケーキを流し台で食べているうちに涙が溢れてくる。
「波那、座って食べな」
ここは第一子らしく千景が声を掛ける。
「……ごめんなさい」
何に対して謝って入るのか分かっていなかったのだが、折角の母の誕生日に泣き顔を見せたくなくてなかなか座ろうとしない。そこで更に注意しようとした娘をたしなめた早苗が息子の居る流し台にやって来て、本当に美味しいよ。と肩を抱いて慰める。
「嘘はダメだよ、お母さん……」
美味しくないケーキを母に食べさせてしまった事が申し訳亡くて更に涙をこぼす。
「嘘じゃないわ、本当に美味しくなかったら誰も手を付けないわよ」
その言葉を受けるかのように時生がやって来て、波那が食べ残しているケーキを持って行ってしまう。
「食わないなら貰うぞ」
「卑しいなぁ、もう」
里佳子は弟の行動に呆れており、一徹も肩をすくめている。
「何も取り上げなくて良いじゃないか、冷蔵庫にまだ残ってるだろ?」
「その分は波那が食えば良いだろ」
時生は気にする事なくその分もあっさり平らげてしまい、千景はただただ苦笑いするしかなかった様だ。
「ったく、あんたって子は……」
長姉の言葉に早苗は笑い出し、波那もつられて笑ってもしまう。
「来年はもっと美味しいの作るから……」
波那は涙でぐちゃぐちゃになった顔も見せるのが恥ずかしくて母に隠れて涙を拭う。息子のささやかな約束に早苗は優しく頭を撫でる。
「私はあなたたちが元気でいてくれたらそれで良いの」
早苗の誕生日も過ぎて皆それぞれの生活に戻っており、何も無い、穏やかな時間を過ごしていた。恋人が居なくなるとこんなに静かになるんだな……。このところ波那は職場で親しくしている人たち以外との交流はほとんど無くなっていた。
一時期よく会っていた毛利ともメールのやり取りのみになっていて、津田は見掛ける事はあっても挨拶を交わす程度になっている。中林とは当然連絡を取っていなかったのだが、連絡先は残したままにしている。畠中に至ってはその日のうちに連絡先を削除し、完全拒絶の意思表示として着信拒否設定をする念の入れ様だった。
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