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第二章 フユシオン
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「失礼します」
そう言ってその人は入ってきた。見たことのある顔だ。私の記憶が確かなら彼は営業部の社員だったと思う。
「あらあら、もうそんな時間だったわね」
西浦さんは時計を見ながらそう言うと彼の方へ歩み寄った。
「ちょうどいいから紹介しとくわ……。というより春川さんとは同期だから顔なじみかもしれないわね。こちら、営業部の柏木くん。今日からクリエイター発掘部の仲間よ」
西浦さんはさも当たり前のように言うと彼に自己紹介するように促した。急なことに私は「はぁ」としか返事できない。
「営業二課の柏木昭則です。よろしく」
柏木くんはそれだけ言って私に手を差し出した。
「よろしくお願いします」
私は流れでその手を握り返した。手に冷たい感触が伝わる。
「……実はね。今回のプロジェクトでどうしても柏木くんの手を借りたかったのよ。ほら、春川さんボカロとか詳しくないでしょ?」
「そう……ですね。私はあまり詳しくないです」
「そうよね。余裕があればあなたにもボカロについてしっかり勉強してもらうところだけど……。流石に無理だと思うのよ。だから営業部長にお願いしたの。それで来てくれたのが柏木くんってわけ」
それから西浦さんは柏木くんについて簡単に説明してくれた。
「柏木くんもボーカロイドで曲作りしてる子なの。だからこれから先、鍵山さんと話を詰める上ですごく頼りのなると思うわ。それだけじゃないわ。柏木くんはネット小説なんかにも詳しいのよ。まぁ……。アレね。サブカルチャーの『有識者』って感じ」
西浦さんはそこまで話すと「ね?」と柏木くんに同意を求めた。柏木くんは「まぁ……」と曖昧に答える。
私はそこまで聞いてようやく話の内容を理解できた気がする。要は柏木くんは『オタク』なのだ。アニメやらボカロやらに詳しいということはそういった人種なのだと思う――。
そう言ってその人は入ってきた。見たことのある顔だ。私の記憶が確かなら彼は営業部の社員だったと思う。
「あらあら、もうそんな時間だったわね」
西浦さんは時計を見ながらそう言うと彼の方へ歩み寄った。
「ちょうどいいから紹介しとくわ……。というより春川さんとは同期だから顔なじみかもしれないわね。こちら、営業部の柏木くん。今日からクリエイター発掘部の仲間よ」
西浦さんはさも当たり前のように言うと彼に自己紹介するように促した。急なことに私は「はぁ」としか返事できない。
「営業二課の柏木昭則です。よろしく」
柏木くんはそれだけ言って私に手を差し出した。
「よろしくお願いします」
私は流れでその手を握り返した。手に冷たい感触が伝わる。
「……実はね。今回のプロジェクトでどうしても柏木くんの手を借りたかったのよ。ほら、春川さんボカロとか詳しくないでしょ?」
「そう……ですね。私はあまり詳しくないです」
「そうよね。余裕があればあなたにもボカロについてしっかり勉強してもらうところだけど……。流石に無理だと思うのよ。だから営業部長にお願いしたの。それで来てくれたのが柏木くんってわけ」
それから西浦さんは柏木くんについて簡単に説明してくれた。
「柏木くんもボーカロイドで曲作りしてる子なの。だからこれから先、鍵山さんと話を詰める上ですごく頼りのなると思うわ。それだけじゃないわ。柏木くんはネット小説なんかにも詳しいのよ。まぁ……。アレね。サブカルチャーの『有識者』って感じ」
西浦さんはそこまで話すと「ね?」と柏木くんに同意を求めた。柏木くんは「まぁ……」と曖昧に答える。
私はそこまで聞いてようやく話の内容を理解できた気がする。要は柏木くんは『オタク』なのだ。アニメやらボカロやらに詳しいということはそういった人種なのだと思う――。
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