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第二章 宝玉とわがままな神子
21 赤毛の女の子
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「ごめんねっ。怪我はない?」
俺は女の子の手をゆっくりと引き上げて、立たせてあげた。もっと小さい子なら、砂ぼこりを払ったり、怪我の様子を見るために膝や肘を見たりするけれど、さすがにそれをしたら怒られそうだ。
「あらっ、優しいのね。ありがとう。でも、もう少し気をつけてよね。」
女の子は自分で衣服のほこりを払うと、俺達の方を向いた。
良く見たらこの子、お遊戯会の劇に登場するお姫様のような、ふわふわの白いドレスに頭にティアラ、手に先端がキラキラ光るステッキを持っている。
ステッキの光で見える髪の色は綺麗な赤毛で大きな目からは力強い赤い瞳が輝いていて、可愛いと言うよりも美人さんだ。
「きれー。」
思わず呟いたんだろう、優君の声がした。
「あら、ありがとう。良く言われるわ。あなた達もなかなか整った顔だちよ。
それよりも、ここどこかしら?。見たところ地下の水路のようだけれど。」
「うん、ここは地下水路。君はどうしてここに?。ご両親は近くにいるの?。」
俺は両ひざを曲げて、女の子と目線を合わせながら話した。
「私、両親とここに来ていないわ。ユージーンに用事があって探していたの。あなた達こそ迷子かしら?。」
「あのっ。あなたはユージーンと知り合いなんですか?。」
優君がユージーンさんの名前に反応して、女の子に近寄る。
「そうよ。なかなか戻ってこないから、私の方から一か八かで飛んできたのよ。どうやら結果はあまりよろしくなかったようね。もともと成功率の低い力だから仕方ないのだけれど…」
女の子は周囲を見渡して、ため息をつく。
「まぁ良いわ。どうせ近くにはいるでしょう?。ここからはあなた達と一緒に歩いて行くわ。私の名前はティアラよ。よろしくお願いするわ。」
「僕は優一郎です。その、呼びにくいと思うのでユウで良いです。よろしくお願いします。」
「俺は海里です。さっきはごめんね、よろしくお願いします。」
敬語を使うべきかちょっと悩みつつ、挨拶をする。
「二人とも礼儀正しいのね。そして可愛らしいわ。よろしくね。
堅苦しいのは好きじゃないの。普通にしゃべってくれてかまいませんわ。私のことはティアちゃんと呼んでくださいませ。」
なんだかとてもしっかりしている子だ。ツヴァイルの弟のシマ君もおませな言葉遣いで、年齢以上にしっかりしていた。獣人は成長が早いから、みんなこんな感じなのだろうか。
「よ、よろしくね。ティアちゃん…。
えっと、俺達、とても先を急いでいるんだ。だから、走っていかないとなんだ。ティアちゃんをこんなところに一人置いていけないから、俺がおんぶやだっこしても良いかな?」
「嫌ですわ。」
つんっとそっぽを向きながら即答するティアちゃん。
嫌かもしれないけれど…。
「でも、悠長に歩いている時間はないんだよ。」
「じゃあ、こうしましょう。
なぜ、あなた達が走って行きたいのか、なぜ、ここにユージーンがいないのか、そもそも、ここがどこなのか、全部私に話したら、おんぶされてあげるわ。」
「それは…。よく知らない君に話して聞かせることはできないし、長くなるから、ごめんね、時間がないんだ。」
「まぁ、せっかちさんね。私はユージーンが心配で様子を見に来たの。あなた達の敵ではないわ。それにどのみち、あなたは良くてもユウはもう走れなさそうよ。ユウの体力を回復させるためにも、私は歩きを提案するわ。」
な、なるほど…。確かに走り慣れていない優君の体力は限界に近かった。
「ふふっ、納得したようね。さぁ、時間がないわ。さっさと歩いて、とっとと現状をお話ししてちょうだい。」
ぐ、子どもにも心の声を読み取られてしまう俺って…。
とにかくこうして俺達は、ティアちゃんに話をしながら先を急いだのだった。
俺は女の子の手をゆっくりと引き上げて、立たせてあげた。もっと小さい子なら、砂ぼこりを払ったり、怪我の様子を見るために膝や肘を見たりするけれど、さすがにそれをしたら怒られそうだ。
「あらっ、優しいのね。ありがとう。でも、もう少し気をつけてよね。」
女の子は自分で衣服のほこりを払うと、俺達の方を向いた。
良く見たらこの子、お遊戯会の劇に登場するお姫様のような、ふわふわの白いドレスに頭にティアラ、手に先端がキラキラ光るステッキを持っている。
ステッキの光で見える髪の色は綺麗な赤毛で大きな目からは力強い赤い瞳が輝いていて、可愛いと言うよりも美人さんだ。
「きれー。」
思わず呟いたんだろう、優君の声がした。
「あら、ありがとう。良く言われるわ。あなた達もなかなか整った顔だちよ。
それよりも、ここどこかしら?。見たところ地下の水路のようだけれど。」
「うん、ここは地下水路。君はどうしてここに?。ご両親は近くにいるの?。」
俺は両ひざを曲げて、女の子と目線を合わせながら話した。
「私、両親とここに来ていないわ。ユージーンに用事があって探していたの。あなた達こそ迷子かしら?。」
「あのっ。あなたはユージーンと知り合いなんですか?。」
優君がユージーンさんの名前に反応して、女の子に近寄る。
「そうよ。なかなか戻ってこないから、私の方から一か八かで飛んできたのよ。どうやら結果はあまりよろしくなかったようね。もともと成功率の低い力だから仕方ないのだけれど…」
女の子は周囲を見渡して、ため息をつく。
「まぁ良いわ。どうせ近くにはいるでしょう?。ここからはあなた達と一緒に歩いて行くわ。私の名前はティアラよ。よろしくお願いするわ。」
「僕は優一郎です。その、呼びにくいと思うのでユウで良いです。よろしくお願いします。」
「俺は海里です。さっきはごめんね、よろしくお願いします。」
敬語を使うべきかちょっと悩みつつ、挨拶をする。
「二人とも礼儀正しいのね。そして可愛らしいわ。よろしくね。
堅苦しいのは好きじゃないの。普通にしゃべってくれてかまいませんわ。私のことはティアちゃんと呼んでくださいませ。」
なんだかとてもしっかりしている子だ。ツヴァイルの弟のシマ君もおませな言葉遣いで、年齢以上にしっかりしていた。獣人は成長が早いから、みんなこんな感じなのだろうか。
「よ、よろしくね。ティアちゃん…。
えっと、俺達、とても先を急いでいるんだ。だから、走っていかないとなんだ。ティアちゃんをこんなところに一人置いていけないから、俺がおんぶやだっこしても良いかな?」
「嫌ですわ。」
つんっとそっぽを向きながら即答するティアちゃん。
嫌かもしれないけれど…。
「でも、悠長に歩いている時間はないんだよ。」
「じゃあ、こうしましょう。
なぜ、あなた達が走って行きたいのか、なぜ、ここにユージーンがいないのか、そもそも、ここがどこなのか、全部私に話したら、おんぶされてあげるわ。」
「それは…。よく知らない君に話して聞かせることはできないし、長くなるから、ごめんね、時間がないんだ。」
「まぁ、せっかちさんね。私はユージーンが心配で様子を見に来たの。あなた達の敵ではないわ。それにどのみち、あなたは良くてもユウはもう走れなさそうよ。ユウの体力を回復させるためにも、私は歩きを提案するわ。」
な、なるほど…。確かに走り慣れていない優君の体力は限界に近かった。
「ふふっ、納得したようね。さぁ、時間がないわ。さっさと歩いて、とっとと現状をお話ししてちょうだい。」
ぐ、子どもにも心の声を読み取られてしまう俺って…。
とにかくこうして俺達は、ティアちゃんに話をしながら先を急いだのだった。
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