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第10話 価格の常識
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僕らはもう少し情報集めの為、色んな店に入ってみる事にした。今度は字が読めるので、値段がわかるからだ。
まずは呉服屋に入った。うーん。思ったけど白、紺、赤色がメインの服しかない。それ以外はオーダーメイドらしい。
そういえば、ほとんどの人が紺色の服を着ていた。赤いのは組合員の人達が着ていたけど、色分けされているのか?
『うーん。色を混ぜる技術に乏しいようね』
「値段も安くないわ。たぶん」
依頼を受けた給金は、紅草10本で1,000リダル。でも服の値段を見る限りこのお金で買える服はない。白いのが一番安いけど、3,000リダルはする。
「これ制服は売らない方がいいわね。絶対ばれる」
「本気で売る気だったんだ」
『チェック模様なんて値段付けられないでしょうね』
確かにそうだ。模様が入った服などない。まだらのようなのはあるけど。ちょっと安いところをみると、失敗作みたいなもんなんだろうなぁ。
ため息をしつつ呉服屋から出た。って、その隣は、刺繡屋だ。
『あら模様は別なのかしら?』
「入ってみようか」
刺繍屋に足を踏み入れた。絨毯の様な物が入り口に敷かれていて、龍だと思われる素晴らしい刺繡が施されている。
「すご……」
「これはこれは、いらっしゃませ」
「凄いですね」
「ありがとうございます。もしかしてマントに刺繍を施しですか?」
僕が、マントを着ているのにマントを持っているようなのでそう思ったようだ。
「気に入ったデザインがあれば」
よくすらすらとそういう言葉がでるな。普段のヒナからは想像できない。
「どのようなものがよろしいでしょうか」
「そうですね。精霊王などありますか?」
精霊王って。まあ龍があるからあるのかもしれないが……。
「これはまた、難しいですね。デザインはここにはございませんが、本店にはあるかと思いますが」
「本店?」
「はい。首都ラピライタにあります」
「そう。ではそこに行ってみます」
店主はちょっと残念そうだけど、僕らは店から出た。
『首都の名前がわかったわね』
「聞いた事あるの?」
「ないわ。ゲームには出てこない名前ね」
『きっとこの国自体、ゲームにない国なのかもしれないわ』
それなのに僕たちは、ここに転移させられたって事? なぜ!?
「精霊王も人間が知っている存在みたいよね。首都に行って精霊王の絵でも刺繍でもいいから見たいわね」
「そこまで行くのが大変そうだけど」
走るのが速いとはいえ、物価が高そうだし生きていけるのか僕達。
「まあまずは、資金を何とかしないとね。お腹がすいたけど、どうしようか」
「お金がないから紅草取って来るしかなくないか……」
紅草は、名前の通り紅色の草。赤土の岩に生息しているらしい。その場所は教えてもらった。遠くはない。走ればすぐだ。そう言う事で、僕だけが行くことになった。走らず空を飛んで行くんだけどね……。
『足にマントをくくりつけて、反対側は手に持って体を隠しながら大空を飛ぶ方法なんてどうかしら?』
猫顔でどや顔して言われたが、その案が通ってしまった。誰もいない場所を探しマントを外して足に括り付け、スーッと上空へと舞い上がる。僕としてもこの格好は見られたくないので、出来るだけ上空へと浮上。
そしてマントで身を隠しながら岩山へと飛ぶ。地上から見れば、紺色の布が飛ばされているように見えるはずだ。
『大丈夫よ。その高さなら布しか見えないわ。宜しくね』
はぁ……。なんでこうなるんだ。
地上から見た姿を確認したヒトミンから連絡があって成功のようだけど、嬉しくない。
しばらくすると、たくさん生息しているのが見えた。岩の上に……。これは登るか、上から見ないとわからないかも。もちろん、下にも生えている。たぶん上にあるのは、手つかずだ。
「そうだこれ、ポーチに入らないかな?」
ゲーム仕様なら大きさなど関係なく入りそうだけど。
試してみれば、どんどん入る!
気が付けば、半分ぐらい収穫していた。
「やば、こんなに取ってどうする」
こうして僕は、たくさん紅草を収穫して戻った。
「おかえり」
「はい」
『今どこから出したの!?』
「え? 本当に見えないんだ。フェアリーポーチから……」
「『フェアリーポーチ!?」』
二人が驚いて大きな声を上げるからあわてて僕はマントを羽織る。やっぱり何事かと見に来た人がいた。危なかった~。
「と、とにかくお金に変えよう」
二人とも目を輝かせている。よほど凄いポーチの様だ。
そして――。
「これは素晴らしい。しおれてもいないし、大きさもかなりなもの!」
組合に絶賛された。3倍の金額を貰えてびっくり。
そしてとどめは、休憩しようと宿屋の金額を見て驚いた。1時間一部屋100リダルからだったんだ。
『驚いたわ。服より断然安い』
「時間の計り方は一緒みたいね」
ぼくらの常識が通じない世界かもしれない。
まずは呉服屋に入った。うーん。思ったけど白、紺、赤色がメインの服しかない。それ以外はオーダーメイドらしい。
そういえば、ほとんどの人が紺色の服を着ていた。赤いのは組合員の人達が着ていたけど、色分けされているのか?
『うーん。色を混ぜる技術に乏しいようね』
「値段も安くないわ。たぶん」
依頼を受けた給金は、紅草10本で1,000リダル。でも服の値段を見る限りこのお金で買える服はない。白いのが一番安いけど、3,000リダルはする。
「これ制服は売らない方がいいわね。絶対ばれる」
「本気で売る気だったんだ」
『チェック模様なんて値段付けられないでしょうね』
確かにそうだ。模様が入った服などない。まだらのようなのはあるけど。ちょっと安いところをみると、失敗作みたいなもんなんだろうなぁ。
ため息をしつつ呉服屋から出た。って、その隣は、刺繡屋だ。
『あら模様は別なのかしら?』
「入ってみようか」
刺繍屋に足を踏み入れた。絨毯の様な物が入り口に敷かれていて、龍だと思われる素晴らしい刺繡が施されている。
「すご……」
「これはこれは、いらっしゃませ」
「凄いですね」
「ありがとうございます。もしかしてマントに刺繍を施しですか?」
僕が、マントを着ているのにマントを持っているようなのでそう思ったようだ。
「気に入ったデザインがあれば」
よくすらすらとそういう言葉がでるな。普段のヒナからは想像できない。
「どのようなものがよろしいでしょうか」
「そうですね。精霊王などありますか?」
精霊王って。まあ龍があるからあるのかもしれないが……。
「これはまた、難しいですね。デザインはここにはございませんが、本店にはあるかと思いますが」
「本店?」
「はい。首都ラピライタにあります」
「そう。ではそこに行ってみます」
店主はちょっと残念そうだけど、僕らは店から出た。
『首都の名前がわかったわね』
「聞いた事あるの?」
「ないわ。ゲームには出てこない名前ね」
『きっとこの国自体、ゲームにない国なのかもしれないわ』
それなのに僕たちは、ここに転移させられたって事? なぜ!?
「精霊王も人間が知っている存在みたいよね。首都に行って精霊王の絵でも刺繍でもいいから見たいわね」
「そこまで行くのが大変そうだけど」
走るのが速いとはいえ、物価が高そうだし生きていけるのか僕達。
「まあまずは、資金を何とかしないとね。お腹がすいたけど、どうしようか」
「お金がないから紅草取って来るしかなくないか……」
紅草は、名前の通り紅色の草。赤土の岩に生息しているらしい。その場所は教えてもらった。遠くはない。走ればすぐだ。そう言う事で、僕だけが行くことになった。走らず空を飛んで行くんだけどね……。
『足にマントをくくりつけて、反対側は手に持って体を隠しながら大空を飛ぶ方法なんてどうかしら?』
猫顔でどや顔して言われたが、その案が通ってしまった。誰もいない場所を探しマントを外して足に括り付け、スーッと上空へと舞い上がる。僕としてもこの格好は見られたくないので、出来るだけ上空へと浮上。
そしてマントで身を隠しながら岩山へと飛ぶ。地上から見れば、紺色の布が飛ばされているように見えるはずだ。
『大丈夫よ。その高さなら布しか見えないわ。宜しくね』
はぁ……。なんでこうなるんだ。
地上から見た姿を確認したヒトミンから連絡があって成功のようだけど、嬉しくない。
しばらくすると、たくさん生息しているのが見えた。岩の上に……。これは登るか、上から見ないとわからないかも。もちろん、下にも生えている。たぶん上にあるのは、手つかずだ。
「そうだこれ、ポーチに入らないかな?」
ゲーム仕様なら大きさなど関係なく入りそうだけど。
試してみれば、どんどん入る!
気が付けば、半分ぐらい収穫していた。
「やば、こんなに取ってどうする」
こうして僕は、たくさん紅草を収穫して戻った。
「おかえり」
「はい」
『今どこから出したの!?』
「え? 本当に見えないんだ。フェアリーポーチから……」
「『フェアリーポーチ!?」』
二人が驚いて大きな声を上げるからあわてて僕はマントを羽織る。やっぱり何事かと見に来た人がいた。危なかった~。
「と、とにかくお金に変えよう」
二人とも目を輝かせている。よほど凄いポーチの様だ。
そして――。
「これは素晴らしい。しおれてもいないし、大きさもかなりなもの!」
組合に絶賛された。3倍の金額を貰えてびっくり。
そしてとどめは、休憩しようと宿屋の金額を見て驚いた。1時間一部屋100リダルからだったんだ。
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