【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)

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 自分が歩く音が反響している。そこに僕の絶叫も響き渡った……。

 「ぎゃ~……って、紅葉やめて! 心臓に悪い!」

 僕が来た事に気がついた紅葉が、スーッと牢から出て来て僕の頭の上に着地した。

 『もう慣れなさいよ。笑われているわよ』

 ハッとして前を見ると、兵士が声を殺して笑っている。
 う……。超はずかしい。
 僕は、頭から降ろした紅葉を抱っこする。

 『ここからでれりゅの?』

 「うーん。僕だけね。ねえ、一緒に着いて来てくれない?」

 『いいよ』

 「ありがとう。あ、少しだけ彼女達ともお話をしたいのですが……」

 兵士がいいと頷いた。

 「レンカ……」

 「スラゼお兄ちゃん……」

 「大丈夫? 僕が違うって証明してくるからね」

 「え? 大丈夫?」

 「うん。大丈夫。大人しく待っていて」

 レンカは、頷いた。

 「紅葉~」

 サツナの声が聞こえる。

 「サツナ。紅葉は大丈夫だよ」

 「スラゼお兄ちゃん……」

 サツナの方は泣いた様で、目が赤い。

 「サツナ大丈夫?」

 「うん。私どうなるの?」

 「大丈夫。君が火をつけてない事を証明してくるから。紅葉を連れて行くけどいいかな?」

 サツナは、こくんと頷いた。

 『しょうめいちてくるからまってって!』

 わかっているのか、わかっていないのか、わからないけど紅葉もそう言った。

 「おい、スラゼ!」

 アーズラッドだ。

 「お前一人で何をするつもりだ?」

 「ちょっとした取引をしたんだ。大丈夫」

 「大丈夫って。勝てる訳ないだろう? あのカリルさんを殺した相手だぞ!」

 「うん。もし万が一の事があったら二人をお願いね」

 「何言ってるんだお前!」

 「無事に戻ってこれたらみんなで冒険をしようね」

 「なんで、そうなるんだよ……。俺も一緒に行く! なあ、いいだろう? 自分の身の潔白を証明したいんだ!!」

 「世の中、お金だよ。アーズラッド。ないなら大人しくしている事だな」

 え? フロラドルさん。来たんだ。

 「なんだよそれ!」

 「世間一般論だよ。君だけを優遇出来ないという事だ。それに死にに行くようなものだろう?」

 「それならスラゼだって同じだ! 彼を巻き込んだのは俺なんだ。逃げないから! 俺だって、スラゼが死んだら目覚めが悪いんだ!」

 『彼も守るとなると、大変なんだけどね……』

 ひゅ~っと、紅葉が、僕の手からアーズラッドの頭の上に飛んで行った。アーズラッドは、ビクッとして固まった。

 「おい……これ、何?」

 『キミもまもる』

 「え? 声が聞こえる!?」

 「ほう。結構簡単に眷属するようだな」

 アーズラッドが驚いた声を上げると、フロラドルさんが呟いた。

 「え? 眷属!?」

 『しちゃったみたいね。私が大変だと言ったからかしら? あまり変わらない気もするけど……』

 「眷属になっても建前上、保釈金という物が必要だ」

 「なんだよそれ! お金は後払いするから……」

 「だからそれではダメなんだ。君は、立派な生き証人。何かあればこちらも困る」

 「スラゼを俺達で脅しているんだろう? 卑怯者!」

 「それは違うよ。アーズラッドを巻き込んだのは僕なんだ。ごめん……」

 「そう言うならここから出せよ! 俺も連れて行け!」

 そう言われても……。

 『諦めが悪いわね。まあ気持ちはわからないでもないけど』

 そうだ。お金!
 僕は、風呂敷を床に開いた。
 何だと周りの人は注目している。
 鞄から、金貨貯金箱を取り出した。

 『まさかそれあげる気? いくら入っていると思っているのよ!』

 「金貨、千枚」

 ちょうど貯まったんだ。だから開くはず。
 かぼ。

 「何? 突然入れ物が現れた!?」

 フロラドルさんが驚いている。そうだった。これ、他の人には見えない様になっているんだった。

 「これ、金貨貯金箱なんです」

 ザーッと、貯金箱の中身をふろしきの上に出していく。

 「おい、それ、おかしくないか?」

 アーズラッドが呟いた。
 見た目より金貨が出て来ている。入りきらないはずの金貨がふろしきの上に山積みになった。

 「さすが、スラゼと言ったところか。それを保釈金にするつもりか? 一体いくらある?」

 「だから金貨千枚です」

 「金貨千枚だと!?」

 「はぁ? なんでお前がそんな大金持っているんだよ!」

 「ミミミラス保存袋の収益だからちゃんとしたお金だよ」

 「本気なのか? それを持っているなら従うふりして逃げだす事も出来ただろうに」

 「僕は、みんなを助けたいんです。できればこれで、みんなを保釈して下さい。連れて行く事はしませんけど、せめて宿に……」

 『もう、何の為に貯めたのよ』

 「目的がなかったからいいんだよ」

 「お前、お人好しすぎる! 他人の為に千枚ってあり得ないだろう!」

 出せと言っていたアーズラッドが叫んだ。
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