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第52話 商売の準備完了!
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「さいだー飲みたい飲みたい飲みたい!」
また始まったよ…こうなると初音はテコでも意見を曲げない。
仕方ないので試飲という名目で少し飲んでもらおう。
「お、おぉ……口の中が痛い!
喉が…焼ける!?……なんじゃこりゃ!!
こんな珍妙複雑怪奇な水など飲めるかぁ!」
えらい辛辣な評価だな。
でも、初めてサイダーを飲んだ時は誰しもが同じ感覚だったのかもしれん。
だとすれば……。
しばらくの間、竹で作った水筒にサイダーを小分けしていると、初音がじっとこちらを見ている事に気付く。
「…なぁ、あしな。さっきの水……」
「お前が飲み残したサイダーか?
もうないよ。俺が飲んじまったからな」
頬を膨らませて無言でひっくり返り手足をバタつかせる初音。
その反応だけで十分、予想通り初めて味わう炭酸飲料の虜になったようだ。
このサイダーはカドデバナとマルハウメの酸味、アマミカエデのシロップが持つ甘味、そしてサンシュウショウのスパイシーな隠し味から成り立っているが、やはり肝心なのは炭酸の存在。
未知の刺激に慣れていない異世界の人にとって最初は拒否されるかもしれないが、一度でも味わえば次第に癖になってしまう。
そんな中毒めいた魅力を持つ炭酸飲料は、定期的に商売をする上で打ってつけと言える。
――――――――――
「あしなー、猪の脂身はどうするんじゃ?
捨ててしまうのは勿体ないのう」
捨てるなんてとんでもない。
これにも立派な活用法があるので今から実践してみよう。
干し肉を作った際に切り分けた大量の脂身。現代人は忘れてしまったようだが、実はここから様々な物が生まれるポテンシャルを秘めている。
まずは脂身をダッチオーブンに入れて弱火で液体になるまで溶かし、不純物を布漉して取り除く。
この液体に乾燥させて粉末にしたハーブを加え、Awazonで購入したタコ糸を中央に配置して、小さな円柱形になるように竹へ注ぎ入れる。
後は鍾乳洞の冷気で冷やせば蝋燭の完成!火をつければハーブの香りが楽しめると同時に、虫除けの効果まで発揮する優れ物。
そう、この液体にするのがミソなのだ。
形のない水は色々な物と溶けて混ざり、アイディア次第で全く別の形へと姿を変える。
例えば、先程の脂身を溶かした液体に今度は木材を燃やしてできた灰汁を入れ、冷やして固めれば石鹸が完成する!
これで衛生面は更に強化され、遠出をした際にも安心できるという訳。
着々とホームから足を伸ばす準備が整いつつあるな。
「すごい!この蝋燭、ワシの屋敷にあるのと同じくらい明るいぞ!」
江戸時代の庶民にとって、蝋燭は非常に高価な物であったらしい。
そんな庶民の夜を照らしたのは行灯と呼ばれる物で、菜種油や油脂を皿に入れて木綿糸に火をつけていた。
周りを和紙などで囲って風避けとしているのも一因だが、現代人にしてみれば灯りとして心許ない光だっただろう。
これも売り物として十分に期待できる。
「明日、人里に降りて品物を売るぞ!
今夜は異世界で初の商売を記念して豪勢な物にしよう!」
「めーし、めーし!」
初音はギンレイの手(足?)を取って喜びを全身で表すように、満面の笑顔でくるくると回りだした。
また始まったよ…こうなると初音はテコでも意見を曲げない。
仕方ないので試飲という名目で少し飲んでもらおう。
「お、おぉ……口の中が痛い!
喉が…焼ける!?……なんじゃこりゃ!!
こんな珍妙複雑怪奇な水など飲めるかぁ!」
えらい辛辣な評価だな。
でも、初めてサイダーを飲んだ時は誰しもが同じ感覚だったのかもしれん。
だとすれば……。
しばらくの間、竹で作った水筒にサイダーを小分けしていると、初音がじっとこちらを見ている事に気付く。
「…なぁ、あしな。さっきの水……」
「お前が飲み残したサイダーか?
もうないよ。俺が飲んじまったからな」
頬を膨らませて無言でひっくり返り手足をバタつかせる初音。
その反応だけで十分、予想通り初めて味わう炭酸飲料の虜になったようだ。
このサイダーはカドデバナとマルハウメの酸味、アマミカエデのシロップが持つ甘味、そしてサンシュウショウのスパイシーな隠し味から成り立っているが、やはり肝心なのは炭酸の存在。
未知の刺激に慣れていない異世界の人にとって最初は拒否されるかもしれないが、一度でも味わえば次第に癖になってしまう。
そんな中毒めいた魅力を持つ炭酸飲料は、定期的に商売をする上で打ってつけと言える。
――――――――――
「あしなー、猪の脂身はどうするんじゃ?
捨ててしまうのは勿体ないのう」
捨てるなんてとんでもない。
これにも立派な活用法があるので今から実践してみよう。
干し肉を作った際に切り分けた大量の脂身。現代人は忘れてしまったようだが、実はここから様々な物が生まれるポテンシャルを秘めている。
まずは脂身をダッチオーブンに入れて弱火で液体になるまで溶かし、不純物を布漉して取り除く。
この液体に乾燥させて粉末にしたハーブを加え、Awazonで購入したタコ糸を中央に配置して、小さな円柱形になるように竹へ注ぎ入れる。
後は鍾乳洞の冷気で冷やせば蝋燭の完成!火をつければハーブの香りが楽しめると同時に、虫除けの効果まで発揮する優れ物。
そう、この液体にするのがミソなのだ。
形のない水は色々な物と溶けて混ざり、アイディア次第で全く別の形へと姿を変える。
例えば、先程の脂身を溶かした液体に今度は木材を燃やしてできた灰汁を入れ、冷やして固めれば石鹸が完成する!
これで衛生面は更に強化され、遠出をした際にも安心できるという訳。
着々とホームから足を伸ばす準備が整いつつあるな。
「すごい!この蝋燭、ワシの屋敷にあるのと同じくらい明るいぞ!」
江戸時代の庶民にとって、蝋燭は非常に高価な物であったらしい。
そんな庶民の夜を照らしたのは行灯と呼ばれる物で、菜種油や油脂を皿に入れて木綿糸に火をつけていた。
周りを和紙などで囲って風避けとしているのも一因だが、現代人にしてみれば灯りとして心許ない光だっただろう。
これも売り物として十分に期待できる。
「明日、人里に降りて品物を売るぞ!
今夜は異世界で初の商売を記念して豪勢な物にしよう!」
「めーし、めーし!」
初音はギンレイの手(足?)を取って喜びを全身で表すように、満面の笑顔でくるくると回りだした。
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