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第16話 キャンプの醍醐味
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薪が燃えだしても直ぐに食材を火にかけるのはオススメしない。
何故なら燃え出したばかりの薪は火力コントロールが難しく、炎に接する面は簡単に焦げてしまう反面、中までは熱が通らずに生焼けになって台無しになるからだ。
俺は気にしないが食材が煙臭くなるというデメリットもある。
これらを予防するには薪の替わりに炭を使用するか、薪が熾火になるまで待つ事だろう。
熾火とは木が炭化した状態で内部の水分が蒸発して煙が出にくく、静かに燃え続けている状態だ。
これなら火力が安定しているので料理にも適している上に、普通に薪を燃やしているだけで徐々に熾火へと変化するので炭がなくても困らない。
「とはいえだ……はぁ~~」
俺は大きな溜め息をついてしまう。
最高の食材とロケーション、だが一つだけ足りない物がある。
それは『調味料』
ここに塩があれば完璧なイワナの塩焼きが味わえたのに、遭難中に贅沢だと言われそうだが妥協したくねぇ~。
ダメ元でスマホからAwazonを開きショップを見るが、やはり一切の食材は置かれていない。
調味料もアウトなのかよ~、がっくりと肩を落とした所で通知欄が目に入る。
仕方ないのでポイントを確認しようとした際に、見慣れないメッセージが表示されている事に気付いた。
『1000PV達成記念ボーナス
――クリスタルロックソルト』
「おいおい、タイミング…良すぎだろ……」
ここでのPVが何を意味するのかは分からない。
しかし、今一番欲しかった調味料が手に入るのなら大歓迎だ。
スマホの通知をタッチすると透明なミルに収められた岩塩が召喚された。
しかも最高級ヒマラヤ産!
早速とばかりにミルを回して串打ちにされたイワナに振り掛けると、まさに雪化粧を施したかのように食材の輝きが増した!気がする。
そうしていると薪も良い感じに熾火になったので周囲に串を配置して焼き上げていく。
ゆっくりと皮が焼けていくにつれて、住処である岩の裂け目は芳ばしい香りに包まれる。
なるべく均一に火が通るように状態を見ながら時々串を回していると、昼寝をしていた狼が欠伸をしながら近寄ってくる。
「これは俺の分だぞ、お前はさっき食べただろ?」
狼が見つめる視線は焼き色がついてきたイワナへ一身に注がれ、いつ火の中へ飛び込むか気が気ではない。
仕方がない、ここで取っておいた3匹分のイワナの内臓を笹皿に載せてやると、待ってましたとばかりに喜んで頬張る。
復調の為だろう、多くの栄養を欲しているのは良い傾向だ。
さて、最後の一品として水で満たした缶詰にシシロマミズガニと岩塩を加えて火にかける。
串焼きは表面に飴色の焼き目がついてきたが、ここで焦ってはいけない。
案外中まで火が通るには時間がかかるのだ。
それまでこいつの名前を考えてやるか……。
いつまでも狼では呼び辛いし、どうにも気分が乗らない。
何か、こう、洗練された名前を……駄目だ、何も浮かんでこない…。
取り敢えず保留とするが、この岩の裂け目は『ホーム』と呼ぼう。
時折聞こえてくる薪がはぜる音は、ホームの岩肌に反射して心地の良いメロディーを奏で、眼下には目も眩むエメラルドグリーンの清流が流れている。
膝の上では幼い狼が再び寝息を立てて夢の世界へ戻ろうとしていた。
遭難しているとは思えない、ゆっくりとした時間が俺を包み込んでいく。
何故なら燃え出したばかりの薪は火力コントロールが難しく、炎に接する面は簡単に焦げてしまう反面、中までは熱が通らずに生焼けになって台無しになるからだ。
俺は気にしないが食材が煙臭くなるというデメリットもある。
これらを予防するには薪の替わりに炭を使用するか、薪が熾火になるまで待つ事だろう。
熾火とは木が炭化した状態で内部の水分が蒸発して煙が出にくく、静かに燃え続けている状態だ。
これなら火力が安定しているので料理にも適している上に、普通に薪を燃やしているだけで徐々に熾火へと変化するので炭がなくても困らない。
「とはいえだ……はぁ~~」
俺は大きな溜め息をついてしまう。
最高の食材とロケーション、だが一つだけ足りない物がある。
それは『調味料』
ここに塩があれば完璧なイワナの塩焼きが味わえたのに、遭難中に贅沢だと言われそうだが妥協したくねぇ~。
ダメ元でスマホからAwazonを開きショップを見るが、やはり一切の食材は置かれていない。
調味料もアウトなのかよ~、がっくりと肩を落とした所で通知欄が目に入る。
仕方ないのでポイントを確認しようとした際に、見慣れないメッセージが表示されている事に気付いた。
『1000PV達成記念ボーナス
――クリスタルロックソルト』
「おいおい、タイミング…良すぎだろ……」
ここでのPVが何を意味するのかは分からない。
しかし、今一番欲しかった調味料が手に入るのなら大歓迎だ。
スマホの通知をタッチすると透明なミルに収められた岩塩が召喚された。
しかも最高級ヒマラヤ産!
早速とばかりにミルを回して串打ちにされたイワナに振り掛けると、まさに雪化粧を施したかのように食材の輝きが増した!気がする。
そうしていると薪も良い感じに熾火になったので周囲に串を配置して焼き上げていく。
ゆっくりと皮が焼けていくにつれて、住処である岩の裂け目は芳ばしい香りに包まれる。
なるべく均一に火が通るように状態を見ながら時々串を回していると、昼寝をしていた狼が欠伸をしながら近寄ってくる。
「これは俺の分だぞ、お前はさっき食べただろ?」
狼が見つめる視線は焼き色がついてきたイワナへ一身に注がれ、いつ火の中へ飛び込むか気が気ではない。
仕方がない、ここで取っておいた3匹分のイワナの内臓を笹皿に載せてやると、待ってましたとばかりに喜んで頬張る。
復調の為だろう、多くの栄養を欲しているのは良い傾向だ。
さて、最後の一品として水で満たした缶詰にシシロマミズガニと岩塩を加えて火にかける。
串焼きは表面に飴色の焼き目がついてきたが、ここで焦ってはいけない。
案外中まで火が通るには時間がかかるのだ。
それまでこいつの名前を考えてやるか……。
いつまでも狼では呼び辛いし、どうにも気分が乗らない。
何か、こう、洗練された名前を……駄目だ、何も浮かんでこない…。
取り敢えず保留とするが、この岩の裂け目は『ホーム』と呼ぼう。
時折聞こえてくる薪がはぜる音は、ホームの岩肌に反射して心地の良いメロディーを奏で、眼下には目も眩むエメラルドグリーンの清流が流れている。
膝の上では幼い狼が再び寝息を立てて夢の世界へ戻ろうとしていた。
遭難しているとは思えない、ゆっくりとした時間が俺を包み込んでいく。
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