13 / 85
第13話 釣り竿と餌を用意しよう!
しおりを挟む
「なんだ…今日は疲れてるんだ。
もう少し寝かせてくれないか…」
夢現に昔を思い出して目を開けると、そこには俺の顔をナメ回す狼の鼻先が視界を埋めていた。
起き抜けに味わうザラついた奇妙な感覚を嫌がり、手で防いだり背けたりするが一向に辞めてくれる気配がない。
駄目だ、とてもではないが寝かせてもらえそうにない。
「お前のお陰で素敵な夢を見させてもらったよ…」
仕切りに長い尻尾を振る狼(犬?)の頭を撫でてやり、朝一番の仕事を労う。
ふかふかの登頂部にはその名の由来になったであろう、銀白色のたてがみが背中を通って尻尾の先まで一直線に延びている。
どうやら、かなり回復が進んだようで子供とはいえ野生の逞しさを実感するばかりだ。
2日に渡って硬い地面で直寝をした為だろう、全身が今にもバキバキと音を立てそうな程に不調を訴えている。
しかし、そろそろまともな食事をしないと、いずれ限界を迎えてしまうのは明白。
俺は未だ後ろ足を引きずる狼を残して河原に降りていくと、『Awazon』を開いて通知欄を確認する。
ログインボーナスと併せてポイントは1100まで貯まっていたので、その中から釣り糸と渓流針を購入した。
合計700ポイントの出費だが、予想通りなら十分に取り返せるどころかお釣りが返ってくるだろう。
『そう、釣りだけにな!』
本当に誰に対してなのか分からないが、自分が思っている以上に精神状態がヤバいのかもしれない。
やはり生活を安定させる事が精神の安定にも繋がるのだろうと、妙な納得をして準備に取りかかる。
まずは竿となる材料の確保だが、これはアテがあった。
付近を見渡すと渓流の岸から少し上がった所にフタバブナの森が広がっている。
その境目辺りに竹に似た植物が青々とした笹を蓄え、枝をしならせて自生していた。
これだけあれば十分とばかりに、適切な長さとしなりを備えた良品を選び出す。
竹は手早く枝を払うだけで、もう竿としての機能を全て備えた完璧な素材だ。
早速先端に釣り糸を結びつけ、釣り糸から続く道糸を電車結びで繋ぎ合わせる。
それぞれの糸で作った2個の結び目を合体させる為、手軽だけど中々の強度で糸を繋げられるのでオススメ。
さてさて、次は肝心の餌なのだが、水に浸った河原の岩をひっくり返せば……。
いた!
見た目は映画『エイリアン』に登場したフェイスハガーみたいな虫、トンボの幼虫ヤゴ。
異世界での名前はまだ知らないが、こっちでも似たような虫がいてくれて助かる。
こいつは簡単に見つかって簡単に採れるという点で非常に優秀な釣り餌だ。
さぁ、御膳立ては済ませた。
俺は缶に新鮮なヤゴを詰め込み、目標の水辺へ向かって匍匐前進を開始した。
もう少し寝かせてくれないか…」
夢現に昔を思い出して目を開けると、そこには俺の顔をナメ回す狼の鼻先が視界を埋めていた。
起き抜けに味わうザラついた奇妙な感覚を嫌がり、手で防いだり背けたりするが一向に辞めてくれる気配がない。
駄目だ、とてもではないが寝かせてもらえそうにない。
「お前のお陰で素敵な夢を見させてもらったよ…」
仕切りに長い尻尾を振る狼(犬?)の頭を撫でてやり、朝一番の仕事を労う。
ふかふかの登頂部にはその名の由来になったであろう、銀白色のたてがみが背中を通って尻尾の先まで一直線に延びている。
どうやら、かなり回復が進んだようで子供とはいえ野生の逞しさを実感するばかりだ。
2日に渡って硬い地面で直寝をした為だろう、全身が今にもバキバキと音を立てそうな程に不調を訴えている。
しかし、そろそろまともな食事をしないと、いずれ限界を迎えてしまうのは明白。
俺は未だ後ろ足を引きずる狼を残して河原に降りていくと、『Awazon』を開いて通知欄を確認する。
ログインボーナスと併せてポイントは1100まで貯まっていたので、その中から釣り糸と渓流針を購入した。
合計700ポイントの出費だが、予想通りなら十分に取り返せるどころかお釣りが返ってくるだろう。
『そう、釣りだけにな!』
本当に誰に対してなのか分からないが、自分が思っている以上に精神状態がヤバいのかもしれない。
やはり生活を安定させる事が精神の安定にも繋がるのだろうと、妙な納得をして準備に取りかかる。
まずは竿となる材料の確保だが、これはアテがあった。
付近を見渡すと渓流の岸から少し上がった所にフタバブナの森が広がっている。
その境目辺りに竹に似た植物が青々とした笹を蓄え、枝をしならせて自生していた。
これだけあれば十分とばかりに、適切な長さとしなりを備えた良品を選び出す。
竹は手早く枝を払うだけで、もう竿としての機能を全て備えた完璧な素材だ。
早速先端に釣り糸を結びつけ、釣り糸から続く道糸を電車結びで繋ぎ合わせる。
それぞれの糸で作った2個の結び目を合体させる為、手軽だけど中々の強度で糸を繋げられるのでオススメ。
さてさて、次は肝心の餌なのだが、水に浸った河原の岩をひっくり返せば……。
いた!
見た目は映画『エイリアン』に登場したフェイスハガーみたいな虫、トンボの幼虫ヤゴ。
異世界での名前はまだ知らないが、こっちでも似たような虫がいてくれて助かる。
こいつは簡単に見つかって簡単に採れるという点で非常に優秀な釣り餌だ。
さぁ、御膳立ては済ませた。
俺は缶に新鮮なヤゴを詰め込み、目標の水辺へ向かって匍匐前進を開始した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
59
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる