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ゆう。

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1話 理斗

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「あ、あ、ぁの、だ、大丈夫…です。ここ、こっちこそ…ぶつかっちゃって…ご、ごめん…」
何故かはわからないけど、彼女の目を見て話すことができなかった。自分の人見知りっぷりとコミュ障っぷりにはドン引きだけど、お礼と謝罪は出来た。
『あぁそう。なら良かった。じゃあ、またどこかで。』
アルビノの彼女はそう言い、僕に背を向けて歩き出した。
(ふぅ。これで一件落着…って、ん?なんか忘れて無いか?今まで僕は何を…あ!)
「あ、あ、あの!」
色々考えてるうちに、勝手に口が動いて彼女を引き留めていた。
『まだ、なにか?』
小首をかしげる仕草までが、尊く見える。
って、こんなことを考えてる場合じゃなくて…
「そ、その…1年4組の教室は…どこでしょうか…」
言った!言ったぞ!めっちゃ恥ずかしいけど!
『東階段を降りて右に曲がって、渡り廊下を渡れば突き当たりが4組よ。私も4組だから、一緒に行きましょうか?』
なんか、すごく冷たい感じがする…で、でも、教えてくれたし、一緒に行くしかない!
「あ、有り難う…え、えっと…名前は…」
『宮澤。宮澤珀(ミヤザワ  ハク)よ。』
「あ、うん。有り難う、宮澤…さん。」
『別に、大丈夫。着いてきて。』
淡々と話す宮澤さんが、生きた人形のように思えてきた。見た目もあいまってだろうか。もちろん良い意味でだ。
『ここよ。あら、席…隣かしら。』
「あ…ほんとだ…」
『1年間宜しくね。』
神様、仏様、僕なんかの高校デビューを応援してくださり、誠に有り難うございますっ!

この後は、入学式に出席して、ざっと説明を受けて下校となった。その間、宮澤さんとの会話は無かった。


前途は、かなり多難である。


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