知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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終章 選ばれた未来

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第56話

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いよいよ決戦の日。

日時は例によって土日の夜を選んだ。ネオAIへの潜入開始の連絡は、ビルのボイラー室に入る直前に伝える手筈になっている。人通りの少ないオフィスビルが立ち並ぶ中、私達は、ビルに向かい、入り口へと突き進んだ。

グレーに塗られ、ボイラー室と書かれたドアが正面にある。私はネオAIに今から入ることを知らせた。

「いよいよだ。みんな大丈夫か?」

全員が頷く。

「さあ、地獄の扉が開くぜ」

三木が言う。

キィー。扉が開く。

「三木、地獄の扉じゃないわ。明日への扉よ」

そう言って私達は順にボイラー室に入っていった。

ボイラー室に入って、ダミーのメンテナンスパネルの扉を用心深く開いた。ここのセキュリティ解除はネオAIがしてくれることになっている。もしも、ここで彼が裏切ったら、まだ、ここなら逃げられる・・・。そんなことを考えながら、迷路のような廊下を進み、教えられた部屋に入る。
そこは他の部屋と違って応接室のようだった。奥にキャビネット、中央にソファセットがある。趣味は悪くない。が、どことなく冷たさを感じさせる。

「この時計を0:23に合わす。次にエアコンのリモコンの温度を17度に設定し、こちらの壁に向けてオン・・・・」
すると、壁の一部が音もなく左右に開き、さらに階下へと降りる階段が現れた。

私達が進むと、背後でドアは、開いたときと同じく音もなく閉じた。
階段を降り切ったところにあるドアを前に、皆、緊張した面持ちで気を引き締める。

「さあ、いよいよね」

開いたドアの隙間から外を窺う。けれど覗いた瞬間に

「ダメだ!人が来る!」

とセイくんは皆に合図を送った。一同、身を潜め、息を殺す。コツコツと響く足音が近づき、・・・そして遠ざかって行く。ほーっと息を吐く。

ドアを開け、廊下を進んでいく。

「映画ではこういう時、拳銃を前に構えて、後ろと前を確認しながら進むんだよね。ね、律佳ちゃん、それやってみてよ。」

茶丸が暢気に私を見上げ、歩きながら言う。

「茶丸、今はそんな冗談を言ってる場合じゃないよ。気を緩めないで。」

セイくんに注意され、茶丸は少し申し訳なさそうな顔をして、その後は耳を立てながら用心深く歩き始めた。
「シッ!静かに。」

コタローの声に全員が足を止め、身構えた。

「何か、聞こえます。・・・そこの廊下の陰です・・・!!」

私達は廊下を曲がった奥を覗き込んだ。暗い廊下の奥で何かが聞こえる。金属が床を叩く冷たい音に全身が凍りついた。そして、暗闇の中で何かが動くのが見えた。

「・・・・何の音?」

息を潜め、暗闇を見据えた。壁に映る影がゆっくりと巨大化していく。重厚な金属のきしむ音とともに、その姿が明らかになった。

鋼鉄のような銀色の装甲をしたそのロボットは銃火器らしいアームが取り付けられている。頭部には単眼型の赤いセンサーが光り、まるで生き物のように周囲をスキャンしているのがわかる。

「これは、単なるセキュリティロボットじゃない!戦闘用だ!」

私達が叫ぶ声と同時に、無機的な声が聞こえた。

「侵入者確認。排除開始。」

機械的な無表情な声が廊下に響き渡り、皆、反射的に後退した。一瞬の静寂の後、ロボットが地響きのような突進音を立てて、こちらに向かってきた。

「逃げろ!」

三木の声に、皆が走り出す。

私は別の廊下の端に飛び込んだ。ロボットが私を追い、金属の拳が壁を砕き、破片が飛び散る。私は必死で走った。ロボットは尋常ではない速さで追ってくる。

私は壁際の隙間を見つけ、そこに滑り込んで身を隠した。ロボットの銃口から火花が散る音が聞こえてくる。センサーライトが赤く点滅し、廊下全体を照らした。

「だめ、見つかる!」

隙をついて、飛び出し、走り続けた。
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