知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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終章 選ばれた未来

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第43話

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突然の出来事に悲鳴をあげそうになると、その腕の持ち主は私の口をも塞いで、男の声でこう言った。

「静かに!」

部屋にはほとんど明かりが無かった。暗闇の中で私が黙ると、その男は腕の力を緩めた。私は男が危害を加える様子がないことに安堵を覚え、そっと振り返った。

「あなたは・・・」

わずかな光の中、そこに見たのは秋月の姿だった。
ネクサーク社のAI研究者。何故彼がここに、そしてどうして・・・?

「何故、あなたが、それに・・・」

「今は、そんなことを言っている場合じゃない。時間は迫っている。」

秋月は私の疑問をよそに淡々と言葉を続けた。

「この廊下を左に進み、突き当りをさらに左へと進め。その先にある部屋に行くんだ。そこは特別なセキュリティがなされている。君のスキルをもってしても入室は不可能だ。入る方法はただ一つ、新規の入室アカウントを作成することだ。このデバイスを使え」

暗闇の中で彼の表情は見えず、一体、何を考えているのか、これを信じていいのか、私は答えを出せずにいた。
私は秋月から手渡されたデバイスを受け取り、彼を見つめて聞いた

「あなたは、私達の味方なの?」

かろうじて、そう聞いた私に、秋月は低い声でゆっくりと静かに答えた。

「私は君たちの敵ではないが、味方でもない。君が私をどう見るか、それは君の自由だ」

そう言って彼はドアへと向かうが、ふと思い出したように足を止め、振り向かずにこう言った。

「君は・・・、君自身の考えが誰かに操作されていないと断言できるか?」
突然の彼の質問に、私は戸惑った。秋月は振り返って私の目をじっと見つめる。

「何のこと・・・?」

私が問い返すと彼はそれには答えず、再びドアに向かい

「真実を知るものは君のすぐ傍にいる。彼らに耳を傾けるんだ」
とだけ言って、出て行った。
ドアの閉まる音を聞いた後、私はしばらく呆然としていた。
が、すぐに我に返り、セイくんに言った。

「こうしてはいられないわ!セイくん、今言われた場所を皆に知らせて!」
三木たちと合流し、私達は秋月に教えられた部屋へと進んだ。部屋の前でデバイスを取り出し、新たなアカウントを作成する。

「生体認証を登録します。・・・登録しました。」

と表示され、ドアがガチャリとロックを解除する音が聞こえた。
部屋に入ると霧島とトラグネス派のエージェントが数人、こちらを振り返って私達を睨みつけた。

「やはり、来たか」
そして、その言葉を聞き終える前に、三木が私にエアガンを向けるのが目に入った。

「三木・・・」

やっぱり、彼はトラグネスに操られていたのか。私は息を止め、ショックとも悲しみとも言えぬ何かを抑えようとした。
そして、私が何かを言おうとした瞬間、エアガンの鋭い音が鳴り響いた。思わず、つぶった眼を開けた時、後ろでガサッと音がする。振り向くとエージェントと思われる男が私の後ろで倒れていた。

「真崎!こっちへ!」
三木は私を背に、コタローと二手に分かれ、トラグネスらの右側と左側へ走り込み、彼らに近づいていった。
私もエアガンを手に身構えた。

「先手必勝!」

三木はそう言うと、相手が動く前にエアガンのスイッチを入れる。
バシッ、バシッとはじける音が立て続けに鳴り、相手に向かって弾が飛び出す。弾が相手の肩を直撃し、敵は痛みに顔をしかめ、動きを鈍らせた。

そこを続けざまに、茶丸がスパークスティンガーで電撃を加える。コタローも力強いパンチで敵を圧倒していく。

エージェントの一人がナイフで三木に切りつけるのが見えた。三木は切り付けられながらも、その男が近づいたタイミングで、エアガンで殴りつける。
男が崩れるように倒れる横で

「防弾チョッキ、用意して良かったろ?」

とこちらを見てニヤリとした。
私はその間にセイくんと中央にある制御パネルへ向かった。
スクリーンには

「エネルギー転送プロセスを進行中」の文字が点滅している。

「転送まであと5分!」

私は叫んだ。
セイくんがパネルに近づき、端末を素早く操作し始める。

「パスコードを解析・・・、セキュリティ突破!」

が、セイくんのその声と同時に人工音声が警告を発した。

「不正アクセスを検出しました。システムをロックします」

「このままではだめだわ!セイくん、イチかバチか、システムを強制終了させるしかない!」

「わかった!」
「真崎!」

その時、三木が叫ぶ声が後ろから聞こえると同時に、腕に衝撃が走る。
エージェントの一人が私に電撃を加えてきた。
私は痛みに耐えながら、じりじりと移動し、部屋の隅まで追いつめられる。
その時、

「律佳ちゃん、目つぶって!後ろ向いて!」

茶丸の声が骨伝導通信で私の耳に伝えてきた。
茶丸が男に飛びついて催涙スプレーを吹きかける。

「うわっ!」

私は、男が目を抑えながら私の居場所を探そうとする傍をすり抜け、制御装置の場所へと向かい走った。
セイくんが再び確認しながら私に言う。

「律佳ちゃん、そこの赤いスイッチ押して」

「これね」

「よし、これでセキュリティ解除モードに入った。」

セイくんはさらにキーボードを巧みに操作する。

「次は左下の緑のスイッチ、・・・それから右の黄色のスイッチを押して・・」

「これで最後だ。そこの大きな緑のレバーを下げて!」

私はレバーに手をかけ力を込めて引き下ろした。
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