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序章 知性を与えられた日
知性を与えられた猫たちは何を見る? 第10話
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私は眠い目をこすり、パーカーを羽織って再び倉庫に向かった。空は少し明るくなり始め、時折、鳥の声が聞こえた。
「そもそもなんでこんな遠くから声が聞こえたの?」
彼らに会うなり私は聞いた。
「家のwifiを利用したんだよ。ちょっとハッキングしてネットに潜り、律佳ちゃんの家のwifiから電波を飛ばしたんだ」
「ねー、セイくん、すごいよねー。それ、今度僕にも教えてね」
茶丸が横で嬉しそうに尻尾をピンと立てる。
「で、犯人がわかったって?あなたたち、大丈夫だったの?」
「うん。・・・・犯人はね・・・」
倉庫の針金はまた無くなっていた。遠くでカラスの鳴く声が聞こえた。
「あいつだよ」
セイくんが空を見上げる。
バサバサッとカラスが羽音を立てて木から飛び立つ。
「カラ・・・ス?」
「うん、カラスが巣作りに針金を使うのは聞いたことあるよね。ハンガーのワイヤーを使ったり・・・」
「でも、こんなにねじってあるのに?」
「そうだよー、上手だったんだよー」
「そして倉庫に入ったの?」
「ううん、倉庫の犯人は別だった」
「別?」
「うん、アライグマだよ」
「アライグマ?そんなの日本の都会にいるの?」
「うん、最近はほとんどの県で見られるよ。ミカンの皮も上手に剥いて食べるらしいし。食べ物を巣に持ち帰ることもあるらしい」
「すごいね、カラスと合わせて窃盗グループだねー」
「来て来て、こっち。さっき飛んで行ったから今なら見れると思う」
彼等にそう言って連れられ、木に登ってカラスの巣を覗いた。そこには数本、倉庫のカギとして使われていた針金が見られた。他にもビー玉や、コインなどもあった。
「カラスは光るものが好きだからね」
その時、ふと見慣れぬものが目に入った。
「・・・・これは?」
つまみ出して見てみる。朝日の中でその金属片は鈍く光った。何やら電子機器っぽくも見えるが奇妙なパターンが刻まれている。けれども、職業柄、いろいろなデバイスを見るが、これは見たことがない・・・。
何故か気になってそっと胸ポケットに入れた。
「ねえ、律佳ちゃん、お腹すいたー!!」
「僕もお腹空いたよー」
「そうね、帰りましょっか」
「僕、チュール食べたいなー」
「いいわよー。事件解決のお礼だものねー」
2匹にねだられて、雀が鳴くなか帰路につく。
週明け、栗田さんに真相を伝えた。山崎と子猫のこと、カラスとアライグマのこと。
「ありがとうございます。真崎さん、あなたのおかげで山崎も疑いが晴れて・・・。それにしても、カラスとアライグマが犯人だなんて、よく見つけましたね!」
「ええ、一時的に倉庫の前に防犯カメラを置いただけですよ。カラスとアライグマがしっかり撮れてました」
「あ、猫のお姉さん・・・、ありがとうございます。教えられたようにSMSで里親募集して、猫の引取り先も決まりました。」
「それだけじゃないだろう?」
山崎が栗田社長に肘でつつかれる。
「こいつね、その里親募集で知り合った女の子と仲良くなってるんですよ」
横で山崎が照れている。
「おーい、山崎―、行くぞー!」
外から刈谷君の声がした。
「刈谷も勝手に疑ったことを謝って・・・、とにかくすべて丸く収まりました。ありがとうございました。これは気持ちばかりの・・・」
そうやって渡されたのは例のケーキ屋の箱。中にはチーズケーキ、アップルパイだけでなく沢山のケーキが入っていた。うふっ、当分ケーキ三昧ね。
「いいなー、律佳ちゃんだけー」
「僕たちが解決したのにねー」
「わかったわよー、あなたたちにもケーキ分けてあげよっかー?」
「要らないよー、カツオか、煮干しー」
「チュールだよー、チュールー!!」
車に乗り込むと茶丸は、はしゃぎすぎたせいか、すぐに丸くなって寝てしまった。
セイくんはと言えば、しばらく何かを考えこんでいたが、ポツリと言った。
「律佳ちゃんて・・・、冷静だよね。僕たちのことも慌てないで受け止めているし・・・」
「そう見えるだけよ。それに・・・感情に任せた結果、判断を誤ったり、危険な目に合うことだってある・・・」
古い写真のようにいくつかのシーンが私の目の前に浮かんでは消えた。
「でも僕は感情に判断を委ねることも時には大事だと思うよ」
セイくんにそう言われ、何かを言い当てられたような気がして、私はピクリとした。
「茶丸は好奇心や衝動が強いでしょ。だから僕は横で見ていてハラハラすることも多い。でも、何かを決めてるのはいつも茶丸なんだ」
そう言えば確かにそうだ。今日の見張りだって茶丸が言い出したことだ。
「僕は時々、そんな茶丸が羨ましいと思うよ」
「確かにそうね」
遠くでカラスの鳴く声が聞こえた。
「そもそもなんでこんな遠くから声が聞こえたの?」
彼らに会うなり私は聞いた。
「家のwifiを利用したんだよ。ちょっとハッキングしてネットに潜り、律佳ちゃんの家のwifiから電波を飛ばしたんだ」
「ねー、セイくん、すごいよねー。それ、今度僕にも教えてね」
茶丸が横で嬉しそうに尻尾をピンと立てる。
「で、犯人がわかったって?あなたたち、大丈夫だったの?」
「うん。・・・・犯人はね・・・」
倉庫の針金はまた無くなっていた。遠くでカラスの鳴く声が聞こえた。
「あいつだよ」
セイくんが空を見上げる。
バサバサッとカラスが羽音を立てて木から飛び立つ。
「カラ・・・ス?」
「うん、カラスが巣作りに針金を使うのは聞いたことあるよね。ハンガーのワイヤーを使ったり・・・」
「でも、こんなにねじってあるのに?」
「そうだよー、上手だったんだよー」
「そして倉庫に入ったの?」
「ううん、倉庫の犯人は別だった」
「別?」
「うん、アライグマだよ」
「アライグマ?そんなの日本の都会にいるの?」
「うん、最近はほとんどの県で見られるよ。ミカンの皮も上手に剥いて食べるらしいし。食べ物を巣に持ち帰ることもあるらしい」
「すごいね、カラスと合わせて窃盗グループだねー」
「来て来て、こっち。さっき飛んで行ったから今なら見れると思う」
彼等にそう言って連れられ、木に登ってカラスの巣を覗いた。そこには数本、倉庫のカギとして使われていた針金が見られた。他にもビー玉や、コインなどもあった。
「カラスは光るものが好きだからね」
その時、ふと見慣れぬものが目に入った。
「・・・・これは?」
つまみ出して見てみる。朝日の中でその金属片は鈍く光った。何やら電子機器っぽくも見えるが奇妙なパターンが刻まれている。けれども、職業柄、いろいろなデバイスを見るが、これは見たことがない・・・。
何故か気になってそっと胸ポケットに入れた。
「ねえ、律佳ちゃん、お腹すいたー!!」
「僕もお腹空いたよー」
「そうね、帰りましょっか」
「僕、チュール食べたいなー」
「いいわよー。事件解決のお礼だものねー」
2匹にねだられて、雀が鳴くなか帰路につく。
週明け、栗田さんに真相を伝えた。山崎と子猫のこと、カラスとアライグマのこと。
「ありがとうございます。真崎さん、あなたのおかげで山崎も疑いが晴れて・・・。それにしても、カラスとアライグマが犯人だなんて、よく見つけましたね!」
「ええ、一時的に倉庫の前に防犯カメラを置いただけですよ。カラスとアライグマがしっかり撮れてました」
「あ、猫のお姉さん・・・、ありがとうございます。教えられたようにSMSで里親募集して、猫の引取り先も決まりました。」
「それだけじゃないだろう?」
山崎が栗田社長に肘でつつかれる。
「こいつね、その里親募集で知り合った女の子と仲良くなってるんですよ」
横で山崎が照れている。
「おーい、山崎―、行くぞー!」
外から刈谷君の声がした。
「刈谷も勝手に疑ったことを謝って・・・、とにかくすべて丸く収まりました。ありがとうございました。これは気持ちばかりの・・・」
そうやって渡されたのは例のケーキ屋の箱。中にはチーズケーキ、アップルパイだけでなく沢山のケーキが入っていた。うふっ、当分ケーキ三昧ね。
「いいなー、律佳ちゃんだけー」
「僕たちが解決したのにねー」
「わかったわよー、あなたたちにもケーキ分けてあげよっかー?」
「要らないよー、カツオか、煮干しー」
「チュールだよー、チュールー!!」
車に乗り込むと茶丸は、はしゃぎすぎたせいか、すぐに丸くなって寝てしまった。
セイくんはと言えば、しばらく何かを考えこんでいたが、ポツリと言った。
「律佳ちゃんて・・・、冷静だよね。僕たちのことも慌てないで受け止めているし・・・」
「そう見えるだけよ。それに・・・感情に任せた結果、判断を誤ったり、危険な目に合うことだってある・・・」
古い写真のようにいくつかのシーンが私の目の前に浮かんでは消えた。
「でも僕は感情に判断を委ねることも時には大事だと思うよ」
セイくんにそう言われ、何かを言い当てられたような気がして、私はピクリとした。
「茶丸は好奇心や衝動が強いでしょ。だから僕は横で見ていてハラハラすることも多い。でも、何かを決めてるのはいつも茶丸なんだ」
そう言えば確かにそうだ。今日の見張りだって茶丸が言い出したことだ。
「僕は時々、そんな茶丸が羨ましいと思うよ」
「確かにそうね」
遠くでカラスの鳴く声が聞こえた。
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