異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
147 / 179
第三章 ウェルカムキャンプ編

144

しおりを挟む
阿修羅丸の言葉を聞いた瞬間、俺の心臓は激しく鼓動した。
確かに、あれほどの強い力を無制限に使えるはずがない。極論を言えば、アース自身が戦う必要はなくなる。
だとすると、何が代償だ? 魔力かアース自身の何かか……。



「まあ、そんな悲壮な顔をするな。召喚魔法は契約で成り立っている。俺からはアースに何も求めていない。まあ、自由に行動させるのと強い敵としか戦わないことを条件にしているけどな。だけど、召喚魔法自体に代償がいるんだ。アースの代償は、睡眠だ。使った力に比例して睡眠時間が増える。今回はざっと……2週間くらいじゃないか? 寝るだけで俺様の力を使えるんだ。お得だろう?」



睡眠……。
確かに、直接的には身体に害がないと思うが……。



「事情は分かったが……ちゃんと起きるんだろうな?」


「知らん。これほどの力を使ったことは今までない。まあ、2週間たってからのお楽しみなわけだ。もし起きなかったら、あれだ。「王子様」がキスすれば起きるんじゃないか? ……いや、アースは男だからお姫様のキスが必要か?」

「……な! ふざけている場合じゃ。」



すると、空間に裂け目ができて大きな魔力反応が現れた。
この魔力は……兄上。


案の定、兄上とその側近が現れた。
側には祖父上様もいる。


俺達は兄上の前に行き跪いた。



「兄上、わざわざ来ていただいて申し訳ないです。」


「いいや、王族のお前に加えて、学園の者たちが危機にさらされていたんだ。俺が来るのは当然だ。
……だが、もう終わったようだな。」


「はい、敵は以前俺たちが交戦した「ナレハテ」の一味でした。」


「ナレハテだと? わかった、事情はまた後で聞く。生徒たちの保護はこちらで進めている。お前たちは戦闘で疲れているだろう? 祖父上に王城まで送ってもらえ。……アースは、気絶しているのか?」



兄上は、俺が腕に抱いているアースを心配そうに見やった。
確かに、身動きもしないため一見すると意識がないように見える。


「いいえ、その……眠っているだけの様です。阿修羅丸の力を使った代償のようで。」


「俺様が倒したんだぜ! もっと褒めろ!」


俺の肩の上でふんぞり返っている阿修羅丸が、誇らしそうにそういった。



「そうか……。代償か、その話も後で詳しく教えてくれ。俺はこの場の指揮を執る。お前たちはゆっくり休んでくれ。……よく頑張ったな。」



綺麗とはいえなくなってしまった俺たちの服と顔の汚れを見て、兄上は俺達を労うように微笑んだ。
そして、俺の頭に手をのせると、すぐに表情を切り替えて場の指揮を行った。




俺達は祖父上のはからいで、王城へと帰還した。
その日は興奮状態も冷めやらなく、あまり眠ることができなかった。
しかし、次の日は父上も含めて今回のことについて報告会が行われた。
今回のウェルカムキャンプが相手側に漏れているのは確実であったが、なぜ漏れたのかは不明のままだった。相手の能力等を総合的に考えると、情報を盗まれてしまった可能性が高い。透明化や高い五感の能力を駆使すれば、情報が盗まれてしまうのも想像できる。

ともあれ、今回の件はひとまず落ち着きを見せた。



俺は未だ眠り続けているアースの部屋を毎日訪れている。
















しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

処理中です...