異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
115 / 179
第三章 ウェルカムキャンプ編

112

しおりを挟む
俺たちは、あらゆる視線を集めながら1階へと戻った。
そして、俺は隠すことが何もないと言わんばかりに堂々と、阿修羅丸を抱いて元の席に座った。

「さて、アース。確認だが、従魔法の才能に目覚めたというわけではないよな?」


「うん、もちろん。俺の属性に変わりはないよ。」


「ということは、今抱えているその面妖な生物はまさか………あの時の角の生えた御仁か?」


「そのとおり! この姿の名前は、阿修羅丸。あの姿では目立つと思って、普段はこのチャーミングな姿でいてもらっているよ。」


「「「「あの姿では目立つと思って、この姿になったのか(ッスか)?」」」」




おー、すごい! ハモったぞ! さすがは、幼馴染の主従関係だ。
だけど、何が疑問なのだろうか? あと、面妖な姿とは果たして誉め言葉だっただろうか?



「えーと、そのとおりだけど何か変かな?」



俺がそういうと、キルたちは何やら視線を交わし合って、微妙な表情で首を横に振った。

うーん。キルたちには、このチャーミングな姿がイマイチ伝わらなかったようだ。まあ、一緒にいればきっと伝わるだろう。
今はとりあえず挨拶をしよう。


「阿修羅丸。まずは、間接的な主であるキルを紹介するよ。キルはこの国の第二王子で、俺達の主でもあるよ。」



俺がそう紹介すると、先程の一件で不貞腐れていた阿修羅丸は、キルに流し目を送った。



「あ、阿修羅丸殿、お久しぶりです。改めて、あの時は救っていただきありがとうございます。」



「うん? あー、あの時の泣き虫役立たず似非赤王子か。」



その瞬間、キルの爽やかな笑みがピキッと固まった。
いや、待て待て待て。何だ、その失礼な呼び方は。まさかとは思うが、あの時も同じ王なことを言っていたわけではないよな?



「ちょっと、阿修羅丸! 何て失礼な呼び方をしているんだよ! まさかとは思うけど、3年前も同じような呼び方をしたわけではないよね?」


「あー、したんじゃねーか? よく覚えてねーな。」



すかさずキルの方を向くと、固まった笑顔のまま首を横に振った。


「え、似非赤王子は初めて言われた………。」


「おい、阿修羅丸! キルは、似非王子ではなくて本物の王子だよ! それに、役立たずでも泣き虫でもないよ!」


「いやー、あん時は役立たずで泣き虫だったぜ? そっちの木属性とチャラ男の方がよっぽど役に立ってたな。黒い騎士の方は、あんまり印象にねーな。というか、あん時いたか?」




「木属性って………でも、褒められたッス。」
「チャ、チャラ男………。」
「………。」



ジールは、褒められてうれしそうで、ローウェルは顔を引きつらせていた。キースはいつもの不愛想な顔がさらに、険しくなっている。きっと、ムカついているのだろう。
それにしても、呼び方があまりにもひどい。あの時の印象が強いようだけど、もう3年もたっているのだ。ここは、召喚主としてしっかりと注意をしなければならない。


「阿修羅丸。あの時から、もう3年もたっているんだ。普通に、名前で呼んでくれないかな? ………そうしないと、今日から晩御飯はキュウリ1本にするよ。」

「はぁーーー!? ふざけるな! 俺はペットじゃねーんだぞ! ………名前で呼べと言われても、こいつらの名前なんか知らねーよ。」


「あー、なるほど。つまり、名前を教えればちゃんと呼ぶっていうこと?」


「それはわからねーな。俺のハイセンスなあだ名で呼ぶかもしれないな?」



俺は半目で阿修羅丸を見た後、改めて4人の名前を教えた。
後日、注意深く観察していると、4人の呼び方は以下のとおりで落ち着いたらしい。


キル:赤髪
ジール:木人(ぼくじん)
ローウェル:チャラ介
キース:鉄仮面




「それにしても、従魔を貴族院内に放しておくのはまずいかな?」



俺の問いに答えてくれたのは、ローウェルだった。
放し飼いがまずければ、阿修羅丸の行動が制限されることになる。あまり、フラストレーションを溜めたくないんだけどな。


「うーん、どうだろうな。別に構わないと思うが………。とりあえず、阿修羅丸がアースの従魔だと認知されるように、しばらくの間連れ歩いておけばいいんじゃないか?」


「なるほどね。じゃあ、しばらくは抱っこするか肩にのせておくことにするよ。」


「………お、おう。」






ーー



明けましておめでとうございます。
読者の皆様。
昨年は、本当にありがとうございました。
皆様のおかげで、楽しく連載を続けられました。
今年も何卒、よろしくお願いします。


しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

処理中です...