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第二章 初学院編
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十月の半ば、朝のホームルームでモール先生から今年の林間合宿の概要の説明が行われた。
「おはようございます、皆さん。本日は今年の林間合宿の概要をお話します。今年の林間合宿は、星の丘へのハイキングです。頂上にはホテルがありますので、そこに二泊することになります。頂上まで行く手段ですが、訓練も兼ねて自力で行っていただきます。距離にすると約ニ十キロメートルと言ったところでしょうか。」
はい?
八歳児の少年少女に、ニ十キロメートル歩けと言っているのか? 騎士の訓練を積んでいる者ならいけるかもしれないが、ここにはご令嬢もたくさんいるんだけど………。しかも自力でって、せめて乗馬とかでもいいじゃないかよ………。
そう思って周りを見渡してみると、ご令嬢たちは「どのようなお茶やお菓子を持っていきましょうか?」などとはしゃいでおり、男子は「頂上まで競争だ」などとはしゃいでいる。
………そうだ、ここは異世界だった。身体能力も半端ないし、性別にかかわらず剣を振り回すことが課されているのだ。ニ十キロメートル程度歩くことなんて、ほんの些細なことらしい。俺の下の上の体力では、少々厳しいかもしれない。周りからは、かなりの遅れをとることになるだろう。
「星の丘と言えば、きれいな夜空がみられるところで有名なところッスよね? そこでキャンプファイヤーをして、一流ホテルに泊まれるなんて最高ッスね。殿下は最初の外泊で楽しみッスよね?」
「ああ、そうだな。夏休みの三人の合宿は羨ましかったからな。早く林間合宿の日が来るといいな。」
「あそこはアメニティーやサービスも一流だから、俺にぴったりなホテルだぜ。」
「………キモい。」
ローウェルの軽口に対して、キースは辛らつな言葉で返した。ローウェルがみせた、バスローブと眼鏡姿は確かに一流ホテルに合いそうな気がすると俺も思ったから、キースの言い方が若干厳しすぎるような………。
案の定、ローウェルはキースに突っかかっていき二人は言い争った。それをジールが間に入ってなだめながら、キルはにこやかにそれを見つめていた。うん、今日も平和だな。
一方の俺は、ニ十キロメートルのハイキングに不安を抱いている。俺のせいでみんなの進行速度が落ちると悪いから、何とか付いて行けるように頑張りたい。
――
当日、俺は案の定とてつもなくスローペースで遅れていた。Aクラスは最初に出発したのだが徐々に後続のB・Cクラスにも追い抜かれてしまい俺たちは今、最後尾を歩いている。周りには騎士団の騎士も数名いるため非常に申し訳ない気持ちでいっぱいである。キルたちも俺に合わせてスローペースで歩いてくれているけど、それも本当に申し訳ない。
このままキルがどんどん最後尾になると、集団からかなり離れることになるため狙われやすくなってしまう。王族のキルが集団からこれ以上離れるのは相当まずいと思う。騎士団の方々も集団から離れるにつれて、警戒度がどんどん上がっているようにも見える。ここは、先に行ってもらう方が賢明だとは思うけど反対されるだろうな………。だけど、危険であることを訴えれば先に行ってくれるかもしれない。
「キル、俺のことは大丈夫だから先に進んで。王族のキルが集団から離れると、格好の的になってしまう。今行けば、集団には追いつけると思うから先に行ってほしい。」
俺がそういうと、キルはすぐに首を横に振った。側近思いのキルなら、受け入れないと思ったよ………。それならば、他のみんなに訴えるしかない。
「キース、キルの護衛騎士として集団から遠く離れようとしている現状をどう考えている? 手間をかけて申し訳ないけどキースからも、何か言ってほしい。」
キースは、一瞬俺を気遣うような視線を送った後、キルの正面に立った。
「殿下、集団から離れるというのは大変危険です。殿下、あなたは王族です。あらゆる方面から狙われるお立場であることをご理解ください。俺自身もアースのことは心配ですが、時間がかかるだけで頂上までくる体力は持ち合わせています。ですのでどうか、集団までお戻りください。」
キースの護衛騎士としての言葉にキルは、何か言いたそうな顔を一瞬したけどゆっくりと頷いた。よかった、護衛騎士からそう言われればさすがのキルも否とは言えないようだ。
「アース、俺は………すまない。」
「キルが謝ることじゃないよ。みんなとハイキングをできるくらいの体力を持ち合わせていない俺が悪いんだよ。これでも体力はついてきていると思うから、時間はかかると思うけど待っててくれる?」
「………わかった。」
俺達がしんみりしていると、ローウェルが咳払いをして、俺とキルの肩に手を置いた。ローウェルは何か別の意見をもち合わせているのだろか?
「よし、俺がアースと一緒に残るぜ。主の護衛という面から考えると、俺は文官だからあまり変わりないからさ。主、俺にアースに付き添う許可を。」
「………わかった。ローウェル、よろしく頼む。」
「りょーかい、任せといてください。アース、俺と二人だけどいいか?」
ローウェルは文官でも、騎士の訓練をつんでいてキルの護衛と無関係なわけではない。だけど、キルが許可を出したわけだからここは喜んでローウェルたちの提案を受けいれるべきだと思う。それに、一人で孤独に歩くよりは誰かがいてくれて方が心強い。
「ありがとう。むしろ俺からお願いするべきだから、ローウェルと二人が嫌なんてことは絶対ないよ。」
「そうか、ならよかったぜ。」
それから、キルたちは騎士団から派遣された護衛を伴って先に進んだ。キルたちは俺達のことを何度か気遣うように後ろを向いてくれたが、俺は大丈夫と言う意味を込めて手を振った。俺とローウェルもそれなりの地位の貴族の子息ということで、一人の護衛が後ろからゆっくりとついてきてくれることになった。
ハイキングが終わると、遅めの昼食を兼ねたバーベキューが行われる予定だけど俺のペースだと夕食になっているかもしれない。ローウェルの昼食を奪ったうえに、楽しみを奪ってしまって本当に心苦しい。
「ローウェル、ごめんね。昼食も食べれないし、交流の機会も奪てしまって………。」
「謝るより、感謝してくれる方がうれしいというようなことを主に言ったのはアースじゃなかったか?」
「………うん、ありがとう。」
俺がそういうと、ローウェルはさわやかな笑顔で笑った。ローウェルは一見軽いように見えるけど、こういう風に優しいし場の空気をよく読んでくれるのだ。ローウェルと二人きりになることは珍しいから、色々な話をしながらハイキングを楽しみたい。
「おはようございます、皆さん。本日は今年の林間合宿の概要をお話します。今年の林間合宿は、星の丘へのハイキングです。頂上にはホテルがありますので、そこに二泊することになります。頂上まで行く手段ですが、訓練も兼ねて自力で行っていただきます。距離にすると約ニ十キロメートルと言ったところでしょうか。」
はい?
八歳児の少年少女に、ニ十キロメートル歩けと言っているのか? 騎士の訓練を積んでいる者ならいけるかもしれないが、ここにはご令嬢もたくさんいるんだけど………。しかも自力でって、せめて乗馬とかでもいいじゃないかよ………。
そう思って周りを見渡してみると、ご令嬢たちは「どのようなお茶やお菓子を持っていきましょうか?」などとはしゃいでおり、男子は「頂上まで競争だ」などとはしゃいでいる。
………そうだ、ここは異世界だった。身体能力も半端ないし、性別にかかわらず剣を振り回すことが課されているのだ。ニ十キロメートル程度歩くことなんて、ほんの些細なことらしい。俺の下の上の体力では、少々厳しいかもしれない。周りからは、かなりの遅れをとることになるだろう。
「星の丘と言えば、きれいな夜空がみられるところで有名なところッスよね? そこでキャンプファイヤーをして、一流ホテルに泊まれるなんて最高ッスね。殿下は最初の外泊で楽しみッスよね?」
「ああ、そうだな。夏休みの三人の合宿は羨ましかったからな。早く林間合宿の日が来るといいな。」
「あそこはアメニティーやサービスも一流だから、俺にぴったりなホテルだぜ。」
「………キモい。」
ローウェルの軽口に対して、キースは辛らつな言葉で返した。ローウェルがみせた、バスローブと眼鏡姿は確かに一流ホテルに合いそうな気がすると俺も思ったから、キースの言い方が若干厳しすぎるような………。
案の定、ローウェルはキースに突っかかっていき二人は言い争った。それをジールが間に入ってなだめながら、キルはにこやかにそれを見つめていた。うん、今日も平和だな。
一方の俺は、ニ十キロメートルのハイキングに不安を抱いている。俺のせいでみんなの進行速度が落ちると悪いから、何とか付いて行けるように頑張りたい。
――
当日、俺は案の定とてつもなくスローペースで遅れていた。Aクラスは最初に出発したのだが徐々に後続のB・Cクラスにも追い抜かれてしまい俺たちは今、最後尾を歩いている。周りには騎士団の騎士も数名いるため非常に申し訳ない気持ちでいっぱいである。キルたちも俺に合わせてスローペースで歩いてくれているけど、それも本当に申し訳ない。
このままキルがどんどん最後尾になると、集団からかなり離れることになるため狙われやすくなってしまう。王族のキルが集団からこれ以上離れるのは相当まずいと思う。騎士団の方々も集団から離れるにつれて、警戒度がどんどん上がっているようにも見える。ここは、先に行ってもらう方が賢明だとは思うけど反対されるだろうな………。だけど、危険であることを訴えれば先に行ってくれるかもしれない。
「キル、俺のことは大丈夫だから先に進んで。王族のキルが集団から離れると、格好の的になってしまう。今行けば、集団には追いつけると思うから先に行ってほしい。」
俺がそういうと、キルはすぐに首を横に振った。側近思いのキルなら、受け入れないと思ったよ………。それならば、他のみんなに訴えるしかない。
「キース、キルの護衛騎士として集団から遠く離れようとしている現状をどう考えている? 手間をかけて申し訳ないけどキースからも、何か言ってほしい。」
キースは、一瞬俺を気遣うような視線を送った後、キルの正面に立った。
「殿下、集団から離れるというのは大変危険です。殿下、あなたは王族です。あらゆる方面から狙われるお立場であることをご理解ください。俺自身もアースのことは心配ですが、時間がかかるだけで頂上までくる体力は持ち合わせています。ですのでどうか、集団までお戻りください。」
キースの護衛騎士としての言葉にキルは、何か言いたそうな顔を一瞬したけどゆっくりと頷いた。よかった、護衛騎士からそう言われればさすがのキルも否とは言えないようだ。
「アース、俺は………すまない。」
「キルが謝ることじゃないよ。みんなとハイキングをできるくらいの体力を持ち合わせていない俺が悪いんだよ。これでも体力はついてきていると思うから、時間はかかると思うけど待っててくれる?」
「………わかった。」
俺達がしんみりしていると、ローウェルが咳払いをして、俺とキルの肩に手を置いた。ローウェルは何か別の意見をもち合わせているのだろか?
「よし、俺がアースと一緒に残るぜ。主の護衛という面から考えると、俺は文官だからあまり変わりないからさ。主、俺にアースに付き添う許可を。」
「………わかった。ローウェル、よろしく頼む。」
「りょーかい、任せといてください。アース、俺と二人だけどいいか?」
ローウェルは文官でも、騎士の訓練をつんでいてキルの護衛と無関係なわけではない。だけど、キルが許可を出したわけだからここは喜んでローウェルたちの提案を受けいれるべきだと思う。それに、一人で孤独に歩くよりは誰かがいてくれて方が心強い。
「ありがとう。むしろ俺からお願いするべきだから、ローウェルと二人が嫌なんてことは絶対ないよ。」
「そうか、ならよかったぜ。」
それから、キルたちは騎士団から派遣された護衛を伴って先に進んだ。キルたちは俺達のことを何度か気遣うように後ろを向いてくれたが、俺は大丈夫と言う意味を込めて手を振った。俺とローウェルもそれなりの地位の貴族の子息ということで、一人の護衛が後ろからゆっくりとついてきてくれることになった。
ハイキングが終わると、遅めの昼食を兼ねたバーベキューが行われる予定だけど俺のペースだと夕食になっているかもしれない。ローウェルの昼食を奪ったうえに、楽しみを奪ってしまって本当に心苦しい。
「ローウェル、ごめんね。昼食も食べれないし、交流の機会も奪てしまって………。」
「謝るより、感謝してくれる方がうれしいというようなことを主に言ったのはアースじゃなかったか?」
「………うん、ありがとう。」
俺がそういうと、ローウェルはさわやかな笑顔で笑った。ローウェルは一見軽いように見えるけど、こういう風に優しいし場の空気をよく読んでくれるのだ。ローウェルと二人きりになることは珍しいから、色々な話をしながらハイキングを楽しみたい。
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