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第二章 初学院編
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「ではジール、アース様の強みをどう考えている?」
「それはもちろん魔力量ッスね。短期戦はもちろん、長期戦に持ち込まれたらまず勝てないッス。それから属性の相性がいいことッス。氷と水属性で、ほぼすべての属性を相手にできるッス。まあ、奥の手で召喚魔法があるッスけどそれはちょっとよくわからないッスね。」
うん、俺も同感だ。氷と水というのは攻めでも守りでもいい補完がとれている。それに、持久戦に持ち込めば大体勝てそうだ。あとは召喚魔法が奥の手として機能すればさらにいいんだけどな………。カーナイト様は何か知っているかな?
「まあ、良いだろう。ではアース様の課題は、魔力展開をした後にその展開した魔力をどう使うのかを考えること。そして、召喚魔法を試すことです。どちらも私でもアドバイスが難しいので、己との対話となるでしょう。それ以外は基礎訓練を行います。ジールは木属性で戦うイメージの構築と基礎訓練を行う。それでは早速、訓練と行きましょう。」
それから夕方まで訓練を行って、今日は終了となった。多分、前世の部活よりも相当きつい。前世のイメージでは貴族はお茶を飲んだり、舞踏会をしたりというイメージだったけど魔物関係などと戦うことが義務みたいなものだからか、そのための訓練がハードなのだ。民たちを守ることが貴族の務めだ。
夕食とお風呂が終わり、今はリビングでストレッチとまったりタイムを行っている。俺は高校卒業後、スポーツトレーナーを養成する学校に進学しているため、こういう知識は結構ある。ジールにもストレッチの仕方をたくさん教えた。ローウェルは相変わらずバスローブに眼鏡という、グッとくる格好をしている。
「そういえば、主から女子たちとのお茶会のことは聞いているか?」
「別に聞いてないッスけど、毎年のことじゃないッスか。いつも通りのことをするだけッスよね?」
え、何それ………。女子たちとのお茶会を毎年やっているのか? ま、まあキルは王子だし、そういうこともあるのかな………。
「えーと、俺は特に聞いていないから行かなくてもいいのかな?」
「殿下の護衛としても行くことになると思うけど、その前にアースも誘われると思うぞ。心当たりはないか?」
正直ある。ムンナ様とマリア様からキルのことを詳しく聞きたいから、お茶会に誘ってもいいかと聞かれた。ただ、キルが参加するお茶会でそんなことを聞くはずがないので別件なのかな?
「なくもないけど、護衛以外での参加は気のりしないかな。」
「気のりしなくても、異性との定期的なお茶会は推奨されているんッスよ。まあ、子供のころから慣れておこうという意図ッスね。」
そうなのか………。俺からするとませている様にしか思えないけど、貴族には大切なことなのかもしれない。まあ色々な人と話す機会だと思って、頑張ってみよう。
「そうなんだね。毎年開催しているということは、相手とか場所も大体同じなの?」
「まあそりゃー、ガナハット公爵家でマーガレット様たちとだろ。俺からすれば初学院でも結構話しているんだから、別の女子とお茶会をしたいところだけどな。」
確かに初学院では、キルとマーガレット様は毎日話をしている。幼馴染だから普通なのかなと毎日見ていたけど、ローウェルから見てもそう映っているのか。
「………二人は本当に仲がいいよね。」
「まあ、そうだな。というか、マーガレット様は主にしか興味がないと思うぜ。主の側近だから俺達とは多少は会話するけど、他の男子と話しているところはほとんど見たことがないな。基本的に主以外は姓で呼んでいるのがいい証拠だ。だから、アースを名前で呼んだときは正直驚いた。だよな、ジール?」
「そうッスね、殿下以外だと初めてじゃないッスかね? 俺たちも同じくらいからの付き合いだと思うッスけど、名前で呼ばれたことはないッス。昔から殿下は特別って感じッスね。」
………正直これ以上はあまり聞きたくはないけど、二人は普通に話してくれているだけだから止めるわけにはいかない。名前呼びも特別だとは思うけど、「キルヴェスター殿下」ではなく「キル殿下」だから、よりいっそう特別感がある。
「特別っていうか、ぶっちゃけ好きだろ。主のことを?」
それは禁句だよ………。俺の中の何かがポキっと折れた音が聞こえた。うすうすそうではないかと思ってはいたけど、改めて口に出されるときついものがある。まあ前世でも、好きになった男子のあれこれとかはよくあることだったから、初めてというわけではないけれどキツイものはキツイ。
「まったく、人前で言ってはいけないッスからね。殿下のそういう情報には慎重にならなければいけないのは………文官のローウェルが一番わかってるッスよね?」
「もちろんだぜ。お前等しかいないから色々話しているんだよ。どうした、アース? 具合でも悪いのか?」
「あ………う、うん。ちょっと疲れちゃったみたい。明日に備えて、今日はもう寝るよ。」
「俺もそうするッス。回復を怠れば、訓練中に倒れるッスからね。じゃあ、お休みッス。」
「アースが倒れると主に怒られるから、体調が悪い時はすぐに言えよ。じゃあ、お休み。」
俺は二人に挨拶をして、重い足取りの中、自分の部屋へと戻った。そして、待機していたメイドさんにも寝ることを伝えた。部屋から誰もいなくなると、俺はベッドに勢いよくダイブした。
これくらいで気落ちしていれば、今後もたないことはわかっている。だけど、やっぱりキツイな………。マーガレット様がキルのことを特別に思っていること、恋心かはわからないけど親しいのはわかっている。このまま二人がゴールインすれば色々な意味でうまくまとまるのもわかっている。それを見届けて俺は………。
いいんだ、キルの幸せが俺の幸せだから………。
そのまま俺はいつの間にか眠っていた。
――
それから数日、訓練の日々が流れた。俺はとにかく訓練に集中して、色々なことを考えないように過ごした。そして、少しは気持ちに折り合いがついたころにキルとキースがバルザンス公爵家にやってきた。
久しぶりに見るキルは、やっぱりかっこいいな。
「みんなが揃うのも久しぶりッスね。キースは少しやつれたッスか?」
「………別にそんなことはない。ただちょっと、エネルギーが足りていないだけだ。」
それをやつれている、というのではないか?
というツッコミを、俺たちはグッとこらえて、二人を労った。魔導士の訓練とは違い、騎士はガッツリ肉体の訓練が中心だろうからな。食べても食べてもエネルギーが足りないのだろう。
「お前らは元気そうだな。まさか、訓練をサボっているのではないだろうな?」
「失礼ッスね! こっちもこっちで地獄ッスよ! そうッスよね、アース?」
「う、うん! 訓練自体もそうだけど、課題で正解のない問題を考えないといけないから頭も結構使うよね。」
召喚魔法を色々な手段で試したり、魔力展開の方法を考えたりと正解がわからない問題を解くのは楽しくもあり、悩ましくもある。
「まあ、楽しそうに見えるのはこの共同生活が充実しているからだと思うぜ。学院に通うだけではわからないお互いのことを知れたり、刺激を与えあったりと色々と楽しいからな。あ、そうそう、刺激と言えばこの二人なんだけど、なかなか熱い展開になっていて魔導士最強の世代を目指すと同時に、お互いが頂点を目指すライバル関係になったんだぜ。」
ローウェルがそういうと、キースはジーッと俺たちの方を見つめて、キルは少し不機嫌そうに窓の外を見つめていた。
うーん、さっきから少し機嫌が悪そうなところが気になっていたけど、何かあったのかな?
「改めて言われると恥ずかしいッスね。あの時の俺はかっこ悪かったッスから、あまり言わないでほしいッスよ………。」
「まあ魔導士ではライバルかもしれないけど、訓練が終わると濡れた髪をふきふかれの関係だけどな。」
「うるさいッスよ!」
ふきふかれの関係って………初日に俺が一回だけジールの濡れた髪を強制的に拭いただけなんだけどな………。ローウェルのやつ、完全に面白がっているな。すると、ジールも反撃に打って出た。
「それはもちろん魔力量ッスね。短期戦はもちろん、長期戦に持ち込まれたらまず勝てないッス。それから属性の相性がいいことッス。氷と水属性で、ほぼすべての属性を相手にできるッス。まあ、奥の手で召喚魔法があるッスけどそれはちょっとよくわからないッスね。」
うん、俺も同感だ。氷と水というのは攻めでも守りでもいい補完がとれている。それに、持久戦に持ち込めば大体勝てそうだ。あとは召喚魔法が奥の手として機能すればさらにいいんだけどな………。カーナイト様は何か知っているかな?
「まあ、良いだろう。ではアース様の課題は、魔力展開をした後にその展開した魔力をどう使うのかを考えること。そして、召喚魔法を試すことです。どちらも私でもアドバイスが難しいので、己との対話となるでしょう。それ以外は基礎訓練を行います。ジールは木属性で戦うイメージの構築と基礎訓練を行う。それでは早速、訓練と行きましょう。」
それから夕方まで訓練を行って、今日は終了となった。多分、前世の部活よりも相当きつい。前世のイメージでは貴族はお茶を飲んだり、舞踏会をしたりというイメージだったけど魔物関係などと戦うことが義務みたいなものだからか、そのための訓練がハードなのだ。民たちを守ることが貴族の務めだ。
夕食とお風呂が終わり、今はリビングでストレッチとまったりタイムを行っている。俺は高校卒業後、スポーツトレーナーを養成する学校に進学しているため、こういう知識は結構ある。ジールにもストレッチの仕方をたくさん教えた。ローウェルは相変わらずバスローブに眼鏡という、グッとくる格好をしている。
「そういえば、主から女子たちとのお茶会のことは聞いているか?」
「別に聞いてないッスけど、毎年のことじゃないッスか。いつも通りのことをするだけッスよね?」
え、何それ………。女子たちとのお茶会を毎年やっているのか? ま、まあキルは王子だし、そういうこともあるのかな………。
「えーと、俺は特に聞いていないから行かなくてもいいのかな?」
「殿下の護衛としても行くことになると思うけど、その前にアースも誘われると思うぞ。心当たりはないか?」
正直ある。ムンナ様とマリア様からキルのことを詳しく聞きたいから、お茶会に誘ってもいいかと聞かれた。ただ、キルが参加するお茶会でそんなことを聞くはずがないので別件なのかな?
「なくもないけど、護衛以外での参加は気のりしないかな。」
「気のりしなくても、異性との定期的なお茶会は推奨されているんッスよ。まあ、子供のころから慣れておこうという意図ッスね。」
そうなのか………。俺からするとませている様にしか思えないけど、貴族には大切なことなのかもしれない。まあ色々な人と話す機会だと思って、頑張ってみよう。
「そうなんだね。毎年開催しているということは、相手とか場所も大体同じなの?」
「まあそりゃー、ガナハット公爵家でマーガレット様たちとだろ。俺からすれば初学院でも結構話しているんだから、別の女子とお茶会をしたいところだけどな。」
確かに初学院では、キルとマーガレット様は毎日話をしている。幼馴染だから普通なのかなと毎日見ていたけど、ローウェルから見てもそう映っているのか。
「………二人は本当に仲がいいよね。」
「まあ、そうだな。というか、マーガレット様は主にしか興味がないと思うぜ。主の側近だから俺達とは多少は会話するけど、他の男子と話しているところはほとんど見たことがないな。基本的に主以外は姓で呼んでいるのがいい証拠だ。だから、アースを名前で呼んだときは正直驚いた。だよな、ジール?」
「そうッスね、殿下以外だと初めてじゃないッスかね? 俺たちも同じくらいからの付き合いだと思うッスけど、名前で呼ばれたことはないッス。昔から殿下は特別って感じッスね。」
………正直これ以上はあまり聞きたくはないけど、二人は普通に話してくれているだけだから止めるわけにはいかない。名前呼びも特別だとは思うけど、「キルヴェスター殿下」ではなく「キル殿下」だから、よりいっそう特別感がある。
「特別っていうか、ぶっちゃけ好きだろ。主のことを?」
それは禁句だよ………。俺の中の何かがポキっと折れた音が聞こえた。うすうすそうではないかと思ってはいたけど、改めて口に出されるときついものがある。まあ前世でも、好きになった男子のあれこれとかはよくあることだったから、初めてというわけではないけれどキツイものはキツイ。
「まったく、人前で言ってはいけないッスからね。殿下のそういう情報には慎重にならなければいけないのは………文官のローウェルが一番わかってるッスよね?」
「もちろんだぜ。お前等しかいないから色々話しているんだよ。どうした、アース? 具合でも悪いのか?」
「あ………う、うん。ちょっと疲れちゃったみたい。明日に備えて、今日はもう寝るよ。」
「俺もそうするッス。回復を怠れば、訓練中に倒れるッスからね。じゃあ、お休みッス。」
「アースが倒れると主に怒られるから、体調が悪い時はすぐに言えよ。じゃあ、お休み。」
俺は二人に挨拶をして、重い足取りの中、自分の部屋へと戻った。そして、待機していたメイドさんにも寝ることを伝えた。部屋から誰もいなくなると、俺はベッドに勢いよくダイブした。
これくらいで気落ちしていれば、今後もたないことはわかっている。だけど、やっぱりキツイな………。マーガレット様がキルのことを特別に思っていること、恋心かはわからないけど親しいのはわかっている。このまま二人がゴールインすれば色々な意味でうまくまとまるのもわかっている。それを見届けて俺は………。
いいんだ、キルの幸せが俺の幸せだから………。
そのまま俺はいつの間にか眠っていた。
――
それから数日、訓練の日々が流れた。俺はとにかく訓練に集中して、色々なことを考えないように過ごした。そして、少しは気持ちに折り合いがついたころにキルとキースがバルザンス公爵家にやってきた。
久しぶりに見るキルは、やっぱりかっこいいな。
「みんなが揃うのも久しぶりッスね。キースは少しやつれたッスか?」
「………別にそんなことはない。ただちょっと、エネルギーが足りていないだけだ。」
それをやつれている、というのではないか?
というツッコミを、俺たちはグッとこらえて、二人を労った。魔導士の訓練とは違い、騎士はガッツリ肉体の訓練が中心だろうからな。食べても食べてもエネルギーが足りないのだろう。
「お前らは元気そうだな。まさか、訓練をサボっているのではないだろうな?」
「失礼ッスね! こっちもこっちで地獄ッスよ! そうッスよね、アース?」
「う、うん! 訓練自体もそうだけど、課題で正解のない問題を考えないといけないから頭も結構使うよね。」
召喚魔法を色々な手段で試したり、魔力展開の方法を考えたりと正解がわからない問題を解くのは楽しくもあり、悩ましくもある。
「まあ、楽しそうに見えるのはこの共同生活が充実しているからだと思うぜ。学院に通うだけではわからないお互いのことを知れたり、刺激を与えあったりと色々と楽しいからな。あ、そうそう、刺激と言えばこの二人なんだけど、なかなか熱い展開になっていて魔導士最強の世代を目指すと同時に、お互いが頂点を目指すライバル関係になったんだぜ。」
ローウェルがそういうと、キースはジーッと俺たちの方を見つめて、キルは少し不機嫌そうに窓の外を見つめていた。
うーん、さっきから少し機嫌が悪そうなところが気になっていたけど、何かあったのかな?
「改めて言われると恥ずかしいッスね。あの時の俺はかっこ悪かったッスから、あまり言わないでほしいッスよ………。」
「まあ魔導士ではライバルかもしれないけど、訓練が終わると濡れた髪をふきふかれの関係だけどな。」
「うるさいッスよ!」
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