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第二章 初学院編
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貴族院の交流戦だと? とても魅力的な響きだな。俺もその交流戦に出られるように頑張りたい。だけど、最近の成績が最下位の連続か………。大人世代からしても、この成績は容認できるものではなかったのだろう。何とかして質を高めようとする気迫の表れがこの、マンツーマン指導というわけか。
「アースは自分の兄の実力を知っているのか? 俺の兄上についてはどうだ?」
マクウェル兄上が優秀なのは知っているけど、剣術が具体的にどれくらいすごいのかは知らないな。キースの兄のアルフォンスさんについても同様だ。
「キースのお父上は騎士団長だから、アルフォンスさんもキースも相当強そうなことはわかるけど、兄上のことはよく知らないね。魔法よりも剣術の方が好きということくらいしか知らないかな。」
俺がそういうと、キースはため息をついた。最近キースにはため息をつかれてばかりいると思う。
「アース、自分の兄のことくらいは把握しておけ。最近のアーキウェル王国の成績不振は事実だが、現在アルベルト殿下を筆頭に、兄上やマクウェル様の世代は「黄金の世代」と呼ばれている。そして、騎士の交流戦である剣闘演舞で優勝を狙える可能性があると言われている。殿下の側近ならこれくらいは把握しておけ。」
黄金の世代………。ちょっとばかし、厨二心がうずいてしまうがなんとも強そうな名前である。でもたしかに、前にアルベルト殿下とその側近の皆さんを見たとき、異様な存在感を放っているなとは感じていた。兄上がそんなに強かったなんて………。どうやら、ただのブラコンではないようだ。
うん? でも、「騎士は」ということは魔導士は依然として弱いということだろうか?
「教えてくれてありがとう、キース。それで、騎士は将来性があることはわかったけど、魔導士はどうなの?」
「それは………。まあ、今後に期待というところだ。今はジールが頭一つ抜けているくらいだ。」
今後に期待ということは、めぼしい人材がまだいないということか。ジールは流石、キルの側近で魔導士一家である。
「さすがジールだね! 俺もやる気がわいてきたよ。あ、そうだジール! 俺たちも魔法の練習を頑張って最強の魔導士世代をつくろうよ! って、初心者の俺じゃ力不足かな………。」
俺がそういうと、ジールたちは一瞬驚いた表情をしていたが、すぐに首を振った。
「力不足なんかじゃないっスよ。それだけの可能性をアースは秘めているッス。同年代には厄介な方もいますが、荒唐無稽な話なんかじゃないッスよ!」
厄介な方? まあ、それはおいおいでいいか。
それにしても、ジールはいつも前向きで、一緒にいると勇気づけられるよな。交流戦に出られる基準や人数はまだわからないけど、彼とならいい結果を残せそうだ。
「ジールはいつも前向きだね。ジールのそういうところ、すごく尊敬するよ。」
「………あ、ありがとうッス。」
あんまり褒められていないのかな? ジールが恥ずかしそうにしているのは初めて見たな。年相応で………痛っ!
後頭部に衝撃が走って何かとみると、キルが木剣を押し付けていた。
「今は魔法ではなく、剣術の時間だ。アースはマクウェルの弟なんだから、騎士の才能の方があるかもしれないだろ?」
あ、言われてみるとそうかもしれない。剣の才能があったら魔力量も多いし、最強になれるかもしれない。忘れていたけど、俺は転生者だ。魔導士の素養だけではなく、剣士としての才能も持ち合わせているかもしれない。アーキウェル王国を最弱の国だと侮っている連中よ、覚悟するがいい!!
俺が妄想に走っていると、体格のいいイケメンが向かってきた。騎士団員が一斉に礼をしたため、騎士団の上層部の人のようだ。でもあの髪色と、瞳の色は………。キースと同じで黒髪に黒目だ。キースは日本人のような見た目で、さっぱりイケメンだ。とすると、あの人はもしかして騎士団長………?
「三年次の諸君、いい朝だな。騎士団長を仰せつかっている、ダン・ツーベルクだ。諸君は三年次となったため、これからは対人の指導を行っていく。基本ができていない者は引き続き基本の素振りを、できている者はどんどん対人戦の経験を重ねてほしい。希望者は俺が直々に叩きのめしてやるから、申し出るように。それから初修者がいるようだが………アース・ジーマルと言ったか? マクウェルの弟なら、見込みがあるだろう。俺が最初にみてやるから俺のところに来い。それから殿下とキースも俺のところに来い。アース・ジーマルの手ほどきが終わったら、俺が二人を見る。では、各自持ち場につけ!」
団長がそういうと、騎士団員と生徒はきびきびと動き出した。現世の小学生だったら、泣いているな。それにしても、皆の前で名指しするのは勘弁してほしい。周りのハードルが上がっているのが目に見えてわかる。………しかし、俺は転生者だ。転生者チートをなめてもらっては困る。
俺はキルとキースと共に、騎士団長の所へと駆け足で向かった。
――
「お前がマクウェルの弟か。先日まで療養していたと、聞いていたが貧弱そうだな。一つお願いがあるのだが、あのやかましいマクウェルの口をふさいでくれるか?」
兄上………。騎士団長にまで、俺の話をしているのか? どこに行っても兄上の話を聞くと、ブラコンか変人という話しか聞かないけど、人間関係は大丈夫なのだろうか?
「父上、貧弱は失礼です。………少し、脆弱なだけです。」
おい、キース? 言葉を言い換えただけで、意味は何一つ変わっていないのだが? フォローする気がないのなら、傷をえぐらないでほしい。
「初めまして、アース・ジーマルと申します。兄上がお世話になっているようで、感謝申し上げます。お二人はご自分が思ったとことをストレートに表現するところが、よく似ていらっしゃいますね。これからよろしくお願いいたします。」
「なるほど。兄と同様に口が回るようだな。じゃあ、この木剣を持ってみろ。マクウェルの弟なら、騎士として片鱗を少しでも見せてもらおうか。」
「望むところです。」
――
アース・ジーマル八歳。
現在は剣術の授業のはずなのに、筋トレと外周を行っております。隣には新人騎士のジャスパーさんが付き添ってくれています。
俺は開始数分で、騎士団長に放り出されてしまいました。「お前は剣を持つ以前の話だ」と。では、何があったのか振り返っていきましょう。
俺は木剣をもち、騎士団長の指導を口頭で受けた。脳筋かと思っていたが、非常にわかりやすかった。そして、一振り、二振り………。俺が剣を振るたびに、周りの皆さんの目が微妙になっていくのを肌で感じた。
「へっぴり腰………。」
誰かがそうつぶやくのが聞こえた。そう、俺はへっぴり腰らしいのだ。俺の目が自身を客観的に見ることができなくて本当によかった。もしそんな姿を見たら、羞恥で発狂していただろう。俺はそれでも剣を振ることができた。なぜなら、自身の姿が見えないのだから。
あ、やばい。数分剣を振っただけで、体が悲鳴を上げている。俺の寿命はあと少しのようだ。へっぴり腰ということはたとえ筋力が人並みにあっても、ダメということだ。俺の転生チートは全くの夢………あっ!
手からすっぽ抜けた木剣は、騎士団長の元まで飛んでいき、騎士団長の目の前の地面に突き刺さった。
騎士団長はそれを見届けた後、新人のジャスパーさんを呼び、俺に筋トレと外周をさせるように言い渡した。そして俺を一瞥すると、キルとキースを連れて離れていった。周りの皆さんも、何事もなかったかのように自分の訓練に戻った。
以上が先ほどまでの出来事だ。お楽しみいただけただろうか?
「アースは自分の兄の実力を知っているのか? 俺の兄上についてはどうだ?」
マクウェル兄上が優秀なのは知っているけど、剣術が具体的にどれくらいすごいのかは知らないな。キースの兄のアルフォンスさんについても同様だ。
「キースのお父上は騎士団長だから、アルフォンスさんもキースも相当強そうなことはわかるけど、兄上のことはよく知らないね。魔法よりも剣術の方が好きということくらいしか知らないかな。」
俺がそういうと、キースはため息をついた。最近キースにはため息をつかれてばかりいると思う。
「アース、自分の兄のことくらいは把握しておけ。最近のアーキウェル王国の成績不振は事実だが、現在アルベルト殿下を筆頭に、兄上やマクウェル様の世代は「黄金の世代」と呼ばれている。そして、騎士の交流戦である剣闘演舞で優勝を狙える可能性があると言われている。殿下の側近ならこれくらいは把握しておけ。」
黄金の世代………。ちょっとばかし、厨二心がうずいてしまうがなんとも強そうな名前である。でもたしかに、前にアルベルト殿下とその側近の皆さんを見たとき、異様な存在感を放っているなとは感じていた。兄上がそんなに強かったなんて………。どうやら、ただのブラコンではないようだ。
うん? でも、「騎士は」ということは魔導士は依然として弱いということだろうか?
「教えてくれてありがとう、キース。それで、騎士は将来性があることはわかったけど、魔導士はどうなの?」
「それは………。まあ、今後に期待というところだ。今はジールが頭一つ抜けているくらいだ。」
今後に期待ということは、めぼしい人材がまだいないということか。ジールは流石、キルの側近で魔導士一家である。
「さすがジールだね! 俺もやる気がわいてきたよ。あ、そうだジール! 俺たちも魔法の練習を頑張って最強の魔導士世代をつくろうよ! って、初心者の俺じゃ力不足かな………。」
俺がそういうと、ジールたちは一瞬驚いた表情をしていたが、すぐに首を振った。
「力不足なんかじゃないっスよ。それだけの可能性をアースは秘めているッス。同年代には厄介な方もいますが、荒唐無稽な話なんかじゃないッスよ!」
厄介な方? まあ、それはおいおいでいいか。
それにしても、ジールはいつも前向きで、一緒にいると勇気づけられるよな。交流戦に出られる基準や人数はまだわからないけど、彼とならいい結果を残せそうだ。
「ジールはいつも前向きだね。ジールのそういうところ、すごく尊敬するよ。」
「………あ、ありがとうッス。」
あんまり褒められていないのかな? ジールが恥ずかしそうにしているのは初めて見たな。年相応で………痛っ!
後頭部に衝撃が走って何かとみると、キルが木剣を押し付けていた。
「今は魔法ではなく、剣術の時間だ。アースはマクウェルの弟なんだから、騎士の才能の方があるかもしれないだろ?」
あ、言われてみるとそうかもしれない。剣の才能があったら魔力量も多いし、最強になれるかもしれない。忘れていたけど、俺は転生者だ。魔導士の素養だけではなく、剣士としての才能も持ち合わせているかもしれない。アーキウェル王国を最弱の国だと侮っている連中よ、覚悟するがいい!!
俺が妄想に走っていると、体格のいいイケメンが向かってきた。騎士団員が一斉に礼をしたため、騎士団の上層部の人のようだ。でもあの髪色と、瞳の色は………。キースと同じで黒髪に黒目だ。キースは日本人のような見た目で、さっぱりイケメンだ。とすると、あの人はもしかして騎士団長………?
「三年次の諸君、いい朝だな。騎士団長を仰せつかっている、ダン・ツーベルクだ。諸君は三年次となったため、これからは対人の指導を行っていく。基本ができていない者は引き続き基本の素振りを、できている者はどんどん対人戦の経験を重ねてほしい。希望者は俺が直々に叩きのめしてやるから、申し出るように。それから初修者がいるようだが………アース・ジーマルと言ったか? マクウェルの弟なら、見込みがあるだろう。俺が最初にみてやるから俺のところに来い。それから殿下とキースも俺のところに来い。アース・ジーマルの手ほどきが終わったら、俺が二人を見る。では、各自持ち場につけ!」
団長がそういうと、騎士団員と生徒はきびきびと動き出した。現世の小学生だったら、泣いているな。それにしても、皆の前で名指しするのは勘弁してほしい。周りのハードルが上がっているのが目に見えてわかる。………しかし、俺は転生者だ。転生者チートをなめてもらっては困る。
俺はキルとキースと共に、騎士団長の所へと駆け足で向かった。
――
「お前がマクウェルの弟か。先日まで療養していたと、聞いていたが貧弱そうだな。一つお願いがあるのだが、あのやかましいマクウェルの口をふさいでくれるか?」
兄上………。騎士団長にまで、俺の話をしているのか? どこに行っても兄上の話を聞くと、ブラコンか変人という話しか聞かないけど、人間関係は大丈夫なのだろうか?
「父上、貧弱は失礼です。………少し、脆弱なだけです。」
おい、キース? 言葉を言い換えただけで、意味は何一つ変わっていないのだが? フォローする気がないのなら、傷をえぐらないでほしい。
「初めまして、アース・ジーマルと申します。兄上がお世話になっているようで、感謝申し上げます。お二人はご自分が思ったとことをストレートに表現するところが、よく似ていらっしゃいますね。これからよろしくお願いいたします。」
「なるほど。兄と同様に口が回るようだな。じゃあ、この木剣を持ってみろ。マクウェルの弟なら、騎士として片鱗を少しでも見せてもらおうか。」
「望むところです。」
――
アース・ジーマル八歳。
現在は剣術の授業のはずなのに、筋トレと外周を行っております。隣には新人騎士のジャスパーさんが付き添ってくれています。
俺は開始数分で、騎士団長に放り出されてしまいました。「お前は剣を持つ以前の話だ」と。では、何があったのか振り返っていきましょう。
俺は木剣をもち、騎士団長の指導を口頭で受けた。脳筋かと思っていたが、非常にわかりやすかった。そして、一振り、二振り………。俺が剣を振るたびに、周りの皆さんの目が微妙になっていくのを肌で感じた。
「へっぴり腰………。」
誰かがそうつぶやくのが聞こえた。そう、俺はへっぴり腰らしいのだ。俺の目が自身を客観的に見ることができなくて本当によかった。もしそんな姿を見たら、羞恥で発狂していただろう。俺はそれでも剣を振ることができた。なぜなら、自身の姿が見えないのだから。
あ、やばい。数分剣を振っただけで、体が悲鳴を上げている。俺の寿命はあと少しのようだ。へっぴり腰ということはたとえ筋力が人並みにあっても、ダメということだ。俺の転生チートは全くの夢………あっ!
手からすっぽ抜けた木剣は、騎士団長の元まで飛んでいき、騎士団長の目の前の地面に突き刺さった。
騎士団長はそれを見届けた後、新人のジャスパーさんを呼び、俺に筋トレと外周をさせるように言い渡した。そして俺を一瞥すると、キルとキースを連れて離れていった。周りの皆さんも、何事もなかったかのように自分の訓練に戻った。
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