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第二章 初学院編
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「いやー、うちの騎士が失礼ですまないな。キースは悪い奴じゃないんだ。ただ、主のことを大切にしているだけなんだ。そして、アースのことを嫌っているわけじゃない。それは、わかってほしい。」
ローウェルがそういうと、ジールも頷いた。俺のことを嫌っているわけではないのか? じゃあなぜ、ああいう態度をとられているのだろうか? 二人はなんとなくわかっているみたいだから、聞けば教えてくれるかもしれないけど、キースとの距離を詰めるうえでは自分で考えた方が良いかもしれない。
「嫌われていないのなら、よかった。キースや二人が、キルのことを大切にしているのはすごく伝わってくるよ。俺がもう少し、しっかりできるように頑張るよ。」
そうして少し雑談をしていると、料理が運ばれてきた。やばい、めちゃくちゃおいしそう。貴族ばかりが集まるということで、料理人も超一流なのだろう。
俺は肉汁のしたたるハンバーグを一口口に入れた。
うーーーん、うまい! これを毎日食べられるなんて、最高の環境だな。太らないように注意しよう。
と、そうだ。キルが近くにいないし、二人にキルのことを少し聞いてみようかな。
「キルはいつもああいう風に、身分関係なく誰とでも仲良くしているの?」
「いつもというか、二年位前からッスね。アルベルト殿下と一緒にいることが多くなって、キルヴェスター殿下への風当たりが弱くなった辺りから、殿下に話しかける人たちが増えた感じっスね。殿下も笑顔が増えて、人当たりもよく、何より優しいッスからね。徐々に殿下のファンが増えていったんッスよ。」
若干の掌返しが気になるけど、そこは仕方がないことは頭ではわかっている。子供が何も知らない状態で親の言うことを真に受けるのは仕方のないことだと思う。だから俺もだけど、側近のみんなもそれに関しては目を瞑っていると思う。
だけど、知ったうえで何か言うような連中には容赦する気はない。
「キルは皆との会話を楽しんでいるんだよね? 以前学院が楽しいと言っていたけど、信じていい?」
「信じていいと思うぜ。主は色々な人たちとかかわることを楽しんでいる。楽しいという言葉は本当のはずだ。」
そうか………。近くにいる二人が言うなら、信じてもよさそうだ。こうして他の人の視点から、キルのことを知れるのは新鮮だ。本人が何か辛くて人に話せないようなとき、俺が気付けなくても三人ならきっと気付いてくれるだろう。
「あ、そういえば………。二年前と言えば、主が不思議な出会いをしたと言っていたな。」
え、それは俺のことかな? たしか俺のことは名前を伏せて、ローウェルたちには話したと言っていたから、俺のことをどのように伝えているのか是非聞いてみたい。
「それはとても気になるね。どんな人に出会ったと言っていたの?」
「えーと確か………、「人を呪うときには、自身の髪と爪を送り付けるようなやつ」と、言っていたな。」
へー、そんなやばい奴いるんだ………って、俺の言ったことじゃないかよ! なぜわざわざそこを切り取って伝えるんだよ! 悪意しか感じられない伝え方だ。いや、偶然同じようなことを言った別人の可能性もある。
「………ちなみに、正確にはいつくらいの話?」
「俺たちが魔力判定を受けた年の八月の上旬ッスね。」
俺じゃないか! 何をどう考えたらそういう伝え方になるんだよ! ここから何か投げつけてやろうかな。そう思ってキルの方を向くと、穏やかで優し気な笑みで談笑しているキルの姿が目に入った。
あーくそ………。やっぱり、キルの顔を見ているとどうでもよくなる。自分がキルのことを好きなんだと、嫌でも自覚してしまう。
「まあ告げ口はここまでにして、アース。主をもとの主に戻してくれてありがとう。みんなは変わったと表現するけど、俺たちにとっては昔の主に戻ったという方がしっくりくる。俺たちはものすごく感謝している、ありがとう。」
「え………。俺の名前は伏せたって言ったけど、気づいて………。って、さっきのあれも俺だと気づいていてわざと言ったのか?」
俺がそういうと、ローウェルは腹を抱えて笑い出した。気づいていて、あえて俺に言ったのか。あーだから、「告げ口」ということか………。
「いつ気づいたの? 特に何も話していないと思うけど………。」
「一応文官見習だからな………と言いたいところだけど、ちょっと違うな。殿下が誰かに出会って吹っ切れたという話と、ほとんど俺たちと一緒に行動していたはずなのに、なぜか俺たちの知らない主の知り合いが現れたら、その二人は同一人物だと考えるのが普通だろ? 最初の自己紹介の時、アースと主が知り合いだとわかった時から気づいていたぜ。まあ、ジールは別件のようだけどな。」
「俺は祖父上から聞いたッス。アースの容姿や名前も聞いていた通りだったッスから、すぐに気づいたッスよ。俺からもお礼を言うッス。俺たちの殿下を引き戻してくれて、本当にありがとうッス。」
そんなに真剣に感謝されたら俺、泣きそうになっちゃうよ………。だけどローウェル、ジール、そしてキース、皆が繋ぎ止めてくれたからキルを引き戻せたんだ。決して、俺だけの力ではないよ。
「俺がキルを引き戻せたのはキルのことを大事に思っているアルベルト殿下やアルフォンスさん、そしてローウェルやジール、そしてキースたちがキルを呼び止めて、繋ぎとめてくれたからだよ。俺だけの力じゃないよ。現に、「キルに好意的な人はいなかったか」と尋ねたときには少し間があって、その時に皆の顔を思い浮かべていたと思う。そして、皆に謝りに行きたいとも言っていたよ。キルの心の中には側近のみんなを始め、キルのことを大事に思っている人達の言葉がしっかりと刻まれていたんだと思う。だから、俺からもお礼を言うね。俺の初めて出来た友人を、つなぎとめてくれてありがとう。」
ローウェルがそういうと、ジールも頷いた。俺のことを嫌っているわけではないのか? じゃあなぜ、ああいう態度をとられているのだろうか? 二人はなんとなくわかっているみたいだから、聞けば教えてくれるかもしれないけど、キースとの距離を詰めるうえでは自分で考えた方が良いかもしれない。
「嫌われていないのなら、よかった。キースや二人が、キルのことを大切にしているのはすごく伝わってくるよ。俺がもう少し、しっかりできるように頑張るよ。」
そうして少し雑談をしていると、料理が運ばれてきた。やばい、めちゃくちゃおいしそう。貴族ばかりが集まるということで、料理人も超一流なのだろう。
俺は肉汁のしたたるハンバーグを一口口に入れた。
うーーーん、うまい! これを毎日食べられるなんて、最高の環境だな。太らないように注意しよう。
と、そうだ。キルが近くにいないし、二人にキルのことを少し聞いてみようかな。
「キルはいつもああいう風に、身分関係なく誰とでも仲良くしているの?」
「いつもというか、二年位前からッスね。アルベルト殿下と一緒にいることが多くなって、キルヴェスター殿下への風当たりが弱くなった辺りから、殿下に話しかける人たちが増えた感じっスね。殿下も笑顔が増えて、人当たりもよく、何より優しいッスからね。徐々に殿下のファンが増えていったんッスよ。」
若干の掌返しが気になるけど、そこは仕方がないことは頭ではわかっている。子供が何も知らない状態で親の言うことを真に受けるのは仕方のないことだと思う。だから俺もだけど、側近のみんなもそれに関しては目を瞑っていると思う。
だけど、知ったうえで何か言うような連中には容赦する気はない。
「キルは皆との会話を楽しんでいるんだよね? 以前学院が楽しいと言っていたけど、信じていい?」
「信じていいと思うぜ。主は色々な人たちとかかわることを楽しんでいる。楽しいという言葉は本当のはずだ。」
そうか………。近くにいる二人が言うなら、信じてもよさそうだ。こうして他の人の視点から、キルのことを知れるのは新鮮だ。本人が何か辛くて人に話せないようなとき、俺が気付けなくても三人ならきっと気付いてくれるだろう。
「あ、そういえば………。二年前と言えば、主が不思議な出会いをしたと言っていたな。」
え、それは俺のことかな? たしか俺のことは名前を伏せて、ローウェルたちには話したと言っていたから、俺のことをどのように伝えているのか是非聞いてみたい。
「それはとても気になるね。どんな人に出会ったと言っていたの?」
「えーと確か………、「人を呪うときには、自身の髪と爪を送り付けるようなやつ」と、言っていたな。」
へー、そんなやばい奴いるんだ………って、俺の言ったことじゃないかよ! なぜわざわざそこを切り取って伝えるんだよ! 悪意しか感じられない伝え方だ。いや、偶然同じようなことを言った別人の可能性もある。
「………ちなみに、正確にはいつくらいの話?」
「俺たちが魔力判定を受けた年の八月の上旬ッスね。」
俺じゃないか! 何をどう考えたらそういう伝え方になるんだよ! ここから何か投げつけてやろうかな。そう思ってキルの方を向くと、穏やかで優し気な笑みで談笑しているキルの姿が目に入った。
あーくそ………。やっぱり、キルの顔を見ているとどうでもよくなる。自分がキルのことを好きなんだと、嫌でも自覚してしまう。
「まあ告げ口はここまでにして、アース。主をもとの主に戻してくれてありがとう。みんなは変わったと表現するけど、俺たちにとっては昔の主に戻ったという方がしっくりくる。俺たちはものすごく感謝している、ありがとう。」
「え………。俺の名前は伏せたって言ったけど、気づいて………。って、さっきのあれも俺だと気づいていてわざと言ったのか?」
俺がそういうと、ローウェルは腹を抱えて笑い出した。気づいていて、あえて俺に言ったのか。あーだから、「告げ口」ということか………。
「いつ気づいたの? 特に何も話していないと思うけど………。」
「一応文官見習だからな………と言いたいところだけど、ちょっと違うな。殿下が誰かに出会って吹っ切れたという話と、ほとんど俺たちと一緒に行動していたはずなのに、なぜか俺たちの知らない主の知り合いが現れたら、その二人は同一人物だと考えるのが普通だろ? 最初の自己紹介の時、アースと主が知り合いだとわかった時から気づいていたぜ。まあ、ジールは別件のようだけどな。」
「俺は祖父上から聞いたッス。アースの容姿や名前も聞いていた通りだったッスから、すぐに気づいたッスよ。俺からもお礼を言うッス。俺たちの殿下を引き戻してくれて、本当にありがとうッス。」
そんなに真剣に感謝されたら俺、泣きそうになっちゃうよ………。だけどローウェル、ジール、そしてキース、皆が繋ぎ止めてくれたからキルを引き戻せたんだ。決して、俺だけの力ではないよ。
「俺がキルを引き戻せたのはキルのことを大事に思っているアルベルト殿下やアルフォンスさん、そしてローウェルやジール、そしてキースたちがキルを呼び止めて、繋ぎとめてくれたからだよ。俺だけの力じゃないよ。現に、「キルに好意的な人はいなかったか」と尋ねたときには少し間があって、その時に皆の顔を思い浮かべていたと思う。そして、皆に謝りに行きたいとも言っていたよ。キルの心の中には側近のみんなを始め、キルのことを大事に思っている人達の言葉がしっかりと刻まれていたんだと思う。だから、俺からもお礼を言うね。俺の初めて出来た友人を、つなぎとめてくれてありがとう。」
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