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第二章 初学院編
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「誰もいないはずって………、確かに人の気配はなかったけど、一人、おじいさんがいたよ。最初は庭の手入れをしていたから庭師の方だと思って声を掛けたら、管理人だって名乗っていたよ。日焼けをした方で、この腕時計を中に取りに行くついでに正装に着替えていたから、不思議だなとは思ったけど………ってキル? どうしたんだよ、天井なんか見つめて。」
見ると、キルは天を仰いでいた。不法滞在者の管理人のことを危惧しているのだろうか? 確かにあの管理人が不法滞在者なら、俺の命が危なかったかもしれない。いやでも、不法滞在者がこの腕時計を持っていたわけがないし、一体あの人は誰なのだろうか?
「………まさか、ご自身で向かわれるとは思っていなかった。アース、その方はカーナイト様本人だ。あの屋敷はカーナイト様が建てたものだから、少し立ち寄った際に偶然アースがあの屋敷を訪れたのだろう。」
………。
「はーーー?? 俺、最初は庭師だと思ったから結構フレンドリーに話しかけちゃったよ! まさか、そんな高位の方が庭いじりをしているなんて思わないじゃないかよ! 俺、失礼だったよな………。でも今思うと、正装したうえで俺に感謝の意を示したから少しおかしいなとは思ったけど、まさか前公爵様だったなんて………。」
日焼けが似合う庭師さんだなとか、失礼なことをいっぱい考えていた気がする。やはり、無知とは恐ろしいな………。できるだけ早く、貴族の顔と名前を一致させなければまずいことになりそうだ。
「俺にも予想外だった。………祖父上は、お前に何と言っていたんだ?」
「確か、「我々一同は、俺に感謝している」というような内容をおっしゃっていた気がする。」
「なら、アースがいくら失礼だったとしても大丈夫だろう。実際、祖父上はアースについて、結構俺に質問をされたからな。祖父上自身が、アースに会って感謝を伝えたかったのだろう。」
俺はそんなたいそうなことは………。だけど、カーナイト様にとっては自身の娘や孫が、あの心無い暴言にさらされていて、非常に心を痛めていたのだろう。その痛みを少しでも取り除くことができたのなら、俺はうれしい。
「わかった。だけど、もう一度会って直接お礼を言いたいな。「この素晴らしい腕時計をつくってくださって、ありがとう」と。」
「それについては、間接的には大丈夫だろうな。明日を楽しみにしていてくれ。あとは機会があったら、祖父上をしっかり紹介するよ。」
間接的には大丈夫とはどういうことだろうか? まあ、明日にはわかるようだから楽しみにしていよう。よし、この件はいったんおいておくとして物申したいことがある。
「ありがとう、キル。だけど一ついいかな? 「俺がいくら失礼でも」とはいったいどういう意味かな? 確かに高位の貴族の方に対して、という意味では失礼だったかもしれないけど、初対面の人に対してという意味では失礼ではなかったと思う。キルは俺のことを初対面の人に失礼をかますような奴だと思っているの?」
俺がそういうと、キルは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに腹を抱えて笑い出した。何がそんなにおかしいのかと、問い質そうとしたがやめた。
なぜならキルがこうして、全力でわらっている姿がうれしかったから。あーやっぱり、キルの笑顔が俺は好きなんだ………。
ひとしきり笑ったキルは、ようやく落ち着いたようだった。何がそんなにツボに入ったのかは知らないけど、途中から失礼なのはキルの方ではないかと思い始めていた。
「いやー、こんなに笑ったのは久しぶりだ。流石アースだな。」
「………うれしくない。」
「悪かったって。………そういえば、アースはもう王都を見て回ったのか?」
「お店とか行ってみたいと思ってたけど、編入試験の勉強をしていて見られなかったよ。行ったところと言えば、教会と美容院くらいかな。」
俺がそういうと、キルは「そうか………」と言って、少し何かを考えているようだった。
この世界は思っていたよりも文明が遅れているわけではなかった。魔石で動く家電もあるし、美容院なんかもある。そして食事についても、異世界あるあるの激マズ料理ではなかった。普通においしいし、お菓子もおいしい。まあもし仮に料理が激まずだったとしても、料理本やインターネットがなければ、俺には料理を改革することはできなかっただろう。その点は非常に幸運だった。
「よし、じゃあ今度の土の日に俺が王都を案内しよう。日の日は王室教育があるから、初学院が休みで俺の予定のない土の日に行こう。」
え、それってまさかデート………なわけはないよな。キルは王子だ。王子がそんなに自由に王都を闊歩できるわけがない。護衛が複数人付くことになるだろう。この様な煩悩はおいておくとして、王都見学は非常に楽しみだ。
あ、もしかして側近のみんなと行くのかな? みんなでワイワイするのは久しいので、ものすごく楽しみだ。
「ぜひお願いします! いろいろな店を見たり、おいしい料理を食べたりしたいな。みんなと遊んだり買い物に行ったりするのは初めてだから、楽しみだよ。」
「みんな………?」
俺がそういうと、キルは少し残念そうな顔をした。
え、なんかおかしいこと言ったかな? キルは大人数での行動があまり得意ではないのだろうか? 人気があるということで、そこらへんは慣れていると思ったけど………。あ、そうか。あまり目立ちたくないということなのかもしれない。
「もしかしてあまり目立ちたくない? キースや俺達だけだと、まだ初学院生で護衛の力が足りないから、大人の護衛がたくさんつくから嫌でも目立っちゃうよね。もし迷惑なら、俺は大丈夫だよ。」
「いや、迷惑なんかじゃないんだ! ただ………いや、何でもない。王都見学楽しみだな。」
「? キルの迷惑にならないなら、是非お願いしたい! 楽しみにしてるよ!」
それから俺の療養中の話や、キルの初学院での出来事などの他愛ない話をしながら、俺たちはゆったりと時間を過ごした。
明日からは本格的に学院生活の始まりだ。まずはキルの側近のみんなやクラスメイトと仲良くなることが目標だ。
見ると、キルは天を仰いでいた。不法滞在者の管理人のことを危惧しているのだろうか? 確かにあの管理人が不法滞在者なら、俺の命が危なかったかもしれない。いやでも、不法滞在者がこの腕時計を持っていたわけがないし、一体あの人は誰なのだろうか?
「………まさか、ご自身で向かわれるとは思っていなかった。アース、その方はカーナイト様本人だ。あの屋敷はカーナイト様が建てたものだから、少し立ち寄った際に偶然アースがあの屋敷を訪れたのだろう。」
………。
「はーーー?? 俺、最初は庭師だと思ったから結構フレンドリーに話しかけちゃったよ! まさか、そんな高位の方が庭いじりをしているなんて思わないじゃないかよ! 俺、失礼だったよな………。でも今思うと、正装したうえで俺に感謝の意を示したから少しおかしいなとは思ったけど、まさか前公爵様だったなんて………。」
日焼けが似合う庭師さんだなとか、失礼なことをいっぱい考えていた気がする。やはり、無知とは恐ろしいな………。できるだけ早く、貴族の顔と名前を一致させなければまずいことになりそうだ。
「俺にも予想外だった。………祖父上は、お前に何と言っていたんだ?」
「確か、「我々一同は、俺に感謝している」というような内容をおっしゃっていた気がする。」
「なら、アースがいくら失礼だったとしても大丈夫だろう。実際、祖父上はアースについて、結構俺に質問をされたからな。祖父上自身が、アースに会って感謝を伝えたかったのだろう。」
俺はそんなたいそうなことは………。だけど、カーナイト様にとっては自身の娘や孫が、あの心無い暴言にさらされていて、非常に心を痛めていたのだろう。その痛みを少しでも取り除くことができたのなら、俺はうれしい。
「わかった。だけど、もう一度会って直接お礼を言いたいな。「この素晴らしい腕時計をつくってくださって、ありがとう」と。」
「それについては、間接的には大丈夫だろうな。明日を楽しみにしていてくれ。あとは機会があったら、祖父上をしっかり紹介するよ。」
間接的には大丈夫とはどういうことだろうか? まあ、明日にはわかるようだから楽しみにしていよう。よし、この件はいったんおいておくとして物申したいことがある。
「ありがとう、キル。だけど一ついいかな? 「俺がいくら失礼でも」とはいったいどういう意味かな? 確かに高位の貴族の方に対して、という意味では失礼だったかもしれないけど、初対面の人に対してという意味では失礼ではなかったと思う。キルは俺のことを初対面の人に失礼をかますような奴だと思っているの?」
俺がそういうと、キルは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに腹を抱えて笑い出した。何がそんなにおかしいのかと、問い質そうとしたがやめた。
なぜならキルがこうして、全力でわらっている姿がうれしかったから。あーやっぱり、キルの笑顔が俺は好きなんだ………。
ひとしきり笑ったキルは、ようやく落ち着いたようだった。何がそんなにツボに入ったのかは知らないけど、途中から失礼なのはキルの方ではないかと思い始めていた。
「いやー、こんなに笑ったのは久しぶりだ。流石アースだな。」
「………うれしくない。」
「悪かったって。………そういえば、アースはもう王都を見て回ったのか?」
「お店とか行ってみたいと思ってたけど、編入試験の勉強をしていて見られなかったよ。行ったところと言えば、教会と美容院くらいかな。」
俺がそういうと、キルは「そうか………」と言って、少し何かを考えているようだった。
この世界は思っていたよりも文明が遅れているわけではなかった。魔石で動く家電もあるし、美容院なんかもある。そして食事についても、異世界あるあるの激マズ料理ではなかった。普通においしいし、お菓子もおいしい。まあもし仮に料理が激まずだったとしても、料理本やインターネットがなければ、俺には料理を改革することはできなかっただろう。その点は非常に幸運だった。
「よし、じゃあ今度の土の日に俺が王都を案内しよう。日の日は王室教育があるから、初学院が休みで俺の予定のない土の日に行こう。」
え、それってまさかデート………なわけはないよな。キルは王子だ。王子がそんなに自由に王都を闊歩できるわけがない。護衛が複数人付くことになるだろう。この様な煩悩はおいておくとして、王都見学は非常に楽しみだ。
あ、もしかして側近のみんなと行くのかな? みんなでワイワイするのは久しいので、ものすごく楽しみだ。
「ぜひお願いします! いろいろな店を見たり、おいしい料理を食べたりしたいな。みんなと遊んだり買い物に行ったりするのは初めてだから、楽しみだよ。」
「みんな………?」
俺がそういうと、キルは少し残念そうな顔をした。
え、なんかおかしいこと言ったかな? キルは大人数での行動があまり得意ではないのだろうか? 人気があるということで、そこらへんは慣れていると思ったけど………。あ、そうか。あまり目立ちたくないということなのかもしれない。
「もしかしてあまり目立ちたくない? キースや俺達だけだと、まだ初学院生で護衛の力が足りないから、大人の護衛がたくさんつくから嫌でも目立っちゃうよね。もし迷惑なら、俺は大丈夫だよ。」
「いや、迷惑なんかじゃないんだ! ただ………いや、何でもない。王都見学楽しみだな。」
「? キルの迷惑にならないなら、是非お願いしたい! 楽しみにしてるよ!」
それから俺の療養中の話や、キルの初学院での出来事などの他愛ない話をしながら、俺たちはゆったりと時間を過ごした。
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