異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
14 / 179
第二章 初学院編

13

しおりを挟む
八歳になる年の三月。つまり、家族が再び王都に向けて出発する季節。俺は再び体調を崩して………いなかった! 

何ということでしょう。俺は遂に、負の呪縛から解放されたのだ! 思い返すと、この腕時計のおかげだ。この腕時計をつけてからというもの、体調を崩したことがないのだ。これも、キルのおかげか………。プラシーボ効果が働いたのかもしれないが、何でもいい! これで俺も、魔力判定を受けることができる!


「アース、体の調子がよさそうで何よりだよ。私は本当にうれしいよ。」
「ええ、本当にね。アースがようやく元気になって、私は本当にうれしいです。私たちがふがいないばかりに、あなたには辛い思いをさせてしまいましたね。本当にごめんなさい。」


「父上、母上、私はお二人のもとに生まれることができて本当によかったと思っています。私は父上と母上のことが大好きですよ。私の方こそ、病弱な私を見捨てずにいてくださって本当にありがとうございます。」



俺がそういうと、二人は俺を抱きしめてくれた。そして兄上が、馬車の準備ができたと報告するついでに俺のことを抱きしめてくれた。


そうして俺は、初の馬車に乗り込んだ。兄上が自分の膝の上に乗ってほしと言ってきたが、危なそうなので隣に座ることで我慢してもらった。


「アース、最近嬉しそうだけど、何かいいことがあったのかい?」

「そうですね、嬉しいことというか、お守りが手に入ったのですよ。そのお陰で、体調がよくなった気がします!」

「どんなお守り何だい? よければ僕からも何か贈りたいのだけど………。」

「兄上からは十分にお土産などをいただいていますよ。そういえば、兄上の噂を小耳にはさんだのですが、兄上はたいそう成績がいいようですね。流石兄上です!」


「大したことはないよ。ただちょっと、貴族院の入試範囲の学習をすでに終えているというだけだよ。」


貴族院の入試まであと数年あるはずだが、既に終わってるとは十分に優秀ですよ………。俺なんか、まだあの教科書の王の名前や領地の位置や名前が不安なのに………。


「僕よりも優秀なお方がいるからね。僕は剣術が得意だけど、あの方には勝てる気がしないね。」

「すごい方ですね! 兄上が「お方」と呼ぶということは、相当地位の高い方なのですか?」


「そうだね、第一王子殿下だよ。僕は第一王子殿下の側近を務めているんだよ。アース初学院に入学したら、紹介しようと思っていたんだ。」


へ? 兄上が第一王子殿下の側近………? それってかなり優秀なのでは、というか初耳ですよ! いや、俺を紹介するって? 確かに王族の方を見てみたいとは思っていたけど、実際会うとなると話は別だ。


「殿下は以前は俺のアース話を聞くふりしていただけだったのに、いつからか突然僕の話を熱心に聞くようになったんだよ。少し暑苦しい方だけど、最近は弟殿下とも仲良くやってるみたいで、同士ができた感じだよ。」


待って、アース話って何? 兄上、第一王子殿下に何を吹き込んでいるんだ? アース話が印象的過ぎて、他の話が耳に入ってこなかったよ………。






――






そうして、二週間ほどかけて王都までやってきた。辺境伯領ということで、やはり、王都までかなり距離があったようだ。まあ地理の教科書で見ていたから、なんとなく覚悟はしていたけど………。だけど、兄上との話は面白く、勉強にも付き合ってくれた。なぜなら俺には、編入試験があるからだ。魔力判定後編入試験を受けて、その結果によって三年次に編入できるか、一年次として入学するかが決まる。流石に、二個下と一緒に授業を受けるのはきついものがあるので、是が非でも三年次に編入したい。





俺たちは王都にある辺境伯の屋敷へとやってきた。辺境伯領の別荘とは趣が異なって、新鮮で楽しい。今日は休んで、明後日教会に行くと言われた。さて、何属性なのか楽しみである。

この世界には、火・水・土・風・光の五大属性がある。それに付随しての派生属性や、その属性にも分るできない無属性がある。貴族はほとんどが一つの属性のみを持っており、複数属性持ちはまれである。さらに無属性ともなると、本当に少ないそうだ。俺の希望としては、応用が利きそうな水がいいかな。あとは転生チートで空間属性とかあったら、馬車の移動が楽になってうれしいな。






――







俺たちは教会にやってきた。魔力判定は一斉に受けるという通例があるため、俺は二つ下の子供たちと一緒に魔力判定を受ける。子供たちは大部屋に通されて、今は司教様の聖典のお話を聞いている。飽きるかと思ったけど、意外にも異世界の宗教の話は興味深く楽しかった。


そしていよいよ魔力判定の時間となった。全員に石板が配られており、その石板にいろいろな情報が浮かび上がるらしい。ここからは、個別の部屋で一人ずつが順に魔力判定を受けるらしい。貴族ということで身分順であるから、俺の順番は真ん中より少し早いくらいだろう。気長に待つとしようか。






遂に俺の順番が来た。小部屋に通されるとそこには、大きな像があった。おそらくこの像にむかって祈りをささげてることによって、魔力判別を行うのだろう。像の前には、豪華な台座があった。


「では、アース・ジーマル様。そちらの台座に石板を置き、祈りをささげてください。」


俺は司教の言葉に従って、祈りをささげた。とりあえず、俺をこの世界に転生させてくれたことへの感謝をしよう。神違いかもしれないけど、一応伝えておきたい。それからできれば水属性も欲しいことを伝えた。少し図々しかっただろうか?

すると、石板が光り輝き、文字が浮かび上がっていった。属性や魔力量は個人情報のため、この石板には情報を隠す機能がついているらしい。俺はすぐに浮かび上がった文字を隠し、司教に礼を言って家族の元へと戻った。この後は記念パーティーがあるようだったけど俺は体調を憂慮し、また、二個下の子たちとの交流には気が乗らなかったので不参加を決めた。

しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく
BL
何度も殺されては人生のやり直しをする第二王子がボロボロの状態で今までと大きく変わった7回目の人生を過ごす話 基本シリアス多めで第二王子(受け)が可哀想 からの周りに愛されまくってのハッピーエンド予定 (pixivにて同じ設定のちょっと違う話を公開中です「不憫受けがとことん愛される話」)

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

処理中です...