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工房のスタッフ
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鍛冶の音が工房に響き渡る中、俺は黙々と作業を続けた。魔界化したダンジョンでの体験からもしばらくが経ち、俺の工房は本格的な営業を続けていた。例の結晶のことは、まだ全然調査が出来ていない。経営側が落ち着くのはいつになるだろうか。
看板を掲げてからというもの、予想以上に多くの客が訪れるようになった。冒険者はもちろん、街の警備隊や一般市民まで、様々な人々が俺の装備に興味を示してくれる。
自ら考案した装備に関しては、展示をしつつ説明書きを載せるコーナーを設けた。注文品だけでなく、これらのオリジナル作品も人気を集めていた。特に、軽量でありながら高い耐久性を持つ武器や防具は、街中を巡回する警備隊員たちの間で評判になっていた。
「これは素晴らしい出来栄えだね」
ある日、一人の中年の男性が俺の作った剣を手に取りながら感嘆の声を上げた。彼は街の警備隊の隊長だという。
「ありがとうございます。使いやすさと耐久性を重視して作ったんですよ」
俺は謙虚に答えながらも、内心では喜びを感じていた。
「うちの隊員たちにも、こういった質の高い装備が必要なんだ。この軽量な防具は長時間の巡回に最適だ。まとまった数を注文したいんだが、可能かな?」
その言葉に、俺は一瞬戸惑いを覚えた。大量注文は歓迎すべきことだ。しかし、俺一人の作業では、納期に間に合わせるのは難しいかもしれない。
「分割でいいんだ。出来上がった分だけまとめて売ってほしい」
隊長は具体的な注文内容を伝えてきた。俺は慎重に内容を確認し、見積もりを出した。
こうした大口注文が入るほど、俺の装備は評判が広まっていた。やはり高ランクのダンジョンの奥にまで入ってスキルを磨き続けてきた生産職など、そう多くはないのだ。そうした経験から得られるダンジョンに対する知識、適応性、応用力、素材の見極めにより性能に対して高額にならずに提供される武具などが、初心者から熟練者までの需要を満たしていた。冒険者ギルドからの依頼があり、一般市民向けの日用品的な魔法装備も作れないかと相談を受けている。
ある日の夕方、一日の仕事を終えた俺は、売り上げの計算をしていた。予想を遥かに上回る数字に、俺は驚きを隠せなかった。
「こりゃあ、すごいことになってきたな」
独り言を呟きながら、俺は工房の状況を見回した。作業台には次々と制作すべき装備の注文書が積み重なっている。材料も在庫もほとんど底を尽き、また新たな仕入れが必要になっていた。
例の課題が解決していない。注文の増加に伴い、俺一人では対応しきれない状況が近づいていたのだ。製作の時間に関しては睡眠時間を削って捻出している。これではさすがの俺も体が保たない。
これまでもできる限りの対策は考えてきた。作業の効率化として、クラフトスキルを最大限に活用し、同時に複数の装備を制作する方法を模索した。
クラフトスキル『ハイマテリアル』を駆使して、素材の準備を効率的に行う。『フォージアーティスト』で基本的な形状を一気に作り上げ、『ハーモナイザー』で細かな調整を施す。この流れを確立することで、ある程度の量産が可能になった。
しかし、それでも追いつかない注文量だった。製作は俺が一貫してこなすという意思を持っているものの、接客や販売の時間は無駄でしかない。決断の時が迫っていた。
「売り子を雇うべきか……」
これまで一人でやってきた俺にとって、誰かを雇うという選択は大きな決断だった。販売を任せられれば制作に専念できる。しかし、俺の作った装備を正確に説明できる人材が見つかるだろうか。そして、信頼できる人間を見つけられるだろうか。
悩みながらも、俺は街の求人情報を確認した。しかし、適切な人材を見つけるのは容易ではなかった。街の復興のために、多くの場所で人手が取られているからだ。やはり自分でやるしかないのか。そう考えていたある日、思わぬ来訪者があった。
「やっほ、ロアン。随分と忙しそうだね」
工房の入り口に立っていたのは、シルヴィだった。
「シルヴィか。あの後、どうしてた? 例の調査の件は?」
「それに関しては、追々、ね。工房ショップの経営はどう? 一人でやってて大変じゃない?」
シルヴィの質問に、俺は正直に答えた。
「正直、きついな。注文は増える一方だし、接客に時間を取られて制作が追いつかない」
「誰かを雇おうとは思わないの?」
シルヴィの質問に、俺は躊躇いながら答えた。
「考えてはいるんだが……適任者が見つからなくて」
「私が誰か紹介しようか? 可愛い子を連れてきてあげるよ」
シルヴィの提案に、俺は少し驚いた。
「知り合いがいるのか?」
「冒険者ギルドで知り合った子が一人ね。その子、装備の知識も豊富だし、接客も上手だよ。今はちょうど仕事を探してるみたいなの」
俺は考え込んだ。シルヴィが評価するほどの人物なら信頼できるかもしれない。
「一度会ってみたい」
「なら明日連れてくるわね」
シルヴィの提案に、俺は頷いた。新たな人材の加入により、工房の運営がどう変わるのか、期待と不安が入り混じった。
翌日、シルヴィは約束通り若い女性を連れてきた。彼女の名前はリサ。装備の知識は豊富で、接客態度も申し分ない。体つきがやたらとムチムチで武具ショップの窓口としてはちょっとどうだろうかと思ったが、非常に真面目なのとロジカルに物を考えてくれるところが気に入ったので、試用期間を経て正式に工房のスタッフとなってもらった。
リサの加入により、作業の効率は格段に上がった。彼女の接客は予想以上に好評で、若い冒険者たちに人気があった。俺は制作に専念できるようになり、より高品質な装備を生み出せるようになった。
しかし、その数日後に知ることになった。ダンジョンの難易度が下がったことで冒険にばかり注目が集まっていたが、そうやって活気づいて復興が進んでいたのは、有権者の多い一部の地域だけで。この国にはまだまだ、目を向けなければならない問題が、たくさんあるということに、俺は今になって気づかされたのだった。
看板を掲げてからというもの、予想以上に多くの客が訪れるようになった。冒険者はもちろん、街の警備隊や一般市民まで、様々な人々が俺の装備に興味を示してくれる。
自ら考案した装備に関しては、展示をしつつ説明書きを載せるコーナーを設けた。注文品だけでなく、これらのオリジナル作品も人気を集めていた。特に、軽量でありながら高い耐久性を持つ武器や防具は、街中を巡回する警備隊員たちの間で評判になっていた。
「これは素晴らしい出来栄えだね」
ある日、一人の中年の男性が俺の作った剣を手に取りながら感嘆の声を上げた。彼は街の警備隊の隊長だという。
「ありがとうございます。使いやすさと耐久性を重視して作ったんですよ」
俺は謙虚に答えながらも、内心では喜びを感じていた。
「うちの隊員たちにも、こういった質の高い装備が必要なんだ。この軽量な防具は長時間の巡回に最適だ。まとまった数を注文したいんだが、可能かな?」
その言葉に、俺は一瞬戸惑いを覚えた。大量注文は歓迎すべきことだ。しかし、俺一人の作業では、納期に間に合わせるのは難しいかもしれない。
「分割でいいんだ。出来上がった分だけまとめて売ってほしい」
隊長は具体的な注文内容を伝えてきた。俺は慎重に内容を確認し、見積もりを出した。
こうした大口注文が入るほど、俺の装備は評判が広まっていた。やはり高ランクのダンジョンの奥にまで入ってスキルを磨き続けてきた生産職など、そう多くはないのだ。そうした経験から得られるダンジョンに対する知識、適応性、応用力、素材の見極めにより性能に対して高額にならずに提供される武具などが、初心者から熟練者までの需要を満たしていた。冒険者ギルドからの依頼があり、一般市民向けの日用品的な魔法装備も作れないかと相談を受けている。
ある日の夕方、一日の仕事を終えた俺は、売り上げの計算をしていた。予想を遥かに上回る数字に、俺は驚きを隠せなかった。
「こりゃあ、すごいことになってきたな」
独り言を呟きながら、俺は工房の状況を見回した。作業台には次々と制作すべき装備の注文書が積み重なっている。材料も在庫もほとんど底を尽き、また新たな仕入れが必要になっていた。
例の課題が解決していない。注文の増加に伴い、俺一人では対応しきれない状況が近づいていたのだ。製作の時間に関しては睡眠時間を削って捻出している。これではさすがの俺も体が保たない。
これまでもできる限りの対策は考えてきた。作業の効率化として、クラフトスキルを最大限に活用し、同時に複数の装備を制作する方法を模索した。
クラフトスキル『ハイマテリアル』を駆使して、素材の準備を効率的に行う。『フォージアーティスト』で基本的な形状を一気に作り上げ、『ハーモナイザー』で細かな調整を施す。この流れを確立することで、ある程度の量産が可能になった。
しかし、それでも追いつかない注文量だった。製作は俺が一貫してこなすという意思を持っているものの、接客や販売の時間は無駄でしかない。決断の時が迫っていた。
「売り子を雇うべきか……」
これまで一人でやってきた俺にとって、誰かを雇うという選択は大きな決断だった。販売を任せられれば制作に専念できる。しかし、俺の作った装備を正確に説明できる人材が見つかるだろうか。そして、信頼できる人間を見つけられるだろうか。
悩みながらも、俺は街の求人情報を確認した。しかし、適切な人材を見つけるのは容易ではなかった。街の復興のために、多くの場所で人手が取られているからだ。やはり自分でやるしかないのか。そう考えていたある日、思わぬ来訪者があった。
「やっほ、ロアン。随分と忙しそうだね」
工房の入り口に立っていたのは、シルヴィだった。
「シルヴィか。あの後、どうしてた? 例の調査の件は?」
「それに関しては、追々、ね。工房ショップの経営はどう? 一人でやってて大変じゃない?」
シルヴィの質問に、俺は正直に答えた。
「正直、きついな。注文は増える一方だし、接客に時間を取られて制作が追いつかない」
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「考えてはいるんだが……適任者が見つからなくて」
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「知り合いがいるのか?」
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「なら明日連れてくるわね」
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しかし、その数日後に知ることになった。ダンジョンの難易度が下がったことで冒険にばかり注目が集まっていたが、そうやって活気づいて復興が進んでいたのは、有権者の多い一部の地域だけで。この国にはまだまだ、目を向けなければならない問題が、たくさんあるということに、俺は今になって気づかされたのだった。
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