籠の鳥はなく

あおい夜

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一章 籠の鳥は今日も鳴かない

『良い所』は地下にある

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 俺達は買い物が終わり真人が言っていた良い所に向かっていた。
(良い所とはどんな所なんだ?)

「あ、見えてきた」
「何処だ?」
「ほら、あの店だよ」
「あの店?、、、あのポツンとある店の事か?」
「そうそう」

真人が指した所を見るとそこにはポツンと店が一件だけあった。
何故かその店の横にも前後にも家の二件くらいなにも無くガランとした印象がある店だった。
(ここが良い所?)

「さ、蒼ちゃん入ろうぜ!」
「ここにか?」
「おう!入れば分かるからさ、な?」
「、、、仕方ないから入ってやる」
「さすが蒼ちゃん!行こうぜ!」
「なっ!待て、引っ張るな!自分で行ける!」

真人は俺が止めるのも聞かないで俺の腕を掴んで店の方に引っ張る。
(人の気も知らないでいきなり触ってくるなよ!ドキドキするだろうが!)

「お、いらっしゃい。挑戦か?見学か?」
「見学で」
「見学ならそっちの階段から下に行けば見学出来るぜ」
「おう、ありがとうな」
「、、、。」
「蒼ちゃん?」
「、、、ここは何だ?」
「それは入ってからのお楽しみだぜ?」
「、、、はぁ、こっちの階段で良いんだな」
「おう、早く行こうぜ蒼ちゃん」
「っ、だから引っ張るな!」

店に入るとそこには二十歳くらいの男が一人居た。
その男が挑戦か見学かを聞いて真人が見学と言うと二つに別れた下(地下)に行く階段の一つを指してそっちから降りろと言ったのでその階段を降りている。
(つまりもう一つの方は挑戦する者が降りる階段か。しかしここは何なんだ?あとで絶対に説明させる)

「ん?エレベーター?」
「そうそう、かなり下に行くからこっからはエレベーター使うんだ」

二階分くらい階段を降りるとそこにはエレベーターがあった。
周りを見るとガランとした静かで少し広い空間が広がっている。
(何も無いな。本当に何があるんだ?)

“チン”
「お、エレベーターが着いた。さ、行こうぜ蒼ちゃん?」
「、、、ああ」
「はは、悪いな。下に着いたら説明するから行こうぜ?」
「、、、はぁ、分かっ!だから急に引っ張るな!」
「良いから良いから」
「良くない!放せ」

真人は俺の言葉に耳を貸さずにそのまま俺を引っ張る様に手首を掴んでエレベーターに乗った。
(クソ!引っ張られるのはまだ良いが急に触られるのは心臓に悪い。しかもエレベーターに入ったっていうのに手首を掴んだままなんだが、、、掴んでいる事を忘れてるのか?)

「真人、いい加減に手を、」
「そうそう、さっき上で聞かれた見学と挑戦ってどっちも金は払わなくていいんだぜ?」
「は?」
「下に行けば何をしてるのか直ぐ分かると思うけどよ楽しみにしてろよ蒼ちゃん」
「ふん、お前の言う事だから期待はしないでおくことにする」
「ヒッデェ」

そんなことを話ていると直ぐに下に着いたが真人は相変わらず俺の手首を掴んだままだった。
(、、、ちくしょう、、、心臓に悪いのに嬉しいのがムカつく)

“チン”
「お、着いたな。こっからは広いから気をつけろよ?」
「そんなに子供ではない、」
“ワァ!”
「っ!ここは、、、」
「な?直ぐ分かったろ?ここが何をする所か」

エレベーターのドアが開くとそこには大勢の人とかなり広い空間が広がっており、人々は何かに興奮した様に声をあげていた。
そして一番最初に目についたのはほとんどの日々を目にしている巨大な鳥籠だった。
(ここはまさか!)

「ここは籠の鳥を無料で見学も挑戦も出来る施設だぜ。ちなみにちゃんと国の許可も得ている正式な所だから大丈夫だよ」
「、、、それでどうやって営業しているんだ?」
「え?そこ?そこに疑問もつの?ははっアッハハハ~っ、ブッフゥ~、、、ふぅ、ふぅ、あー笑った笑った。本当に蒼ちゃんは面白いよな。ちなみに営業はここで出してる食べ物とかの店で儲かってるみたいだから大丈夫みたいだぜ」
「そう、」
「蒼?」
「誰だ?、、、雪白?」

誰かに呼ばれ振り向くとそこには中学時代の部活仲間の小鳥遊 雪白(たかなし ゆきしろ)が居た。
(まさかこんな所で雪白に会うとは思わなかった)


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みんなの感想(1件)

みあみあ
2019.11.02 みあみあ

BLゲームに~を読ませてもらって、葵ちゃんかわいいねーと、次にこちらを読ませてもらいました。

ツボに、ツボに。まだ、序盤なんでしょうけど。
こちらも楽しみにしています。

あおい夜
2019.11.02 あおい夜

コメントありがとうございます。

こちらも頑張って書きたいのですが仕事が忙しく直ぐには書けそうにありません。
なので気長に待っててくれると嬉しいです(*´∀`)

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