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王位交代開始編
推しへの愛は深く グラナダ視点
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奴の氷像を叩き壊そうと剣を振り下ろしたその瞬間、何とも言えぬ嫌な空気が私を包み込んだ。
なんだこの纏わりつくねっとりとした蒸気は。
だが、何が起こるでもなく奴は粉塵になって消滅した。足元に血のように真っ赤な2つの魔石を残して。
「アデル、…アデル!大丈夫かアデルッ!」
…なんだ?兵たちがうずくまっている。私を遠巻きにして辛そうな顔をしているのは何故だ?
「か、閣下、その気配は一体…」
私のまとう瘴気が一段と変質している、のか…?
「も、申し訳ございません。ですがこれ以上近づくことが、で、出来ません。身体が圧し潰されそうな重圧を感じるのです…」
刀身に姿を映す。な!なんだこれは!これでは本当に化け物ではないか。
禍々しい瘴気はそばに寄るだけで近づく者の身体を壊す凶器のようだ。もとより赤い私の瞳はまるでヴィーヴルの魔石のような毒々しい血の色に変化した。
「くそっ!奴の最後のあがきか…これではもう、…人間には戻れぬな…」
「そ、そんなことない…」
アデルがマカフィーに支えられ身体を起こす。
「来るなアデル。来てはならぬ」
近寄れぬマカフィーの手を離れゆっくりとこちらへ向かってくる。
「だめだと言うに、アデル頼む、言う事を聞いてくれ」
「グラナダ様が言ったんですよ。『アデルの好きにさせよ』って」
「そうではないアデル。私はお前を壊したくはない」
「壊れませんよ僕は。オタクは丈夫いんです。2徹くらいなら出来るくらいに…え、へへ…」
「だ、だめだ!それ以上近づいては!」
「後ろ、下がらないでグラナダ様。歩くのちょっとツライ…」
決して下がろうとしないアデルから距離をとるため大股で離れる。ああ、アデルなぜ私がお前から離れねばならぬのか。
「 ! 」
「捕まえた!っふ、…忘れてたでしょ、僕のへっぽこ転移」
笑って見せるアデルの鼻から血が滴る。
「き、傷ついたグラナダ様が、セクシーすぎてちょっと、興奮したんです…」
アイスブルーのアデルの瞳から血が流れる。
「悔しいがすぎると、血涙流すんですよ、オ、オタクの標準仕様です…」
「すぅ…。ねぇ、グラナダ様、僕は推し変はしない主義なんです。グラナダ様がジジイになったってキャーキャー言ってる自信があります。……後悔したって知らないってそう言ったでしょ。……ねぇキスして。僕の大好きなグラナダ様のキス…」
「…お前は……口づけが好きだな…アデル…」
「グラナダ様が教えたくせに…」
アデルの覚悟ごと抱きしめてキスをする。
アデル、こんな私でもまだ傍に居てくれると言うのだな。十分だ。触れ合うことがかなわなくとも…こうしてお前が居てくれるだけで…ふふ、こんなことなら私のものにしておけば良かっただろうか。
舌を絡め吐息すら漏らさぬキス。
腕の中でアデルの身体から次第に力が抜けていく。違う、これは、意識を保つことがもう出来ぬのだ。
「っ。もう良いアデル。最後の口づけはポーションの味か。覚えておこう。ふっ、ははは」
なんだこの纏わりつくねっとりとした蒸気は。
だが、何が起こるでもなく奴は粉塵になって消滅した。足元に血のように真っ赤な2つの魔石を残して。
「アデル、…アデル!大丈夫かアデルッ!」
…なんだ?兵たちがうずくまっている。私を遠巻きにして辛そうな顔をしているのは何故だ?
「か、閣下、その気配は一体…」
私のまとう瘴気が一段と変質している、のか…?
「も、申し訳ございません。ですがこれ以上近づくことが、で、出来ません。身体が圧し潰されそうな重圧を感じるのです…」
刀身に姿を映す。な!なんだこれは!これでは本当に化け物ではないか。
禍々しい瘴気はそばに寄るだけで近づく者の身体を壊す凶器のようだ。もとより赤い私の瞳はまるでヴィーヴルの魔石のような毒々しい血の色に変化した。
「くそっ!奴の最後のあがきか…これではもう、…人間には戻れぬな…」
「そ、そんなことない…」
アデルがマカフィーに支えられ身体を起こす。
「来るなアデル。来てはならぬ」
近寄れぬマカフィーの手を離れゆっくりとこちらへ向かってくる。
「だめだと言うに、アデル頼む、言う事を聞いてくれ」
「グラナダ様が言ったんですよ。『アデルの好きにさせよ』って」
「そうではないアデル。私はお前を壊したくはない」
「壊れませんよ僕は。オタクは丈夫いんです。2徹くらいなら出来るくらいに…え、へへ…」
「だ、だめだ!それ以上近づいては!」
「後ろ、下がらないでグラナダ様。歩くのちょっとツライ…」
決して下がろうとしないアデルから距離をとるため大股で離れる。ああ、アデルなぜ私がお前から離れねばならぬのか。
「 ! 」
「捕まえた!っふ、…忘れてたでしょ、僕のへっぽこ転移」
笑って見せるアデルの鼻から血が滴る。
「き、傷ついたグラナダ様が、セクシーすぎてちょっと、興奮したんです…」
アイスブルーのアデルの瞳から血が流れる。
「悔しいがすぎると、血涙流すんですよ、オ、オタクの標準仕様です…」
「すぅ…。ねぇ、グラナダ様、僕は推し変はしない主義なんです。グラナダ様がジジイになったってキャーキャー言ってる自信があります。……後悔したって知らないってそう言ったでしょ。……ねぇキスして。僕の大好きなグラナダ様のキス…」
「…お前は……口づけが好きだな…アデル…」
「グラナダ様が教えたくせに…」
アデルの覚悟ごと抱きしめてキスをする。
アデル、こんな私でもまだ傍に居てくれると言うのだな。十分だ。触れ合うことがかなわなくとも…こうしてお前が居てくれるだけで…ふふ、こんなことなら私のものにしておけば良かっただろうか。
舌を絡め吐息すら漏らさぬキス。
腕の中でアデルの身体から次第に力が抜けていく。違う、これは、意識を保つことがもう出来ぬのだ。
「っ。もう良いアデル。最後の口づけはポーションの味か。覚えておこう。ふっ、ははは」
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