イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

文字の大きさ
53 / 247
王位交代開始編

ある護衛官の心情③

しおりを挟む
今俺は奥方であられるアデル様の用向きで町にでている。
今朝、閣下に呼ばれ今日より奥方様の護衛兼従者として付き従うよう命を受けた。
ある意味閣下の護衛よりも重要な任務なのかもしれない。なぜならばこのバーガンディで、今最も鍵を握る人物がこのアデル様だからだ。



閣下に命じられたアデル様の捜索は難航を極めた。どれほど探してもピンクベージュの髪が何とも愛らしいアデル様を見つけることは出来なかった。途方に暮れていたそのころ起きた魔獣の森での騒動、結局それをきっかけにアデル様を見つけることが出来た。




頼まれた物資を調達し、アデル様と面識のあるという行商の者をつかまえた。明日の来訪を約束し邸に戻る。

それにしても…

「アデルの前で声を出すな!会話はならん!返事もするな!うなずくだけなら許してやる!」

…本当に何を言っているのか…結局アデル様にたしなめられて撤回されたが…最後まで何やら言っていたな。
アデル様が戻られて、違う意味で面倒なお方になってしまった。

馬上での渾身の決めポーズ…ぷっ…あ、いや、閣下にこんなかわいい部分があったとは…アデル様も大喜びで…これならいい夫夫になられるだろう。お二人そろって幸せそうだ。閣下の牢獄であったバーガンディが楽園に変わってしまった。俺たちが望んだ通りに。

俺は胸の奥の小さな痛みからそっと目をそらした。



離宮へ向かう小道にさしかかると香辛料のいい匂いが漂ってきた。

「おかえりなさーい。頼んだ物そろいましたか?あっ、こっちこっち、ここに座って!オットーさんの隣!」
「えっ、はい、物品はそろいました。行商人は明日の約束を取り付けております」
「はやっ!仕事はやっ!あーんん、ではこれからチーム結成のお祝いランチパーティーでーす。簡単な手抜き料理だけど美味しいよ。たくさん食べてね」
「いや、従者が同席などと…「いーからいーから」」
「飲み物持ちましたか~?ではカンパーイ!」
「か、かんぱ…い」

勢いでグラスを持ち上げてしまった…オットー殿はすでにあきらめ…望まれるままにすると決めたようだ。ならば俺も右に倣うとするか…。

しかし、思った通りだ。なんて気安い。執務室の扉の前でいつも見ていた百面相。コロコロと表情の変わるその様を近くで見たいと思っていた。あぁ護衛官万歳だ!

家令のトマス殿も合流し続けられる昼食会。
このバーガンディでこんな楽しい時間が過ごせるとは思っても見なかったな。



その後、≪グラナダ様ミュージアム≫とやらを延々見せられる地獄を味わう羽目になるとはその時の俺は知らなかった…












しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

処理中です...