イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

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王位交代開始編

ある護衛官の心情③

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今俺は奥方であられるアデル様の用向きで町にでている。
今朝、閣下に呼ばれ今日より奥方様の護衛兼従者として付き従うよう命を受けた。
ある意味閣下の護衛よりも重要な任務なのかもしれない。なぜならばこのバーガンディで、今最も鍵を握る人物がこのアデル様だからだ。



閣下に命じられたアデル様の捜索は難航を極めた。どれほど探してもピンクベージュの髪が何とも愛らしいアデル様を見つけることは出来なかった。途方に暮れていたそのころ起きた魔獣の森での騒動、結局それをきっかけにアデル様を見つけることが出来た。




頼まれた物資を調達し、アデル様と面識のあるという行商の者をつかまえた。明日の来訪を約束し邸に戻る。

それにしても…

「アデルの前で声を出すな!会話はならん!返事もするな!うなずくだけなら許してやる!」

…本当に何を言っているのか…結局アデル様にたしなめられて撤回されたが…最後まで何やら言っていたな。
アデル様が戻られて、違う意味で面倒なお方になってしまった。

馬上での渾身の決めポーズ…ぷっ…あ、いや、閣下にこんなかわいい部分があったとは…アデル様も大喜びで…これならいい夫夫になられるだろう。お二人そろって幸せそうだ。閣下の牢獄であったバーガンディが楽園に変わってしまった。俺たちが望んだ通りに。

俺は胸の奥の小さな痛みからそっと目をそらした。



離宮へ向かう小道にさしかかると香辛料のいい匂いが漂ってきた。

「おかえりなさーい。頼んだ物そろいましたか?あっ、こっちこっち、ここに座って!オットーさんの隣!」
「えっ、はい、物品はそろいました。行商人は明日の約束を取り付けております」
「はやっ!仕事はやっ!あーんん、ではこれからチーム結成のお祝いランチパーティーでーす。簡単な手抜き料理だけど美味しいよ。たくさん食べてね」
「いや、従者が同席などと…「いーからいーから」」
「飲み物持ちましたか~?ではカンパーイ!」
「か、かんぱ…い」

勢いでグラスを持ち上げてしまった…オットー殿はすでにあきらめ…望まれるままにすると決めたようだ。ならば俺も右に倣うとするか…。

しかし、思った通りだ。なんて気安い。執務室の扉の前でいつも見ていた百面相。コロコロと表情の変わるその様を近くで見たいと思っていた。あぁ護衛官万歳だ!

家令のトマス殿も合流し続けられる昼食会。
このバーガンディでこんな楽しい時間が過ごせるとは思っても見なかったな。



その後、≪グラナダ様ミュージアム≫とやらを延々見せられる地獄を味わう羽目になるとはその時の俺は知らなかった…












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