イケメン大好きドルオタは異世界でも推し活する

kozzy

文字の大きさ
42 / 247
新生活順応編

眠れない夜

しおりを挟む
暗くなるまで厩舎で馬と戯れる。

「そうか…ラグーンもお前が…」
「グラナダ様を守ってくれる大切な相棒ですからね。少しの不備も許しませんよ、ふふん」

ムツ〇ロウ降臨!全身くまなく撫でまくり、後ろ足に不調を見つけてちっちゃなヒールをかけてるとその場にいた治癒系の魔術師さんが近づいてきた。

僕が熱感知の魔法をサーモグラフィみたいにして不調部分を探してるって話したらすごく前のめりに食いついてきたよ。
なんか熱く語ってくる…これは…あれだ。医療系のオタクってやつだね。
風魔法で振動を起こして超音波エコーにできないかって考えてたけどこの人に相談してみようか。
3人よればなんとかの知恵って言うもんね。

すっごく不穏な気配を察知して後ろを振り返るとグラナダ様が変なオーラ出してた。はっ!これが瘴気か!
あー、そういえば僕が護符持ってくたびにこんなオーラだしてたなぁ…瘴気だったのか…なんかカッコよさ2割増しにするエフェクトかと思ってた。えへへ。

倒れそうな魔術師さんが気の毒なのでグラナダ様をなだめながらその場を離れた。




邸に戻って、シェフ渾身のディナーをこころゆくまで堪能。
お詫びの印にって、特に張り切ってくれたみたい。
僕が食糧庫から持っていった食材の数々、何を作っていたのか気にしていたから、バイト先で教わった店長直伝、門外不出のオリジナルレシピだけど……もう戻れないからね。今度教えてあげよう。




夜も更けたらここからは夫夫の時間。
色々乗せたワゴンを運び入れるとトマスさんも退出しグラナダ様と二人っきりになった。照れる///


「さて、湯浴みはどうする?」
「僕2番風呂でいいですよ?グラナダ様先どうぞ」
「……そうか、そうだな。一人で行ってくるよ…」

なんで哀愁?

二人して交互にお風呂を済ませいよいよついに赤ちゃんの作り方講座だ。
すごくもったいぶってたけどいったいどんな秘密が…?

「さてアデル。閨の作法を教える前にまずはこれを見せておこう。」
「ネヤ…んっ?真珠色の玉?これは…?」
「これは王都の中央神殿にて夫夫が祈りをささげると祝福をもって賜れる生誕珠と呼ばれるものだ」
「せいたんじゅ…」
「これは、その、…受精行為、んん、をする際にお前に入れるものだ。ここにお互いの…ゴホン、精を溜め同調率が最大まで高まった魔力を注ぎ込むことで受胎する。」

「!!」

これが…これが赤ちゃんに…不思議…すごく異世界…これが核になって…同調魔力と精力…それが血肉になるって事?…すごい…ファンタジーだ…
ん?祈り?

「グ、グラナダ様、僕たち祈り捧げに行ってないですよね?なんでせいたんじゅがここにあるんですか?」
「お前の孕む子は我が甥、皇太子殿下のお子となる。祈りには殿下が行かれ賜った珠をこちらに送って寄こしたのだ」
「え?………何のことそれ?……そんな話…聞いてませんケド…」

地を這うより低い声がでた。怒ったグラナダ様の声より低いかもしれない…

「カ、カマーフィールド卿は聞いてはおらぬのか?この婚姻は、子を生せぬ皇太子夫婦に代わり赤子を生し、引き渡し後継とするためのもの。ひいては王の直系血筋に私の力を移すため、王である我が兄ドノヴァンが…私に無理やり命じたものだ…」
「…聞いてませんよ、そんな話。…渡しませんよ、グラナダ様二世。」
「そ、それは…しかし…」
「僕は、僕は、見知らぬ辺境伯様の赤ちゃんを作るのがお役目って聞かされたときショックでショックで家に帰りたいって思った…」
「あぁ…そうだろうとも…」
「でもグラナダ様のお姿を見た時、赤ちゃんが欲しいって、イケメン親子の2ショット見たいって思って!」
「……それほどまでに…」

信じられない!信じられない!グラナダ様の子を!推しジュニアを!気合と根性でグラナダ様そっくりに産む気マンマンだったのに!

怒りに震える僕をなだめながらグラナダ様が事情を話してくれた。

王様はグラナダ様の強い力を自分の系譜に欲しがっていること。
嫡子の生まれぬ皇太子夫婦のことを貴族たちが口さがなく言いはじめたこと。
焦れた王様が珠とともに勅使を寄越してきたこと。
甥の皇太子は王様のいいなりで哀れにすら思っていること。
そして、そして、
僕が子供を生せなければ、王は僕を離縁し他のものをあてがうだろうということ。



「なんでっ!なんで王様の言うこと聞くの?自分の子だよ?大切じゃないの?」
「アデルッ!わた、私は…違うそうじゃないっ!」
「違わないよ!王様に渡すつもりだったんでしょ?ばかっ!グラナダ様のおおばかっ!」
「聞いてくれ、頼む、お願いだ」
「バカバカバカ!へたれっ!出てって!出てってよーーーーー!」




その大きな体を力任せに無理やり扉から押し出すと僕は怒りのあまり眠れない夜を過ごした。









しおりを挟む
感想 103

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

処理中です...