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新生活順応編
新しい朝が来た
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バーガンディの薄暗い夜明け。柔らかい布団の感触に頬ずりしながら目を覚ますとお手製のグラナダ様枕が目に入る。
「おはようグラナダ様♡」
枕を抱きしめながらその胸元に顔を寄せグリグリする。そのあとはほっぺにちゅぅ。ここまでが朝の儀式だよ。
「ほう、それはそのように使うものなのだな。新しい枕の使用方法か?」
「んなっ!」
背後からやけに楽しそうなイケボが聞こえる。
ギ…ギ…ギと音がするほどゆっかり振り返るとそこにはグラナダ様がいた。
お、同じベッドにグラナダ様がぁ!こんなこと!あっていいはずがない!
「ひ、ひぇ…」
ずりずりと離れようとするがそのたくましい腕にあっさりと捕まった。
笑顔をけしたグラナダ様は真顔になってベッドの上で座位をとる。そしてその前に僕を座らせた。こわ…これ今からお叱り受ける感じ?
「あっ、ダメだって言われてたのに、うぅ…勝手に名前で呼んですみません…で、でもこれは枕の名前でっ、へ、辺境伯様の事じゃありませんからっ」
グラナダ様は少し困った顔をして、でも名前呼びしたことを怒らなかった。
「そのように他人行儀な呼び方などしないでくれ…いや私が拒んだのだな…そんなたわいのない事まで…すまなかったアデル。本当に。何から詫びればいいのか…あぁ、どうかこれからは名前を呼んではくれないか。お前のその可憐な声で呼ばれたいのだグラナダと」
「かっ、可憐ではないですけど…良かった!あ、ありがとうございます嬉しいですグラナダ様」
推しが!推しが、名前呼びを許可してくれた!それに何だか…怒って、無い?
「…あの日もこうして…お前が目覚めるまで傍についていれば、目覚めたお前の話を聞いていれば…そうすればこんなにも長い時間を無駄にすることは無かった…」
「ぇえっと、僕は無駄な時間なんてちっとも過ごしていませんよ。毎日がとっても充実してました。」
「あのような仕打ちをうけてもか?優しいのだなアデルは。だが私にとってはアデルともっと有意義に過ごせたかもしれない時間だ。自ら不毛な時間にしてしまったがな」
グラナダ様がわかりやすく落ち込んでいる…あぅぅ…僕の事で推しにこんな顔をさせるわけにはいかないよ。
「誤解…があったのはわかりました。王様のことは濡れ衣です。でも、グラナダ様はがっかりしたんですよね…アデ…僕が嫌々ここに来たと思って。それで僕にちょっとあたっちゃったんですよね?ならもう大丈夫ですよ?僕は嫌々どころかウキウキここに居るから。むしろ命令で来たお嫁さんだから嫌なのかなって思ってて…僕が嫌われてるわけじゃなくてほっとしました。」
僕を推しを悲しませる戦犯にしないで~!
「あたったなどとそんなかわいいものではなかったであろう?邸中のみなまで巻き込んで…ひどいまねをした…」
「でも僕使用人さんたちのことはなんとも思ってないですよ。グラナダ様からの命令なんだろうなって思ってたし。主人の命には逆らえないですもんね」
「…弁明のしようもないな…」
「グラナダ様ほんとにいいんです。僕あの離れでいろんなこと出来て楽しかった。魔法の修行も、絵、描いたりとかも、そ、その追っかけも…。まぁもうちょっとファンサ、んんっ、愛想ふりまいてくれてもいいのにな、とは思いましたけど…贅沢な望みですもんね…」
「そのように卑下するのはよすのだ!ああ、それも私の過ちがそうさせたのか…だが、こんなに儚く見えるのに…強いのだなアデルは…」
儚く…?誰ですかそれ。僕は昔からお姉ちゃんにも『あんたは人間として雑』てよく言われてた。
「それより誤解が解けたならまたこっそり演習場に観に行ってもいいですか?僕剣を振るって汗を流すグラナダ様の姿が大好きで!」
「な!あぁいや、これからは堂々と来るがよい。わざわざ隠れて見ることもあるまい?」
グラナダ様の声がとってもとっても柔らかくなった。
「それよりもあのような酷い仕打ちを受け続けても私を嫌いにはならなかったのか?今までこの邸に押しかけて来た縁をのぞむ子息子女はあっという間に逃げ出し「まさかっ!冷酷なグラナダ様なんてあり寄りのありですよっ!」」
「しかし私は相当に酷い言葉も「あの冷たいまなざしに射抜かれるなんてむしろご褒美です!」」
食い気味に返事をする僕にちょっとひいてるグラナダ様もカッコよかった♡
「おはようグラナダ様♡」
枕を抱きしめながらその胸元に顔を寄せグリグリする。そのあとはほっぺにちゅぅ。ここまでが朝の儀式だよ。
「ほう、それはそのように使うものなのだな。新しい枕の使用方法か?」
「んなっ!」
背後からやけに楽しそうなイケボが聞こえる。
ギ…ギ…ギと音がするほどゆっかり振り返るとそこにはグラナダ様がいた。
お、同じベッドにグラナダ様がぁ!こんなこと!あっていいはずがない!
「ひ、ひぇ…」
ずりずりと離れようとするがそのたくましい腕にあっさりと捕まった。
笑顔をけしたグラナダ様は真顔になってベッドの上で座位をとる。そしてその前に僕を座らせた。こわ…これ今からお叱り受ける感じ?
「あっ、ダメだって言われてたのに、うぅ…勝手に名前で呼んですみません…で、でもこれは枕の名前でっ、へ、辺境伯様の事じゃありませんからっ」
グラナダ様は少し困った顔をして、でも名前呼びしたことを怒らなかった。
「そのように他人行儀な呼び方などしないでくれ…いや私が拒んだのだな…そんなたわいのない事まで…すまなかったアデル。本当に。何から詫びればいいのか…あぁ、どうかこれからは名前を呼んではくれないか。お前のその可憐な声で呼ばれたいのだグラナダと」
「かっ、可憐ではないですけど…良かった!あ、ありがとうございます嬉しいですグラナダ様」
推しが!推しが、名前呼びを許可してくれた!それに何だか…怒って、無い?
「…あの日もこうして…お前が目覚めるまで傍についていれば、目覚めたお前の話を聞いていれば…そうすればこんなにも長い時間を無駄にすることは無かった…」
「ぇえっと、僕は無駄な時間なんてちっとも過ごしていませんよ。毎日がとっても充実してました。」
「あのような仕打ちをうけてもか?優しいのだなアデルは。だが私にとってはアデルともっと有意義に過ごせたかもしれない時間だ。自ら不毛な時間にしてしまったがな」
グラナダ様がわかりやすく落ち込んでいる…あぅぅ…僕の事で推しにこんな顔をさせるわけにはいかないよ。
「誤解…があったのはわかりました。王様のことは濡れ衣です。でも、グラナダ様はがっかりしたんですよね…アデ…僕が嫌々ここに来たと思って。それで僕にちょっとあたっちゃったんですよね?ならもう大丈夫ですよ?僕は嫌々どころかウキウキここに居るから。むしろ命令で来たお嫁さんだから嫌なのかなって思ってて…僕が嫌われてるわけじゃなくてほっとしました。」
僕を推しを悲しませる戦犯にしないで~!
「あたったなどとそんなかわいいものではなかったであろう?邸中のみなまで巻き込んで…ひどいまねをした…」
「でも僕使用人さんたちのことはなんとも思ってないですよ。グラナダ様からの命令なんだろうなって思ってたし。主人の命には逆らえないですもんね」
「…弁明のしようもないな…」
「グラナダ様ほんとにいいんです。僕あの離れでいろんなこと出来て楽しかった。魔法の修行も、絵、描いたりとかも、そ、その追っかけも…。まぁもうちょっとファンサ、んんっ、愛想ふりまいてくれてもいいのにな、とは思いましたけど…贅沢な望みですもんね…」
「そのように卑下するのはよすのだ!ああ、それも私の過ちがそうさせたのか…だが、こんなに儚く見えるのに…強いのだなアデルは…」
儚く…?誰ですかそれ。僕は昔からお姉ちゃんにも『あんたは人間として雑』てよく言われてた。
「それより誤解が解けたならまたこっそり演習場に観に行ってもいいですか?僕剣を振るって汗を流すグラナダ様の姿が大好きで!」
「な!あぁいや、これからは堂々と来るがよい。わざわざ隠れて見ることもあるまい?」
グラナダ様の声がとってもとっても柔らかくなった。
「それよりもあのような酷い仕打ちを受け続けても私を嫌いにはならなかったのか?今までこの邸に押しかけて来た縁をのぞむ子息子女はあっという間に逃げ出し「まさかっ!冷酷なグラナダ様なんてあり寄りのありですよっ!」」
「しかし私は相当に酷い言葉も「あの冷たいまなざしに射抜かれるなんてむしろご褒美です!」」
食い気味に返事をする僕にちょっとひいてるグラナダ様もカッコよかった♡
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